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住宅ローン控除の意外な盲点|中古の要件・土地の先行取得・転勤

住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」)とは、返済期間が10年以上の住宅ローンを組んで住宅を購入・新築したり、いまの住まいを増改築したりしたときに、一定の手続きを取れば年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税(引ききれない分は住民税の一部)から差し引かれる制度です。

この制度も現在ではかなり浸透していて、だいたいの内容は知っているという方も少なくありません。

ただ、制度の中身はこの数年で大きく変わりました。控除率は以前の1%から0.7%になり、控除期間や対象になる住宅の条件も見直されています。令和8年度税制改正では適用期限が5年延長され、令和8年(2026年)1月1日から令和12年(2030年)12月31日までに入居した場合が対象となりました。

そこで今回は、意外と知られていない住宅ローン控除の「盲点」を、最新の内容にそって説明していきます。

まず押さえたい、いまの住宅ローン控除の基本

細かい話に入る前に、土台となる部分を確認しておきましょう。

項目 いまの内容 ひとこと補足
控除率 年末のローン残高の0.7% かつての1%から見直されています
控除期間 新築・買取再販は原則13年/既存(中古)住宅は10年 省エネ性能の高い既存住宅は、令和8年入居分から13年に拡充
対象になる入居時期 令和8年1月1日〜令和12年12月31日 令和8年度税制改正で5年延長されました
ローンの条件 償還期間10年以上 繰上返済で残り10年未満になると対象外になることがあります
所得の条件 合計所得金額2,000万円以下 超えた年は、その年だけ控除を受けられません
床面積 40㎡以上(令和8年入居分から既存住宅にも緩和) 合計所得金額1,000万円超の方や、子育て世帯等への上乗せ措置を使う方は50㎡以上
入居の時期 引き渡し・工事完了から6か月以内に居住 年末まで引き続き住んでいることも必要です

借入限度額は「住宅の省エネ性能・入居年・世帯(子育て世帯・若者夫婦世帯かどうか)」の組み合わせで細かく決まります。ご自身に当てはまる金額は、国土交通省「住宅ローン減税」および国税庁の最新の案内で必ずご確認ください(2026年8月時点)。

住宅ローン控除を受けられる中古物件とは?

ここは以前と大きく変わった部分です。かつては「築年数が一戸建てで20年、マンションで25年以内」という要件がありましたが、この築年数の要件は撤廃されました

現在は、昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であれば、新耐震基準に適合しているものとして扱われます。「築30年だからもうダメだ」と最初からあきらめる必要はない、ということです。

それより前に建てられた住宅でも、耐震基準適合証明書や住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明などで新耐震基準への適合が証明できれば対象になります。

もし購入時点で基準を満たしていない場合でも、一定の耐震改修工事を行って要件を満たせば、住宅ローン控除を受けられる道があります。耐震改修は「入居前に申請・工事の段取りを済ませておく」必要があるため、契約前に不動産会社と税務署(または税理士)に相談しておきましょう。

注文住宅を建てる前に購入した土地について、住宅ローン控除の対象になるのか?

注文住宅用地を前もって購入したが、子供の進学に合わせて1年後に建てたいという方もいらっしゃるかも知れません。
そのような場合でも、一定の要件を満たせば土地分のローンも控除の対象になります

代表的なのは次の2つのパターンです。

  • 建築条件付きの土地を買った場合…宅地の分譲契約に「その契約の日から3か月以内に住宅の建築工事の請負契約が成立すること」が条件として定められており、実際にそのとおりに契約したケース。
  • 一般の土地を先に買った場合住宅を新築した日の前2年以内にその土地を取得し、その借入金について新築する住宅を目的とした抵当権が設定されているなど、一定の要件を満たすケース。

そして、ここがいちばんの盲点です。国税庁は「その年の12月31日に建物についての控除対象の借入金がない場合は、土地の借入金があってもなかったものとみなす」としています。つまり土地だけ先に買って、その年末時点でまだ建物が完成していなければ、その年は控除を受けられません。土地の分だけ先に控除が始まる、ということはないのです。

転勤や単身赴任によって、住宅に住めなくなった場合はどうなる?

