- 公開日: 2026.08.28
- 購入と賃貸について
住み替えは売却先行と購入先行どっち?買い換えの順番と資金計画

いまの住まいが手狭になってきた、子どもの進学や転勤で場所を変えたい。そんな理由で「買い換え(住み替え)」を考えはじめる方は少なくありません。
ただ、買い換えは「家を売る」と「家を買う」を同時に進める作業です。はじめての方がほぼ必ずぶつかるのが、「いくらで売れるか分からないと次の家の予算が決められない」「引っ越し先が決まらないと安心して売れない」という、ニワトリと卵のような問題です。
そこでこの記事では、買い換えの進め方を「売却先行」と「購入先行」の2パターンに分けて手順どおりに整理し、それぞれのつまずきやすい点と、お金まわりで先に知っておきたいことをやさしくまとめます。
買い換えでいちばん悩むのは「引き渡し日」と「お金の順番」
たとえば、いま住んでいるマンションを売って一戸建てに買い換えるとします。このとき決めなければならないのは、次の2つです。
・引き渡し日……いつマンションを明け渡し、いつ新しい家に入るのか
・お金の順番……売却代金を受け取るのが先か、購入代金を支払うのが先か
この2つがきれいにそろえば買い換えは驚くほどスムーズですが、現実にはなかなかそろいません。「売却が先か、購入が先か」という選択は、どちらが正解というものではなく、資金に余裕があるか・時間に余裕があるかで向き不向きが変わります。まずは2つの流れを見比べてみましょう。
先にマンションを売却し、一戸建ての購入を後回しにする場合
いわゆる「売却先行」です。まず、下記の手順で進めて行きます。
①マンションの売却をスタートさせる。
↓
②マンションの売却契約、同時に一戸建てを探し始める。
↓
③一戸建ての購入契約。
↓
④マンションの引渡しと売却代金の受取り(通常、契約から1~2ヶ月)、同時に一戸建ての購入代金の支払い
↓
⑤引越し
売却先行の場合のポイントは、マンションの売却契約において引渡し時期を決める必要があるために、買い換え先となる一戸建てを探す期間が限定されていることです。
仮に期間内に探せなかった場合は、やむを得ず賃貸に仮住まいすることもあります。
さらに一戸建ての購入契約後すぐに住宅ローンの手続きを行い、ローンが借りられる承認を得ておかなければなりません。
一方で、売却先行には「売却代金が確定してから次の家の予算を組める」という大きな安心感があります。手元にいくら残るかが見えているので、住宅ローンの借入額を無理のない範囲に決めやすく、審査でも資金計画を説明しやすくなります。はじめての買い換えで「資金が不安」という方には、こちらが選ばれやすい進め方です。
なお、マンションの売却代金で残りの住宅ローンが返済しきれない場合は、買い換え先の住宅ローンに自宅の残りのローンを上乗せした「買い換えローン(住み替えローン)」を利用する方法もあります(詳しくは後述します)。
先に一戸建てを購入し、マンションの売却を後回しにする場合
こちらは「購入先行」です。同様に、下記の手順で進めて行きます。
①一戸建て探しをスタートする。
↓
②一戸建ての購入契約、同時にマンションの売却をスタートさせる。
↓
③マンションの売却契約。
↓
④マンションの売却代金の受取り、同時に一戸建ての購入代金を支払う。
↓
⑤引越し
購入先行の場合も、売却先行のケースと同様に、マンションの引渡しがポイントになります。
一戸建ての引渡しまでに売却を完了させるという制約があるため、やむを得ず売却金額を下げることも想定しておく必要があります。
また、期間内に売却が完了しなければ、一戸建ての代金を支払う時期の方が先に来てしまうため、マンションと一戸建て両方のローンを抱える「二重のローン(ダブルローン)」のリスクもあります。二重に返済している間は家計の負担が重くなるだけでなく、住宅ローンの審査でも既存の返済が年収に対する返済負担率に含まれるため、借入可能額が想定より小さくなることがあります。
そのため、購入先行に適しているのは、早い時期から時間を掛けて探す方や、自宅にローンが残っていない方になるでしょう。仮住まいや二度の引っ越しを避けられるのも、購入先行の分かりやすいメリットです。
買い換え先となる一戸建ての住宅ローンについては、売却先行のケースと同様、マンションの引渡しに間に合うよう、購入契約後すぐに住宅ローンの手続きを進めて行きましょう。
売却先行と購入先行、自分はどちらが向いている?
