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住宅資金の置き場所に「個人向け国債」という選択肢|金利と選び方を解説

マイホーム購入資金の運用方法を紹介した記事で、低リスクで運用できる方法のひとつとして「国債」を紹介しました。

かつては「銀行に預けてもほとんど利息がつかない」時代が長く続きましたが、日銀の利上げが進んだ2026年現在は、預金にも国債にもしっかり金利がつく環境に変わってきています。そのなかでも個人向け国債は、金融の知識が少なくても低リスクで住宅資金を運用できる手段として、あらためて注目されています。今回はその仕組みと選び方をやさしく解説します。

国債とは政府が資金調達のために発行する債券

国債とは、日本政府が資金調達のために発行する債券です。債券を購入することは国にお金を貸すことであり、国債はそれを証明する「借用証書」にあたるものです。

国債を購入すると、満期日までの間は半年ごとに利子を受け取ることができ、満期になれば元本が全額返ってきます。国債のうち個人向けに発行されるものを「個人向け国債」と呼び、全国の証券会社や銀行、信用金庫など多くの金融機関で1万円から購入できます

個人向け国債は毎月発行されており、種類は3つあります。満期まで10年で半年ごとに利率が見直される「変動10年」満期まで5年で購入時の利率が満期まで続く「固定5年」満期まで3年の固定金利「固定3年」です。

政府が元本と最低金利を保証。2026年は金利が大きく上昇中

個人向け国債のいちばんのメリットは、日本政府が元本を保証しており、金利にも最低年率0.05%の下限が設けられているため、安心して運用できる点です。相場変動によって元本割れすることがないので、リスク許容度が低い方や、使う時期が決まっている住宅資金の置き場所に向いています。

そして2026年は、日銀の利上げを背景に個人向け国債の金利が大きく上昇しています。財務省が発表した2026年7月募集分(募集期間:7月6日〜7月31日、発行日:8月17日)の利率は次のとおりです。

タイプ 利率(年率・税引前) 特徴
変動10年(第196回債) 1.80%(初回適用利率) 半年ごとに利率を見直し。金利上昇に追随できる
固定5年(第184回債) 1.95% 今回最も高い利率。満期まで利率が変わらない
固定3年(第194回債) 1.56% 使う時期が近い資金向け

※利率は毎月の募集ごとに変わります。最新の募集条件は財務省の公式サイトでご確認ください。

預金金利も上昇しており、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3メガバンクは2026年8月3日から普通預金金利を年0.3%から年0.4%へ引き上げると発表しています。それでも個人向け国債の利率は普通預金を大きく上回る水準にあり、「すぐには使わない住宅資金」の置き場所としての魅力が高まっています。なお、受け取る利子には20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税)がかかる点は覚えておきましょう。

受け取れる利息は減るが元本割れなしで中途換金も可能

個人向け国債は満期まで10年・5年・3年のいずれかですが、発行から1年が経過すれば、満期前でもいつでも中途換金ができます(発行後1年間は、災害救助法の適用対象となる大規模災害で被害を受けた場合など、やむを得ない事情を除いて換金できません)。

中途換金する場合は、中途換金調整額として「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれる点に注意が必要です。ただし、この調整額が差し引かれても元本割れすることはありません。住宅の購入時期が近づいてきたタイミングで、必要な分だけ換金するといった使い方ができます。

購入時の利回りや中途換金した場合の受取金額を試算するには、財務省が用意している個人向け国債の「シミュレーションツール」を活用してみると良いでしょう。

住宅資金の運用はどのタイプを選ぶ?

住宅購入に向けた資金の置き場所として個人向け国債を選ぶ場合、基本の考え方は「いつ使うお金か」に合わせてタイプを選ぶことです。

購入時期がまだ決まっていない、あるいは5年以上先になりそうな場合は、半年ごとに利率が見直される「変動10年」が候補になります。いまのように金利が上がっていく局面では、利率の見直しによって金利上昇の恩恵を受けやすいのが強みです。一方、「3〜5年後に買う」と時期がある程度見えている場合は、現在の高い利率を満期まで確定できる「固定5年」や「固定3年」も有力です。2026年7月募集分では固定5年が1.95%と最も高くなっています。

ただし、低金利でローンを組めるからと自己資金が少ないまま思い切って購入してしまうと、家計に占める負債の割合が大きくなりすぎるおそれがあります。ローン返済中に、失業や病気で収入が途絶えたり、まとまった出費が必要になったりする事態も考えられます。返済が負担にならないようにするためにも、頭金となる資金を十分に確保しておくことが大切です。個人向け国債は、その頭金を安全に育てるための器として活用できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 住宅購入の予定が急に早まったら、国債はすぐ現金にできますか?
A. 発行から1年が経過していれば中途換金できます。直前2回分の利子相当額をもとにした調整額は差し引かれますが、元本割れはしません。換金手続きや受け渡しの日程は取扱金融機関によって異なるため、購入先で確認しておくと安心です。

Q. 途中で金利が下がったら、受け取る利子はどうなりますか?
A. 変動10年は半年ごとに利率が見直されるため受取利子も変わりますが、年率0.05%の最低保証があるため、それを下回ることはありません。固定5年・固定3年は購入時の利率が満期まで変わりません。

Q. 住宅財形や定期預金と比べてどうですか?
A. 一概にどれが有利とは言えませんが、個人向け国債は「元本保証・1万円から・毎月購入できる」手軽さが特徴です。勤務先に財形制度がある方は財形住宅貯蓄の非課税メリットも比較し、預金金利・キャンペーンも含めて最新の条件を各金融機関・財務省の公式サイトで確認してみてください。

住宅資金づくりは「増やすこと」よりも「減らさないこと」が優先です。個人向け国債は派手さこそありませんが、金利のある時代になったいま、元本を守りながら着実に住宅資金を育てられる、初心者にも扱いやすい選択肢と言えるでしょう。

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