- 公開日: 2026.07.20
- 住宅購入の基礎知識
賃貸併用住宅の3つのデメリットとは?空室リスクと住宅ローンの注意点

こちらの記事では、同一の建物にご自身や家族が住むスペースと、賃貸として他人に貸し出すスペースを併せ持つ「賃貸併用住宅」についてご紹介しました。
近年は、給与収入以外の収益源を持つことでリスクヘッジをしたいという考え方から、賃貸併用住宅への関心が高まっています。前回の記事でご紹介したように、家賃収入で住宅ローンの返済負担を軽くできるなど、金銭面・資産面のメリットが期待できる住まい方です。
ただし、賃貸併用住宅は「自分たちが住む家」であると同時に「他人に貸す賃貸住宅」でもあります。多くの方に魅力を感じてもらい、長く住み続けてもらうための工夫、つまり大家さんとしての経営感覚が必要になります。
今回は、賃貸併用住宅を検討する前に知っておきたいデメリットを解説します。
賃貸併用住宅の最大のリスクは「空室リスク」

ご自身の住宅の一部を賃貸として他人に貸し出すうえで、最も大きなリスクが「空室リスク」です。
賃貸住宅として貸し出しているのに借り手がつかず空室が続くと、家賃収入が入らないだけでなく、住宅ローンの返済を自分の収入だけで支え続けることになり、負担が一気に重くなります。「家賃収入でローンを返せるはず」という前提で資金計画を立てていると、空室が続いたときに家計が苦しくなってしまうのです。
「家賃収入が入ってくるから」と安易に賃貸併用住宅を建てても、借り手がいなければ意味がありません。あらかじめ、賃貸住宅の需要が高い地域かどうか、需要がどれくらいあるのかを事前にしっかり調査することが重要です。例えば、駅に近く都心まで乗り換えなしで行けるか、スーパーマーケットやコンビニエンスストアが近いか、公共施設や学校などが充実しているかといった利便性・生活環境が、入居のしやすさに大きく影響します。
賃貸住宅の管理や入居者管理を行う必要がある

賃貸併用住宅では、ご自身や家族だけでなく、入居者と同じ建物で暮らすことになります。そのため、賃貸部分の掃除や設備のメンテナンス、入居者の対応などをご自身で行う必要があります。
例えば、共用部の清掃はもちろん、照明が切れていないかなど設備に不具合がないかを定期的に確認し、不具合が見つかればその都度直すといったメンテナンスが必要です。入居者への対応としても、ゴミ出しのマナーの周知、入居者同士のトラブルへの対応、家賃の管理など、入居者が快適に生活できるための働きかけが求められます。
ただし、お仕事を持っている方が、これらをすべてご自身で行うのは現実的に難しいでしょう。その場合は、賃貸住宅の管理を請け負う不動産管理会社に委託するのも1つの方法です。委託すればその分の経費(管理委託料)が発生しますが、できるだけ経費を抑えたい場合は、一部の業務だけを委託し、手の届く範囲をご自身や家族で協力して行うことも可能です。
管理会社に任せる場合でも、任せきりにするのではなく、ご自身でも定期的に賃貸部分をチェックして改善点を管理会社に伝えるなど、入居者が快適に暮らせるよう常に考えて賃貸経営を行う姿勢が大切です。
賃貸部分の設備の故障や破損、リフォームなど多くの出費が発生する

賃貸併用住宅は、建てたら終わりではありません。その後も賃貸部分で設備の故障や破損が発生することは十分に考えられます。例えば、賃貸部分の各部屋に設置しているエアコンや給湯器が故障して交換が必要になる、といった事態です。設備を設置している以上、年数が経てば必ず更新の時期がやってきます。
こうした設備の交換は、ある日突然、まとまった出費として発生します。また、入居者の入れ替わりの際に行う原状回復やリフォームの費用も、基本的にオーナーであるご自身の負担です。
長期にわたって入居者にとって魅力的な賃貸であり続けるためには、日々の収入から支出を差し引いて残ったお金である「キャッシュフロー」を確保しておく必要があります。
「家賃収入が入るから」と背伸びして高めのローンを組み、収入のほとんどがローンの返済に消えてしまうと、設備のメンテナンスやリフォームの資金が確保できません。住宅ローンを契約する前に、月々の家賃収入の見込みとローン返済額がいくらになるのかをシミュレーションしておくことが重要です。
賃貸住宅は、時が経つと魅力が薄れ、入居者が定着しにくくなる可能性が高まります。定期的にリフォームを行い、長く選ばれる賃貸住宅であり続けられるよう、キャッシュフローで蓄えた資金を再投資していくことも重要です。
住宅ローンの組み方にも注意点がある
賃貸併用住宅ならではの注意点として、住宅ローンの使い方に制約があることも知っておきましょう(2026年7月時点)。
まず、多くの金融機関では、賃貸併用住宅に住宅ローンを利用する条件として「自宅部分の床面積が建物全体の2分の1(50%)以上であること」を求めています。自宅部分が半分未満だと、金利の高いアパートローン(不動産投資ローン)での借入れが必要になるのが一般的です。
また、【フラット35】は第三者に賃貸する目的の部分には利用できないため、賃貸部分を含めた建物全体をフラット35だけで建てることはできません。賃貸併用住宅の全体をローンで建てる場合は、民間金融機関の住宅ローンが中心的な選択肢になります。
さらに、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の対象になるのは自宅部分のみで、賃貸部分は対象外です。借入額のうち控除を受けられる範囲が通常のマイホームより小さくなる点も、資金計画に織り込んでおきましょう。
取扱いの可否や条件は金融機関ごとに異なるため、最新の条件は必ず各金融機関の公式サイトや窓口でご確認ください。
賃貸併用住宅のよくある質問
Q1.空室リスクを減らすには、何から始めればよいですか?
まずは立地の見極めです。最寄り駅からの距離、都心へのアクセス、周辺の生活利便施設、近隣の賃貸物件の空室状況・家賃相場を調べましょう。ハウスメーカーや不動産会社の賃料査定を複数社から取り、楽観的な家賃設定ではなく控えめな想定で収支を組むことが失敗を防ぐコツです。
Q2.管理会社に委託すると、どんな業務をお願いできますか?
入居者の募集、家賃の集金・滞納対応、クレーム・トラブル対応、共用部の清掃、退去時の立ち会いなど、賃貸経営の実務を幅広く委託できます。委託料は会社や委託範囲によって異なるため、複数社から見積もりを取り、委託範囲とセットで比較しましょう。
Q3.将来、自分たちが住まなくなったらどうなりますか?
住宅ローンは「自らが居住すること」が前提の融資です。転勤などで自宅部分に住まなくなる場合は、金融機関への相談が必要になり、契約内容によっては扱いが変わることがあります。ライフプランの変化も見据えて、売却や賃貸への転用のしやすさ(流動性)も考えて計画することが大切です。
賃貸併用住宅は、メリットとデメリットの両方を理解したうえで、無理のない資金計画と入念な需要調査ができれば、心強い住まい方の選択肢になります。まずは情報収集から、じっくり検討を進めていきましょう。

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