昔の制度では、転勤で家族全員が転居すると住宅ローン控除は受けられませんでしたが、現在は事情に配慮した扱いが用意されています。

単身赴任の場合は、転勤・転地療養などのやむを得ない事情で本人が住めなくても、取得から6か月以内に配偶者や扶養親族が入居し、その後も引き続き居住していて、事情が解消したら本人も一緒に住むと認められるときは、本人が住んでいるものとして扱われ、控除を受けられます。

家族全員で転居した場合は、その年以降いったん控除は受けられなくなりますが、勤務先からの転任命令などやむを得ない事由があり、住まなくなる日までに所定の手続きをしていれば、再び住み始めた年以後、残っている控除期間について再適用を受けられます

その所定の手続きが、「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を、住まなくなる日までに家屋の所在地の所轄税務署へ提出することです。この届出を忘れると再適用が受けられませんので、辞令が出たら真っ先に確認してください。

なお、控除期間そのものは延長されません。留守にしていた期間のぶんだけ後ろにずれるわけではなく、あくまで「残っている期間」についての再適用です。ここも誤解の多いところです。

意外と見落とされる、もう3つの盲点

  • 1. 省エネ性能を満たさない新築は、そもそも対象外になり得る…現在は住宅の省エネ性能が控除の前提になっています。国土交通省は、令和10年以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅を適用対象外とする(登記簿上の建築日付が令和10年6月30日までのものは適用対象)としており、性能によって借入限度額も大きく変わります。物件を決める前に、その住宅がどの区分(長期優良・低炭素/ZEH水準/省エネ基準適合/その他)に当たるかを必ず確認しましょう。
  • 2. 所得が増えた年は、その年だけ控除がゼロになる…合計所得金額が2,000万円を超えた年は控除を受けられません(翌年に2,000万円以下へ戻れば、その年は再び受けられます)。控除期間が延びるわけではない点に注意してください。
  • 3. 1年目は必ず確定申告が必要…会社員の方でも、最初の年は確定申告が必要です(2年目以降は年末調整で手続きできます)。1年目の申告を忘れると、その年の控除が受けられません。

よくある質問(FAQ)

Q. 繰上返済をすると、住宅ローン控除は受けられなくなりますか?
A. 期間短縮型の繰上返済で、返済期間(最初の返済から完了まで)が10年未満になると対象外になります。控除期間中に大きな繰上返済を考えている方は、返済期間が10年を切らないかを先に確認しましょう。

Q. 中古マンションを買います。築年数は関係なくなったのですか?
A. 築年数そのものの要件はなくなりました。判断の基準は「昭和57年(1982年)1月1日以後に建築されたか」、それ以前なら新耐震基準への適合を証明できるかです。証明書の取得には時間がかかるため、購入前に売主・仲介会社へ確認してください。

Q. 夫婦でペアローンを組んだ場合、控除は2人とも受けられますか?
A. それぞれが自分の借入分について要件を満たせば、2人とも受けられます。ただし所得の条件や床面積の条件は各自で判定されます。持分と借入額のバランスによっては思ったほど効果が出ないこともあるため、事前に試算しておくと安心です。

Q. 借り換えをしたら控除は続きますか?
A. 当初の住宅ローンの返済のための借り換えで、返済期間10年以上などの要件を満たせば引き続き受けられます。ただし控除期間は当初のままで、借り換えによって延びることはありません。

Q. 自分の借入限度額はどこで確認できますか?
A. 住宅の省エネ区分・入居年・世帯によって決まります。国土交通省「住宅ローン減税」のページと国税庁のタックスアンサーが一次情報です。ハウスメーカーや不動産会社の説明が古い年の数値のままになっていることもあるので、必ずご自身で最新の資料をご確認ください。

まとめ

住宅ローン控除の前身である住宅取得控除が導入されたのは1972年で、当時は取得金額1%分の税金を3年間控除するというものでした。

その後、1978年に住宅ローンが控除対象となり、控除額や年数など段階的な変遷を経て現在の形となりました。

そしていま、住宅ローンを取り巻く環境は「超低金利」だった時代から変わりつつあります。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で政策金利を1.0%程度で据え置くことを決めましたが、住宅ローンの固定金利は長期金利の上昇を受けて2026年8月に引き上げた金融機関が多く見られます(金利は各金融機関・時期によって異なりますので、最新の適用金利は必ず各行の公式サイトでご確認ください)。

金利が0.7%を上回る場面が増えれば、「控除でおトク」だけを前提に借入額を決めるのは危うくなります。控除は返済計画を助けてくれる仕組みですが、主役はあくまで無理なく返し続けられる金額かどうかです。

要件が拡充され、個別の事情に配慮したものになった現在の住宅ローン控除は、マイホーム購入者にとって心強い制度です。だからこそ、「使えるつもりだったのに使えなかった」を防ぐために、契約前に自分のケースを確認しておくことをおすすめします。

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な説明です。適用の可否や金額は個別の事情によって異なります。最新の制度内容は国土交通省・国税庁の公式情報をご確認いただき、具体的な判断は所轄の税務署または税理士にご相談ください。

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