- 公開日: 2026.09.03
- 住宅購入の基礎知識
太陽光発電のデメリットとは?費用・売電価格・業者選びの注意点

前回は、太陽光発電システムを設置することによるメリットについてお話ししました。
クリーンエネルギーであることによる環境面でのメリット、補助金や売電による経済的なメリット、停電時に電気が使えるという安心感。こうして並べてみると、設置しない理由が見当たらないようにも思えてきます。
でも、メリットがあればデメリットもあるのが世の常です。太陽光発電は「後から気づいた」では取り返しがつきにくい、高額な買い物でもあります。ここでは、契約する前にぜひ知っておきたいデメリットを、初めての方にもわかるように順番に見ていきましょう。

買取期間は10年間。5年目以降は単価が下がるため、自家消費の比重が大きくなる(2026年度に認定を受ける場合)。
つまり、5年目以降は「売って稼ぐ」よりも「自分で使って電気代を減らす」ほうが効果が大きくなるということ。昼間に人がいない家庭では思ったほどメリットが出ない、というのはここに理由があります。蓄電池を組み合わせるという選択肢もありますが、当然そのぶん初期費用は増えます。
なお、この価格は年度ごとに見直され、認定を受けた年度の条件が買取期間の終わりまで適用されます。すでに設置している方が後から新しい価格に切り替えることはできません。検討中の方は、契約前に必ず最新の価格を公式サイトで確認してください。
こうして並べてみると、設備そのものの欠点というより、「条件の見極め」と「相手の見極め」で結果が大きく変わることがわかります。
経済的なデメリット:初期費用の回収には年数がかかる
まず押さえておきたいのが、導入には高額な初期費用がかかる一方で、その全額をまかなえるほどの補助金や税制優遇があるわけではないということです。自己負担した費用は、電気代の削減と売電収入で少しずつ回収していくことになります。 その回収スピードを左右するのが「売電価格」です。住宅用の太陽光発電(10kW未満)は、FIT(固定価格買取制度)によって、電力会社が一定の価格で一定期間、余った電気を買い取ってくれる仕組みになっています。 2026年度に新しく認定を受ける住宅用太陽光(10kW未満)の買取価格は、1〜4年目が1kWhあたり24円、5〜10年目が1kWhあたり8.3円で、買取期間は10年間です(資源エネルギー庁・2026年3月公表)。これは「初期投資支援スキーム」といって、はじめの数年に高めの価格を設定して回収を早め、その後は自分の家で使う(自家消費)ほうが得になるように設計されたものです。
買取期間の10年が終わったあとはどうなるの?
見落とされがちなのが、FITの買取期間(住宅用は10年)が終わったあとのことです。いわゆる「卒FIT」と呼ばれる状態ですね。 買取期間が終了しても発電できなくなるわけではありませんが、それまでの固定価格での買い取りは終わります。その後は、電力会社や新電力が提供する余剰電力の買取メニューに申し込むか、蓄電池などで自家消費に回すかを選ぶことになります。 このときの買取単価は各社が独自に設定しており、会社やメニューによって差があります。金額を前提に「◯年で元が取れる」と計算するのは危険です。買取期間の終了が近づいたら、そのときの各社の条件を比べて選び直す、と考えておくのが安全でしょう。地域や自然現象によるデメリット
太陽光による発電ですから、夜間は発電しませんし、天気の悪い日には発電量が減少してしまいます。また、隣接する建物の影響で日陰が生じれば発電量は減りますし、当然ながら冬季も発電量は減少します。 意外に思われるかもしれませんが、真夏がいちばん発電するとは限りません。冬季よりも夏季のほうが日照量は多いのですが、太陽電池は温度が上がりすぎると発電効率が下がる性質があるため、実際にもっとも効率よく発電できるのは真夏よりも5月頃と報告されています。 さらに、立地によっては次のような事情も加わります。 積雪地域では、ソーラーパネルの上に積もった雪が落下して事故につながることがあるため、パネルの角度の調整が必要となり、それによって採光効率が低下する場合があります。 海に近い地域では、塩害によってシステム機器の錆びが発生しやすく、防錆び加工された機器の導入が必要になります。 台風や大雨の多い地域では、強風や飛来物による破損のリスクも考えておく必要があります。屋根に載せる設備である以上、住宅の火災保険でどこまで補償されるのかを、契約前に保険証券や保険会社に確認しておくと安心です。 要するに、「同じ設備を同じ費用で設置しても、得られる発電量は土地と屋根の条件によって変わる」ということ。カタログの数値ではなく、自分の家の条件でのシミュレーションを見せてもらうことが大切です。設置して終わりではない:メンテナンスと機器の交換
パネル自体は可動部分が少なく、比較的丈夫だと言われます。ただし、発電した直流の電気を家庭で使える交流に変換する「パワーコンディショナ(パワコン)」は、パネルより先に寿命を迎えることが多い機器です。 交換の時期や費用はメーカー・機種によって異なるため、ここで一律の金額を挙げることはできません。見積りを取る段階で、①パネルとパワコンそれぞれの保証期間 ②保証の対象になる故障の範囲 ③交換が必要になった場合の目安費用の3点を、必ず書面で確認しておきましょう。 「導入費用」だけで判断すると、この将来のコストが計算から抜け落ちてしまいます。回収年数を考えるときは、途中でかかるメンテナンス費用も含めて見るようにしてください。設置業者の中には悪質な業者もいる
