- 公開日: 2026.09.11
- 住宅ローンガイド
団信で契約者が死亡した時の手続き|必要書類と完済後にやること

住宅ローンの契約者が返済中に亡くなったとき、ご家族がまず行うのは借入先の金融機関へ連絡することです。団体信用生命保険(団信)に加入していれば、保険金で住宅ローンの残りが全額弁済され、残されたご家族はその家に住み続けられます。ただし自動的に処理されるわけではなく、届出書や医師に書いてもらう書類をそろえて請求する必要があります。
悲しみの中で慣れない手続きが重なる時期です。ここでは、連絡から弁済までの流れ、必要になる書類、そしてローンが完済された後に残る手続きまでを、順を追って整理します。
団体信用生命保険で住宅ローン残債を完済できる
住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、返済中に事故や病気などで死亡した場合に備えて、多くの金融機関では団体信用生命保険の加入を必須としています。
団体信用生命保険は、団信の基礎を解説した記事でも触れているとおり、契約者が返済中に死亡したり所定の状態になったりしたときに、保険金で住宅ローンの残債が完済される仕組みの保険です。保険金は遺族に現金で支払われるのではなく、そのまま残りのローンの返済に充てられます。
保障される「所定の状態」は商品によって違うので、ここは押さえておきましょう。
| 団信の種類 | 死亡以外に保障される状態 | 備考 |
|---|---|---|
| 民間の住宅ローンの一般団信 (旧・機構団信を含む) |
所定の高度障害状態(両眼の視力を全く永久に失った、終身常に介護を要するなど8項目) | 細かい要件は保険会社の約款による |
| フラット35の新機構団信 (2017年10月以降の申込分) |
身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき | 高度障害保険金の取扱いはない |
住宅金融支援機構は新機構団信について「所定の高度障害状態になられた場合にお支払いする高度障害保険金の取扱いはありません」と明記しています(新機構団信の加入要件・保障内容)。名前が似ていても中身が違うので、ご自身の契約がどちらなのかを確認しておくと安心です。高度障害状態と身体障害保障の違いは高度障害状態の定義を解説した記事で詳しく説明しています。
なお、団信に加入していなかった場合は残債がそのまま相続の対象になります。フラット35は団信への加入が任意なので、そのケースについてはフラット35で団信未加入のまま契約者が死亡した場合の記事をご覧ください。
住宅ローンの契約者が死亡後に取引がある金融機関に連絡する

住宅ローン返済中に契約者が亡くなった場合、死亡が判明した時点でできるだけ速やかに、取引のある金融機関へ連絡します。フラット35の場合も、機構ではなく融資を申し込んだ金融機関が窓口です。
連絡すると、加入状況を確認したうえで金融機関側から必要書類の案内があります。ご家族が記入する書類のほか、医師に記入をお願いする書類もあるため、案内を受けてから実際に書類がそろうまでには時間がかかります。
このとき、あわせて次の2点も聞いておくと後で困りません。
- 手続きが終わるまでの毎月の引き落としをどうするか(続けるのか、止めるのか)
- 書類の提出期限や、そろえる順番
できることなら、住宅ローンを契約した時点で万一のときの窓口を確認しておくのが理想です。すでに万が一が起きてしまった後であれば、やるべきことを書き出して、一つずつ確実に進めていきましょう。
団体信用生命保険の請求(債務弁済)手続きに伴い提出すべき書類

