- 公開日: 2026.08.22
- 住宅購入の基礎知識
財産が少なくてももめる遺産相続|実家の相続でまず確認したいこと

Kさんは、両親が亡くなったために相続の手続きをすることになりました。
両親には自宅と土地以外にめぼしい財産もなく、財産分与についてモメる事は無いだろうと思っていたKさんは、これを機会に古くなった実家の建て替えを考えていました。
しかし、そんなKさんの予想は、もろくも崩れてしまうのです。

家庭裁判所で成立した遺産分割の多くは、遺産額5,000万円以下のケース。
つまり、家庭裁判所まで持ち込まれる遺産分割の多くは、いわゆる資産家の話ではありません。「うちは財産が少ないから大丈夫」は、残念ながら根拠になりません。
出典:法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」「相続人申告登記について」「自筆証書遺言書保管制度について」
とくに注意したいのが相続登記の義務化です。2024年4月1日より前に発生した相続も対象で、3年の猶予期間が設けられています。「実家の名義が祖父のまま」といったケースは珍しくありませんので、心当たりがあれば早めに確認しておきましょう。なお相続人申告登記は義務を果たすための簡易な方法で、不動産の権利関係を公示するものではないため、売却したり抵当権を設定したりする場合には別途、相続登記が必要です。
財産が少ないからこそ、問題になる!?
Kさんのように、遺産が実家の家と土地だけなので、相続問題とは無関係だろうと早合点される方もいらっしゃるでしょう。 しかし、財産が少ないから無関係と言えるのは「相続税」であって、「財産分与(遺産分割)」については無関係とは限りません。 相続でしばしば話題にされるのは、平成27年以降の基礎控除額の改正「(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)から(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」です。 確かに大きな制度改正ではありますが、それでも相続税がかかるのは一部です。国税庁の「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、令和6年分の課税割合は10.4%(令和5年分は9.9%)。およそ10人に1人で、残りの約9割は相続税の申告に至っていません。 一方で、遺産分割でもめるかどうかは、相続税がかかるかどうかとは別の話です。最高裁判所の司法統計(遺産分割事件のうち認容・調停が成立した件数を、遺産の価額別に集計したもの・全家庭裁判所)を見ると、遺産額1,000万円以下が約34%、1,000万円超5,000万円以下が約43%で、合わせると約77%が「5,000万円以下」です(年によって多少前後します)。
一番問題になるのは・・・やはり兄弟姉妹
さてKさんはと言うと、兄弟から、実家を売却して資金を分けてもらいたいと言われてしまいました。 長年両親の面倒を見てきたKさんからすれば、実家の権利は自分が優先されるべきと考えており、古くなった実家を建て替えて家族と一緒に住むつもりだったので、人生設計が狂ってしまいます。 ならばと、法律で規定された「法定相続」による分配方法を活用してみてはと考えましたが、財産が不動産の場合は分けるのが難しいため、兄弟が主張するように売却して現金で分けることになってしまうのです。 そうなると、売却を考えていないKさんと、法定相続分を受けられない兄弟、さらに、兄弟の家族(奥さんなど)の主張も入って収まりがつかなくなり、先に述べたような調停に発展してしまうことになるのです。 【用語ミニ解説】 ・法定相続分…民法が定める相続の取り分の目安。全員が合意すれば、この割合どおりに分けなくても構いません。 ・遺産分割協議…相続人全員で遺産の分け方を話し合うこと。ひとりでも反対すると成立しません。 ・代償分割…実家を相続する人が、他の相続人に対して現金(代償金)を支払って調整する方法。不動産を売らずに済むことがあります。実家を相続して建て替える・リフォームするときの注意点
Kさんのように「実家を相続して建て替えたい」という場合、住宅ローンの面でも押さえておきたいポイントがあります。 1. 共有名義のままだと動きにくい 遺産分割がまとまらないまま相続人全員の共有になっていると、建て替えや売却の場面で全員の足並みをそろえる必要が出てきます。担保に入れる場合も同じです。たとえば【フラット35】では、借入対象となる住宅やその敷地を共有する場合、申込みご本人が共有持分を持つなどの要件があると公表されています(2026年4月1日現在)。 2. 名義(誰の家か)を先に決める 建て替えやリフォームの資金を住宅ローンで借りるなら、「その家に住む人=借りる人」の名義を、先に相続登記まで済ませておくのが基本の流れです。話し合いが長引くほど、着工も融資も先に進みません。 3. 代償金の資金計画も一緒に考える 実家を残したい場合、他の相続人へ代償金を払う選択肢があります。この代償金を住宅ローンで賄えるとは限らないため、自己資金や他の方法も含め、早い段階でお金の全体像を描いておくことが大切です。相続が発生する前に手を打っておく!