2つの進め方を、判断しやすい観点でならべると次のようになります。「お金の安心」を優先するなら売却先行、「住まい探しの納得感」を優先するなら購入先行と考えると整理しやすくなります。
| 比較の観点 | 売却先行(先に売る) | 購入先行(先に買う) |
|---|---|---|
| 資金計画 | 売却代金が確定してから購入額を決められる | 売却額が読めないまま購入額を決めることになる |
| 物件探し | 引き渡しまでの期間に限りがあり、あせりやすい | 納得できるまで時間をかけて探しやすい |
| 売却価格 | 値下げを急がずに交渉しやすい | 期限に追われて値下げすることがある |
| 主なリスク | 仮住まい・二度の引っ越しの費用が発生する | 二重のローン(ダブルローン)を抱える |
| 向いている人 | 住宅ローンが残っている/自己資金に余裕がない | ローン完済済み/時間と資金に余裕がある |
どちらを選ぶにしても、「売却の見込み額」と「新居の予算」は必ずセットで考えるのが失敗しないコツです。不動産会社の査定額はあくまで見込みであって、その金額で必ず売れるわけではありません。査定額そのままを予算の前提にせず、少し低めに見積もっておくと計画が崩れにくくなります。
引き渡し時期の悩みをやわらげる「買取」という選択肢
買い換えでは、売却先行にしろ購入先行にしろ引渡し時期がネックになってきます。そこで、売却や購入を依頼した不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。
この方法は売却金額が相場と比較して低くなりますが、ネックとなる引渡し時期の問題がクリアできます。
他にも、売却活動を一定期間行い、契約に至らなかったときに、買取りを依頼するという方法もあります(「買取保証」などと呼ばれます)。まずは相場で売ることを目指し、売れなければ確実に買い取ってもらうという進め方なので、「期限は決まっているけれど、できるだけ高く売りたい」という買い換えとは相性のよい方法です。ただし条件や保証価格は不動産会社ごとに異なるため、契約前に金額と期間を書面で確認しておきましょう。
買い換えのお金まわりで、先に知っておきたい3つのこと
①ローンが残っていても売れるが、抵当権は消す必要がある
住宅ローンが残っている家でも売却はできます。ただし引き渡しのときに残りのローンを一括で返済し、金融機関が設定している抵当権を外すのが原則です。売却代金でローンを返しきれる状態を「アンダーローン」、返しきれない状態を「オーバーローン」と呼びます。まずは金融機関から残高証明や返済予定表を取り寄せ、現在の残高を確認するところから始めましょう。
②オーバーローンなら「買い換えローン(住み替えローン)」も選択肢
売却代金で完済できない不足分を、新しい住まいの住宅ローンに上乗せして借りる商品が「買い換えローン(住み替えローン)」です。手元資金が少なくても買い換えを進められる一方で、借入額が新居の価格を上回るため総返済額が増えやすく、審査も通常の住宅ローンより慎重になります。取扱いの有無や条件は金融機関によって異なるので、検討している金融機関の公式サイトや窓口で確認してください。
③税金の特例は「使えるかどうか」を早めに確認する
マイホームを売って利益(譲渡益)が出たときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります(国税庁 タックスアンサー No.3302)。
ただし買い換えの場合、ここに見落としやすい落とし穴があります。国税庁は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)について「入居した年、その前年または前々年に、このマイホームを売ったときの特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません」と明記しています。3,000万円の特別控除と、新居の住宅ローン控除は同時に使えないということです。さらに、入居した年の翌年から3年目までのいずれかの年に旧宅を売ってこの特例を受ける場合も、住宅ローン控除は使えません。
このほか、課税を将来に繰り延べる「特定の居住用財産の買換えの特例」(No.3355)や、売却で損が出たときの「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」(No.3370・No.3390)もありますが、いずれも所有期間や売却時期などの要件が細かく、適用期限も税制改正のたびに見直されます。どちらが得かは売却額・ローン残高・新居の借入額によって変わるため、契約を進める前に国税庁のページを確認し、判断に迷う場合は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
はじめての買い換えでよくある質問
Q. 売却と購入は、同じ不動産会社にお願いしたほうがよいですか?
同じ会社にまとめると、売却の進み具合と購入のスケジュールを一体で調整してもらいやすくなります。買取や買取保証を検討する場合も話が早く進みます。一方で、売却価格の妥当性は複数社の査定を比べたほうが分かりやすいので、査定は複数社に依頼し、依頼先を決めてから窓口を一本化するという進め方が現実的です。
Q. 引き渡しの日がずれてしまいそうです。どうすればよいですか?
まずは売買契約の前に、引き渡し日の調整余地を売主・買主の双方に確認しておくことが大切です。それでも間に合わない場合は、仮住まい(賃貸)を挟む、荷物をトランクルームに預ける、不動産会社の買取に切り替える、といった選択肢があります。仮住まいには家賃のほかに引っ越し費用が二度分かかるので、あらかじめ数十万円単位の予備費を見込んでおくと安心です。
Q. 新居の住宅ローンは、いつ申し込めばよいですか?
購入契約を結んだらすぐに手続きを始めるのが基本です。事前審査(仮審査)に数日〜1週間程度、本審査にはさらに1〜2週間程度かかるのが一般的で、引き渡し日から逆算するとあまり余裕はありません。売却先行・購入先行のどちらでも、「購入契約後すぐに動く」が鉄則と覚えておきましょう。なお、金融機関によっては事前審査を設けず本審査のみで手続きが完結するところもあります。
Q. 買い換えでも住宅ローン控除は使えますか?
新居の借入について要件を満たせば利用できます。ただし前述のとおり、旧宅の売却で3,000万円の特別控除などの譲渡所得の特例を使うと、住宅ローン控除は使えなくなります。「売却の節税」と「購入の節税」はどちらか一方になることが多いので、金額を比べて選びましょう。
まとめ:順番を決めてから、資金計画を立てましょう
買い換えは、売却先行・購入先行のどちらを選んでも「引き渡し日」という制約から逃れられません。だからこそ、①いまのローン残高を確認する ②売却の見込み額を複数社に査定してもらう ③新居の予算と借入額を決めるという順番で、早めに全体像をつかんでおくことが何よりの近道です。
新しい住まいの住宅ローンを選ぶときは、金利だけでなく事務手数料・保証料・団体信用生命保険(団信)まで含めた総額で比べてみてください。買い換えでは売却と購入の費用が同じ時期に重なるため、諸費用の差がそのまま手元資金の余裕につながります。
たとえばSBI新生銀行のパワースマート住宅ローンは、保証料が原則0円、一部繰上返済手数料も0円で、事務取扱手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型と分かりやすい設計です。店舗での相談とオンラインでの手続きの両方に対応しているため、買い換えのように確認したいことが多いケースでも相談しやすい選択肢の一つといえるでしょう(2026年8月時点。最新の金利・手数料・団信の内容は公式サイトでご確認ください)。
慌てて決めるより、まずは順番を決めること。それが、買い換えを気持ちよく終えるいちばんのコツです。

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