- 公開日: 2026.08.15
- 住宅ローン商品について
家賃並みの返済なのに家計が赤字になるのはなぜ?住まいの維持費を解説

不動産の広告で「家賃並みの返済でマイホームが買えます」という言葉を見かけたことはないでしょうか。実際に毎月の返済額だけを見れば、今の家賃と同じか、それより少ないケースもあります。
ところが、いざ購入して暮らし始めてから「家賃のときより毎月の負担が重い」「気づけば家計が赤字」と感じる方は少なくありません。なぜそんなことが起きるのでしょうか。
答えはシンプルで、持ち家には住宅ローンの返済以外にかかるお金があるからです。この記事では、初めて住宅ローンを検討する方に向けて、その「見落としがちな支出」を一つずつ整理していきます。

同じ借入額でも、金利タイプで月々の負担は大きく変わります(左から三菱UFJ銀行・SBI新生銀行〈SBIハイパー預金優遇〉・みずほ銀行の変動金利、フラット35の全期間固定)。当編集部が2026年8月適用の各行公式金利を実測して試算した概算で、元利均等・ボーナス返済なし・諸費用は含みません。
変動金利なら月8万円台、全期間固定のフラット35なら月12万円台という結果になりました(当編集部調べ・2026年8月4日に各行公式サイトで確認。金利のみの試算で、事務手数料・保証料・団信の上乗せ金利・登記費用などの諸費用は含みません。変動金利は全期間にわたって金利が変わらないと仮定した概算です)。
たしかに、地域によっては同じ広さの賃貸の家賃と大きく変わらない水準です。問題は、家計に必要なお金がこの返済額だけでは終わらないことにあります。
仲介手数料や登記費用は購入時に一度だけかかるイニシャルコストですが、上の表にある費用は毎月・毎年かかり続けるランニングコストです。イニシャルコストを抑えること以上に、このランニングコストを見込んでおくことが、購入後の家計を守る鍵になります。
まず、毎月の返済額はどれくらいになるのか
参考として、当編集部が2026年8月適用の各行公式金利を実際に確認して試算した、借入3,000万円・返済期間35年(元利均等・ボーナス返済なし)の月々返済額を見てみましょう。
不動産を購入すると、返済とは別に固定資産税などが掛かってくる
持ち家になると、毎年固定資産税がかかります。市街化区域内であれば都市計画税も加わります。土地・建物の評価額に応じて課税され、多くの自治体では年4回に分けて納めます(一括納付も可能です)。 見落としやすいのが「軽減が終わったあと」です。新築住宅には固定資産税を2分の1に減額する措置があり、期間は戸建てが3年間、マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物)が5年間です。認定長期優良住宅ならさらに手厚く、戸建て5年間・マンション7年間になります。 この措置は令和8年度税制改正で令和13年(2031年)3月31日まで5年間延長され、対象となる床面積の下限も原則40㎡に緩和されました(国土交通省)。 ただし、これはあくまで期間限定です。軽減期間が終わると税額は本来の水準に戻り、年間の負担が一段上がります。「入居して4年目・6年目から急に苦しくなった」という声は、多くがこれによるものです。購入前から、軽減終了後の税額も想定して資金計画を立てておきましょう。なお中古住宅を購入する場合、前の所有者の新築軽減が残っていなければ、当初からこの軽減は適用されません。維持・管理のための資金もストックする必要がある
建物は必ず傷みます。賃貸なら大家さんが負担していた修繕費を、これからは自分で用意することになります。ここが家賃時代との一番大きな違いです。 一戸建ての場合は、屋根や外壁などの外装をおおむね10〜20年に一度は塗り替えるなど、まとまった費用がかかります。給湯器やエアコンといった住宅設備にも寿命があり、10年前後で交換が必要になることが一般的です。機器の種類や設置状況で費用は大きく変わりますので、見積もりは複数社で取り、日ごろから積み立てておくと安心です。とくにオール電化住宅の電気温水器やエコキュートは、工事費を含めると高額になりやすい設備です。 マンションの場合は、外装などの修繕費が毎月「修繕積立金」として、日常の維持管理費用が「管理費」として自動的に徴収されます。自分で貯める手間がない代わりに、ローン返済とは別に毎月必ず出ていくお金です。 さらに注意したいのが、修繕積立金は将来値上がりすることがあるという点です。新築時は低めに設定され、大規模修繕の時期に向けて段階的に引き上げられる計画になっていることが多くあります。購入前に長期修繕計画と、積立金の今後の予定額を必ず確認してください。一戸建て・マンションそれぞれにおいて見逃されがちな費用
構造の違いによって差が出る費用もあります。その代表が火災保険料と地震保険料です。 一般的な一戸建ては木造が主流で、鉄筋コンクリート造のマンションと比べると、同じ補償内容でも保険料に差が出ます。保険料の見積もりを不動産会社に任せきりにせず、複数社を比較することで負担を抑えられる場合があります。 このとき、金額だけでなく補償の中身も必ず確認してください。とくに水災(洪水・内水氾濫・土砂災害)の補償は、契約によっては付いていないことがあります。お住まいになる場所の自治体のハザードマップを確認したうえで、必要な補償を選びましょう。近年は想定を超える大雨も起きています。「保険に入っているから大丈夫」と考える前に、自分の契約に水災補償が含まれているかを確かめておくことが大切です。 もうひとつ、マンション特有の費用として駐車料金があります。一戸建てなら敷地内に駐車できるため別途の駐車料金はかかりませんが、マンションでは通常1台目から料金が発生します。2台目以降は敷地内で確保できないことが多く、近隣の月極駐車場を借りる必要が出てきます。車を複数台持つご家庭では、この差が毎月の家計に効いてきます。購入後に毎月・毎年かかるお金の一覧