相続税の対象となる財産をお持ちのケースでは、すでに何らかの対策を講じている方がほとんどです。 一方、Kさんのように財産が少ないから相続税なんて関係ないと、対策を打っていないケースの方が圧倒的に多く、調停などに発展しまうのです。 ですから、財産の大小に関係なく、両親の存命中にしっかり対策を立てておく必要があり、その最も有効な手段が「遺言書」なのです。なかでも「公正証書遺言」は、公証人が関与し原本が公証役場に保管されるため、有効性の観点からも多くのケースで採用されています。 そして、以前は「自分で書く遺言(自筆証書遺言)は紛失や書き換えが心配」という弱点がありましたが、いまは法務局が預かってくれる制度があります。 両親と子供が同居している場合は、相続が発生した時の問題が複雑になるため、両親が健在なうちに、相続対策を講じておく必要があります。その対策の最も有効な手段が、遺言書と言えるでしょう。知っておきたい、近年変わった相続のルール
この記事の相談当時から、相続をめぐる制度はいくつか大きく変わりました。実家の相続を考えるうえで押さえておきたいのは、次の3つです。| 制度 | いつから | ポイント |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言書保管制度 | 2020年7月10日 | 自分で書いた遺言書を法務局が保管(保管申請の手数料は1通3,900円)。相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になる |
| 相続登記の申請義務化 | 2024年4月1日 | 不動産を相続した相続人は、取得を知った日から3年以内に登記の申請が必要。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象 |
| 相続人申告登記 | 2024年4月1日 | 遺産分割が長引くときに、登記官へ相続人であることを期限内に申し出れば義務を履行できる簡易な方法(特定の相続人が単独で申出可) |
まとめ:まず何から始めればいい?
相続の話は切り出しにくいものですが、後回しにするほど選択肢は減っていきます。次の順番で、できることから進めてみてください。 1. 実家の名義を確認する…登記簿(登記事項証明書)で現在の所有者と持分を確認します 2. 相続人が誰になるかを整理する…兄弟姉妹、その配偶者との関係も含めて全体像をつかみます 3. 「実家をどうしたいか」を家族で話しておく…住み続けるのか、売るのか。方向性だけでも共有しておくと違います 4. 遺言書を検討する…公正証書遺言、または自筆証書遺言書保管制度を利用する方法があります 5. 建て替え・リフォームを考えているなら資金計画も並行して…名義・登記が整っていないとローンの手続きは進みません なお、相続の手続きや税金の取扱いは個々の事情で結論が変わります。実際の手続きにあたっては、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。制度の内容も改正されることがありますので、最新の情報は法務省・国税庁など公的機関の公式サイトでご確認ください。
イオン銀行は、ネット申込と店頭相談の両方が可能なハイブリッド型!
金利以外のお得なサービスも充実しているため、生活費の節約もできます。
イオン銀行住宅ローンはここがお得!
- 疾病保障付住宅ローンは2つの特約付きでさらに安心
- 保証料0円!負担になる諸費用を大幅節約
- 一部繰上げ返済手数料0円!借り入れ後もお得に返済
住宅購入の基礎知識関連記事
-
- 2026.09.08
- 5257view
-
- 2026.09.08
- 6529view
-
- 2026.09.08
- 4942view
-
- 2026.09.08
- 3965view
-
- 2026.09.08
- 3263view
-
- 2026.09.08
- 4105view