書類のフォーマットは金融機関・保険会社側で用意されています。所定の用紙以外では受け付けてもらえないものがあるので、自分で似た書類を用意せず、案内された用紙を使ってください。提出すべき書類は金融機関によって多少異なりますが、主なものは次のとおりです。
1.団信弁済届
団信弁済届とは、死亡や所定の障害状態で返済が難しくなった場合に、保険金で住宅ローンを精算(弁済)するための届出書です。こちらの書類は、ご家族の方が必要事項を記入して提出します。
2.死亡証明書(死亡した場合)
契約者が死亡した場合は、死亡の事実を証明する書類が必要です。保険会社が用意したフォーマットで、医師に記載を依頼します。
保険会社によっては、病院側が発行する死亡診断書や死体検案書(の写し)でも取り扱いできる場合があります。医師に依頼すると文書料がかかるので、どの書式で受け付けてもらえるかを先に確認してから依頼すると、二度手間と余分な費用を避けられます。
3.障害診断書・身体障害者手帳の写し(所定の障害状態となった場合)
契約者が所定の高度障害状態などになった場合は、その事実を証明する書類として障害診断書が必要になります。こちらも、保険会社が用意したフォーマットで医師に記入を依頼します。フラット35の新機構団信では、これに加えて障害の級別が1級または2級である身体障害者手帳の写しを提出します。
4.住民票(死亡した場合)
住宅ローン契約者本人の住民票(除票)を市区町村役場で発行してもらい、上記書類を提出する際にあわせて添付します。
住民票は単なる身分証明としてではなく、死亡の事実が記載されていることが重要で、死亡証明書とあわせて死亡の事実を確認するための書類となります。
必要書類を提出後審査結果を待つ
必要書類が揃い次第、郵送や金融機関の窓口などで提出します。その後、保険会社側で審査が行われます。
審査では、死亡の原因や治療の経過・内容、事故や病気の状況などについて、ご家族の方や医師に問い合わせが来ることがあります。
また、障害状態の場合は、保障の対象に該当するのか、該当した場合の保険事故日(症状固定日)について審査が行われます。こちらも、障害状態となった原因や治療の経過・内容について、詳細の問い合わせが来る場合があります。
審査が終了するとその旨の連絡があり、問題がなければ保険金により住宅ローンがすべて弁済されます。
弁済されないことがあるケース
残念ながら、団信に加入していても保険金が支払われない場合があります。住宅金融支援機構は債務弁済の手続のページで、次のようなケースを挙げています(民間の団信でも同様の免責事由が定められているのが一般的です)。
- 保障の開始日から1年以内に自殺されたとき
- 申込書兼告知書で健康状態などについて事実を告げなかった、または事実と異なることを告げたことにより契約が解除されたとき(告知義務違反)
- 故意により所定の障害状態になられたとき
- 保障の開始日前の傷害または疾病が原因で所定の障害状態になられたとき
- 戦争・その他の変乱により死亡または所定の障害状態になられたとき
とくに告知義務違反は、加入時に「これくらいなら書かなくてもいいだろう」と省略したことが、いちばん必要なときに響いてしまいます。これから住宅ローンを組む方は、告知書には正直に記入してください。
ローンが完済された後に残る手続き
団信でローンが完済されても、それで全部が終わりではありません。見落とされがちな3つを挙げておきます。
1.相続登記(住宅の名義変更)
住宅ローンが完済されても、住宅そのものの所有権は相続の対象です。相続人へ名義を変える相続登記が必要になります。相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務化されており、相続の開始と不動産の取得を知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A)。施行日より前に発生した相続も対象で、その場合は2027年(令和9年)3月31日までが期限です。
2.抵当権抹消登記
ローンが完済されると、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が渡されます。抹消登記は自動では行われないため、相続登記とあわせて手続きしましょう。
3.相続税では「借金」として差し引けない
ここは間違えやすいところです。団信によって返済が免除される住宅ローンは、相続税の計算上、被相続人の債務として控除できません。保険金で補てんされることが確実で、相続人が支払う必要のない債務だからです(国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務)。
住宅は相続財産として評価される一方、ローンは差し引けない。この組み合わせで相続税の見込みが変わることがあるので、他にも財産がある場合は税理士に相談しておくと安心です。
団信の死亡時手続きでよくある質問(FAQ)
Q. 手続きが完了するまで、毎月の返済はどうすればよいですか?
A. 手続き中の引き落としを続けるのか止めるのか、また弁済後にどう精算されるのかは金融機関によって異なります。最初に連絡する際に「手続き中の返済はどうすればよいか」を必ず確認してください。自己判断で口座を空にしたり引き落としを止めたりすると、延滞として扱われるおそれがあります。
Q. 住宅の名義変更(相続登記)は必要ですか?
A. 必要です。団信でローンが完済されても住宅の所有権は相続の対象で、相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続の開始と取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。あわせて抵当権抹消の登記も行います。
Q. ペアローンや連帯債務の場合はどうなりますか?
A. ペアローンは夫婦それぞれが別々のローンを組む形なので、団信で完済されるのは原則として亡くなった方のローンのみです。残された方のローンは返済が続きます。連帯債務の場合は加入している団信のタイプ次第で、フラット35の「デュエット」(ペア連生団信)のように、どちらか一方に万一のことがあれば債務全額が弁済されるタイプもあります。
Q. 保険金が遺族の手元に入ることはありますか?
A. ありません。団信の保険金は住宅ローンの返済に充当されるため、現金として遺族が受け取るものではありません。生命保険金のように相続人の生活費に使えるわけではない点は、遺族保障を考えるうえで押さえておきたいところです。
Q. 手続きが遅れると請求できなくなりますか?
A. 保険金の請求権には時効があり、一般に支払事由が生じた日から3年とされています。年単位の猶予はありますが、書類の取得や医師への依頼にも時間がかかるので、落ち着いたらできるだけ早く金融機関に連絡しておくのが安全です。
万が一のときにご家族が困らないよう、「どこの金融機関で借りているか」「団信に加入しているか」「保障内容はどうなっているか」を、元気なうちに家族と共有しておくことを強くおすすめします。書類や取り扱いは金融機関・保険会社によって異なるため、実際の手続きの詳細は借入先の金融機関にご確認ください。

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