| 費目 | 一戸建て | マンション |
|---|---|---|
| 住宅ローン返済 | あり | あり |
| 固定資産税・都市計画税 | あり(新築は3年間1/2軽減) | あり(新築は5年間1/2軽減) |
| 管理費 | — | 毎月徴収 |
| 修繕積立金 | 自分で積み立てる | 毎月徴収(将来値上がりの可能性) |
| 外装・設備の修繕費 | まとまった額を自分で用意 | 専有部分(給湯器・水回り等)は自己負担 |
| 火災保険・地震保険 | 木造は保険料が高くなりやすい | 鉄筋コンクリート造は抑えやすい |
| 駐車場代 | 敷地内なら不要 | 1台目から必要なことが多い |
変動金利で借りるなら「返済額そのもの」も動きます
もうひとつ、これから借りる方に知っておいていただきたいことがあります。変動金利を選んだ場合、返済額は借入時のまま固定ではありません。 実際、みずほ銀行は公式サイトで、「2026年9月30日までに年1.025%~でお借り入れした場合、2027年1月返済分から年1.275%~が適用されます」と案内しています(2026年8月1日現在。同行の変動金利の見直し基準日は4月1日・10月1日)。三菱UFJ銀行も、2026年9月1日から変動金利の基準金利の見直しを年2回の定例から毎月1日基準へ変更することを公表しています。 いつ・どのくらい反映されるかは銀行や契約タイプによって異なります。ご自身の契約がどうなるかは、返済予定表と借入先の公式サイトで必ず確認してください。 あわせて覚えておきたいのが「5年ルール」と「125%ルール」です。多くの銀行の元利均等返済では、金利が見直されても毎月の返済額は5年間据え置かれ、見直し後の返済額も直前の125%までしか上がりません。急な家計の悪化を防ぐ仕組みですが、返済額が抑えられている間も利息は発生しているため、返済の終盤にしわ寄せが来ることがあります。 さらに注意点が2つあります。元金均等返済ではこの2つのルールは対象外であること(みずほ銀行の公式サイトにも明記されています)、そしてそもそも5年ルール・125%ルールを採用していない銀行もあることです。変動金利を選ぶなら、契約前に必ず確認しておきましょう。では、いくらまでなら無理がないのでしょうか
初心者の方によくお伝えしているのは、「借りられる額」ではなく「返し続けられる額」で決めるという考え方です。具体的には、次の3つを順番に確かめてみてください。- 今の家賃+毎月の貯蓄額を出す。これが、無理なく住居費に回せている実績値です。
- そこから管理費・修繕積立金(または修繕用の積立)・駐車場代を差し引く。残りが、月々の返済に充てられる目安になります。
- さらに固定資産税の1か月分(年額÷12)と、軽減終了後の増加分も引いておく。
よくある質問
Q. 固定資産税は、だいたいいくらくらいかかりますか? 土地・建物の評価額や自治体、住宅の性能によって変わるため一律には言えません。目安を知りたい場合は、購入を検討している物件について不動産会社に概算を出してもらうか、その自治体の窓口で確認するのが確実です。新築の軽減が終わったあとの金額もあわせて聞いておくと、資金計画が立てやすくなります。 Q. マンションの管理費・修繕積立金は、住宅ローンの審査に影響しますか? 金融機関によっては、返済負担率を計算する際にこれらを考慮する場合があります。審査に通るかどうか以前に、家計の実感としてローン返済と同じ性質の固定費ですので、借入額を考えるときは必ず合算して見てください。 Q. 修繕積立金が安いマンションはお得ですか? 必ずしもそうとは言えません。積立額が少ないと、大規模修繕の時期に一時金の徴収や大幅な値上げが必要になることがあります。金額の高低よりも、長期修繕計画の内容と、積立金の総額が計画に見合っているかを確認しましょう。 Q. 一戸建てなら修繕費は自由に先延ばしできますか? 先延ばし自体は可能ですが、外装の傷みを放置すると雨水の浸入につながり、後の工事費用がかえって大きくなることがあります。マンションの修繕積立金と同じように、毎月一定額を「自分の修繕積立金」として別口座に貯めておく方法がおすすめです。 Q. 賃貸のままのほうが結局は安いのでしょうか? 一概には言えません。持ち家は税金や修繕費がかかる一方、完済後は住居費が大きく下がり、資産として残ります。賃貸は身軽ですが、家賃は生涯支払い続けます。どちらが正解かではなく、ご自身の働き方・家族計画・住み替えの可能性に合うかで考えるのが現実的です。まとめ|「返済額」ではなく「住居費の総額」で考える
家賃並みの返済額でマイホームを持つことは、決して不可能ではありません。ただし比べるべきは「家賃 対 ローン返済額」ではなく、「家賃 対 住居費の総額」です。固定資産税、修繕費や修繕積立金、保険料、駐車場代まで含めて考えれば、判断を誤ることはぐっと減ります。 そのうえで、住宅ローンそのものの選び方も家計を左右します。金利の低さだけでなく、事務手数料・保証料・繰上返済手数料・団体信用生命保険の保障内容まで含めた総額で比べてください。 たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料と一部繰上返済手数料が0円で、繰上返済は1円から何度でも利用できます。団信は上乗せ0円の一般団信のほか、がん団信、全疾病保障付団信が用意されています。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、はじめての方も相談しながら進めやすい一行です。 金利・手数料・団信の内容は改定されることがあります。最新の条件は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。
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