太陽光発電は以前から注目されており、また高額であることから、悪質な業者と契約してしまったというトラブルが問題になっています。国民生活センターにも、突然の訪問をきっかけに契約してしまったという相談が寄せられています。 見積りを依頼する際は、屋根の調査をしっかり行い、見積もりの内容や発電量のシミュレーションを詳しく説明してくれる業者を選ぶようにしましょう。「今日契約すれば特別価格」と決断を急がせる相手には、その場で返事をしないことが何よりの防御になります。 なお、訪問販売で契約した場合は、法律で定められた契約書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフができます(特定商取引法)。2022年6月からは、書面だけでなく電子メールなどの電磁的記録による通知も認められています。困ったときは、消費者ホットライン「188(いやや!)」で最寄りの消費生活センターに相談できます。設置費用を住宅ローンにまとめるときの注意点
新築やリフォームと同時に太陽光発電を設置する場合、その費用を住宅ローンに含めて借りられるケースがあります。ソーラーローン(目的別ローン)より金利が低くなることが多く、返済を一本化できる点も魅力です。 ただし、次の点は事前に確認しておきましょう。 ・設備費用を住宅ローンの対象に含められるかどうかは、金融機関ごとに扱いが異なります。後から追加で借りることは基本的にできないため、申し込みの段階で相談しておく必要があります。 ・借入額が増えれば、毎月の返済額も総返済額も増えます。「売電収入があるから大丈夫」と考えず、売電がゼロでも無理なく返済できる金額に収まっているかを確認してください。 ・住宅ローン控除など税制上の取り扱いは、住宅の要件や工事の内容によって変わります。金額の判断に関わる部分は、税務署や自治体、施工会社に確認するのが確実です。デメリットを3つに整理すると
| デメリットの種類 | 具体的に何が起きるか | 契約前にできる対策 |
|---|---|---|
| 経済面 | 初期費用が高い/回収に年数がかかる/5年目以降は買取価格が下がる/10年で買取期間が終わる | 自家消費を前提に試算する。メンテナンス費用も含めた回収年数を出してもらう |
| 自然環境・地域性 | 夜間・悪天候・日陰で発電量が落ちる/積雪や塩害で条件が変わる/台風などによる破損 | 自宅の屋根条件でのシミュレーションを確認。火災保険の補償範囲も確認する |
| 業者の資質 | 説明が不十分/契約を急かされる/後から追加費用が発生する | 複数社から相見積もり。その場で契約しない。訪問販売は8日間のクーリング・オフが使える |
よくある質問
Q. 太陽光発電をつけると、住宅ローンの審査に影響しますか? 設備費用を住宅ローンに含める場合、そのぶん借入額が増えるため、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)の計算には影響します。年収に対して借入額が大きくなりすぎないか、事前審査の段階で相談しておくと安心です。 Q. 蓄電池も一緒に入れたほうがいいのでしょうか? 5年目以降は買取価格が下がるため、貯めて自分で使えるようにする蓄電池と相性がよいのは確かです。ただし蓄電池自体が高額なので、「入れたほうがいい」と一律には言えません。自宅の電気の使い方(昼に使うのか、夜に使うのか)を確認したうえで判断してください。 Q. 設置が義務になっている地域があると聞きました。自分にも義務があるのでしょうか? 東京都では2025年4月から、新築建物への太陽光パネル設置等を義務付ける制度(建築物環境報告書制度)が始まっています。ただし義務を負うのは、都内に一定規模以上の建物を供給する大手のハウスメーカー等の事業者であり、家を建てる個人に義務が課されるわけではありません。お住まいの自治体の制度や助成金は、必ず自治体の公式サイトで確認してください。 Q. 補助金はどこで調べればいいですか? 国・都道府県・市区町村で別々に実施されており、年度の途中で予算がなくなって受付が終わることもあります。申請の時期や条件は毎年変わるため、検討している時点の最新情報を各自治体・公的機関の公式サイトで確認するのが確実です。まとめ:後悔しないために、契約前に確かめておきたいこと
デメリットを大別すると、経済面、自然環境や地域性、業者の資質になり、設備そのもののデメリットは比較的少ないと言えます。裏を返せば、事前の確認しだいで避けられるものが多いということでもあります。 太陽光発電システムは高額の商品です。設置してから後悔することのないよう、複数社の見積りを比べ、自宅の条件で試算してもらい、将来の費用まで含めて判断するようにしましょう。 そして、住宅の購入やリフォームと合わせて検討している方は、設備費用をどう借りるかもセットで考えておくことをおすすめします。住宅ローンは金利だけでなく、事務手数料・保証料・団体信用生命保険(団信)の内容まで含めて比べると、総額の差が見えてきます。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料と一部繰上返済手数料が0円で、一般団信のほか全疾病保障付団信も金利の上乗せなしで利用できるなど、費用の内訳がわかりやすい商品設計になっており、初めての方でも比較しやすい選択肢の一つです(事務手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型)。金利や条件は変わることがありますので、最新の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
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