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財産が少なくても遺産相続でもめる?実家の相続で最初にすること

財産が実家の家と土地だけでも、遺産相続でもめることは珍しくありません。相続税がかからないことと、兄弟姉妹で分け方がまとまることは別の話で、不動産は現金のように分けられない分、かえって話し合いがこじれやすいからです。

実家の相続では、まず実家の名義と、誰が相続人になるかを確認してください。

2024年4月からは相続登記が義務になり、2026年2月には亡くなった親の不動産を一覧にできる制度も始まりました。名義の確認は、以前より手間をかけずにできるようになっています。

財産が少なくても遺産分割でもめることがある

相続税がかかる人は、亡くなった人のおよそ10人に1人です。国税庁の「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によると、相続税の課税割合は10.4%でした(国税庁 報道発表資料)。

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、遺産がこれ以下なら相続税はかかりません。残りの約9割の人にとって、相続税はあまり関係のない話です。

とはいえ、遺産分割でもめるかどうかは、相続税とは関係がありません。

最高裁判所の「司法統計年報 家事編」(令和6年)を見ると、家庭裁判所で認容・調停成立した遺産分割事件のうち、遺産額5,000万円以下のケースが7割を超えています。

家庭裁判所まで持ち込まれる遺産分割の多くは、資産家の話ではありません。「うちは財産が少ないから大丈夫」は、もめない理由になりません。

実家1軒の相続では兄弟姉妹の意見が分かれやすい

よくある状況をもとに、仮のケースで考えてみます。両親を亡くしたKさんは、遺産が実家の家と土地だけなので、相続でもめることはないと考え、古くなった実家を建て替えて家族で住むつもりでした。

ところが兄弟からは、実家を売って代金を分けてほしいと言われます。長年両親の面倒を見てきたKさんは、実家は自分が引き継ぐべきだと考えていたので、話し合いは平行線になります。

法律で決められた法定相続分で分けようとしても、財産が不動産だけだと、そのままでは分けられません。兄弟の言うとおり売って現金で分けるか、別の方法を考えるしかなくなります。

1つのケーキを、包丁を使わずに3人で分けようとするようなもので、誰かが譲るか、何かで埋め合わせるしかありません。兄弟の配偶者の意見も加わると、家庭裁判所の調停に進むこともあります。

相続の話し合いで出てくる3つの用語
  • 法定相続分…民法が定める相続の取り分の目安です。相続人全員が合意すれば、この割合どおりに分けなくても構いません。
  • 遺産分割協議…相続人全員で遺産の分け方を話し合うことです。ひとりでも反対すると成立しません。
  • 代償分割…実家を相続する人が、ほかの相続人に現金(代償金)を払って調整する方法です。不動産を売らずに済むことがあります。

実家を相続して建て替えるなら名義と資金を先に決める

Kさんのように実家を相続して建て替えたい場合は、住宅ローンを借りる前に整えておくことがあります。

共有名義のままだと建て替えも売却も進みにくい

遺産分割がまとまらないまま相続人全員の共有になっていると、建て替えや売却のたびに全員の同意が必要です。住宅ローンの担保に入れる場合も、共有者全員の協力がいります。

住む人の名義にして相続登記を済ませておく

建て替えやリフォームの資金を住宅ローンで借りるなら、その家に住んで借りる人の名義で、先に相続登記まで済ませてください。話し合いが長引くほど、着工も融資も先に進みません。

古い家を壊して建て直す場合は、解体費用もかかります。費用の相場は古家の解体費用の相場と抑え方の記事で紹介しています。

代償金も含めて資金計画を立てる

実家を残したい場合は、ほかの相続人へ代償金を払う方法があります。代償金を住宅ローンで借りられるとは限らないため、自己資金も含めて、早い段階でお金の全体像をつかんでおく必要があります。

兄弟の家族と同居する形で建て替える場合は、二世帯住宅の登記の仕方も将来の相続に影響します。登記と相続の考え方は二世帯住宅の登記・相続で損しない考え方で解説しています。

相続が始まる前なら遺言書でもめごとを防げる

相続税がかかる家庭では、生前に何らかの対策をしていることが多い一方、財産が少ない家庭ほど対策をしないまま相続を迎えがちです。

財産の大小に関係なく、両親が元気なうちにできる対策が遺言書です。公正証書遺言は、公証人が関わって作り、原本が公証役場に保管されるので、無効になったり紛失したりする心配が少なくなります。

自分で書く自筆証書遺言は、以前は紛失や書き換えが心配でしたが、いまは法務局に預ける制度があります。

両親と子どもが同居している場合は相続のときに事情が複雑になりやすいので、両親が健在なうちに話し合っておくと、残された家族の負担が軽くなります。

相続登記の義務化など近年変わった相続のルール

相続をめぐる制度は、ここ数年で大きく変わりました。実家の相続に関係するおもなルールは、下の表のようになっています(2026年10月時点)。

制度 いつから ポイント
自筆証書遺言書保管制度 2020年7月10日 自分で書いた遺言書を法務局が保管(保管申請の手数料は1通3,900円)。相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になる
相続登記の申請義務化 2024年4月1日 不動産を相続した相続人は、取得を知った日から3年以内に登記の申請が必要。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象
相続人申告登記 2024年4月1日 遺産分割が長引くときに、相続人であることを期限内に申し出れば義務を果たせる簡易な方法(相続人が単独で申出可)
所有不動産記録証明制度 2026年2月2日 亡くなった人などが登記簿上の所有者になっている全国の不動産を、法務局が一覧にして証明する
住所等の変更登記の義務化 2026年4月1日 所有者の住所や氏名が変わったら、変更から2年以内に登記が必要。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象

出典は法務省の各制度の案内と政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化」です。

相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に起きた相続も対象です。この場合は2027年3月31日までに登記を申請する必要があり、実家の名義が祖父のままといったケースは期限が近づいています。

相続人申告登記は義務を果たすための簡易な方法で、不動産の権利関係を示すものではありません。実家を売ったり、住宅ローンの抵当権を設定したりする場合には、別に相続登記が必要です。

所有不動産記録証明書は、登記簿上の氏名・住所が請求書と一致する不動産だけが一覧に出ます。親が引っ越したあと住所を変更していない不動産は、出てこないことがある点に気をつけてください。

まとめ 実家の相続はこの順番で準備する

相続の話は切り出しにくいものですが、後回しにするほど選べる方法は減っていきます。次の順番で、できることから進めてください。

  1. 実家の名義を確認する(登記事項証明書や所有不動産記録証明書で、所有者と持分を調べる)
  2. 相続人が誰になるかを書き出す(兄弟姉妹と、その配偶者との関係も含める)
  3. 実家に住み続けるのか、売るのかを家族で話しておく
  4. 公正証書遺言か、自筆証書遺言書保管制度を使った遺言書を検討する
  5. 建て替えやリフォームを考えているなら、名義と登記を整えながら資金計画を立てる

相続の手続きや税金の扱いは家庭ごとの事情で結論が変わり、制度も見直されることがあるので、実際に手続きを進める前に、弁護士・司法書士・税理士などの専門家への相談と、法務省・国税庁の案内で最新の内容を確かめてください。

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