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マイホームの資産価値を保つ方法|20年で価値ゼロと言われる理由

「木造の一戸建ては20年ほどで建物の価値がゼロになる」という話は、残念ながら根拠のない噂ではありません。国土交通省も、木造戸建住宅では「一律に築後20年程度で価値ゼロと評価する慣行が存在している」と資料で認めています。ただしこれは住める年数ではなく、市場での「評価のしかた」の話です。点検・補修の履歴を残し、住宅の状態を第三者に示せるようにしておけば、状態に応じた価格で評価される道は用意されています。

日本では結婚を機にマイホームを買う方が多く、目標にコツコツ貯金をしてきた方も少なくありません。せっかくの我が家を「車や家電と同じ消費財」にしてしまわないために、価値が下がりやすい理由と、今から打てる手を順番に見ていきましょう。

「約20年で価値ゼロ」は評価の慣行。住める年数ではない

日本の一戸建て住宅は、建物部分の価値がおよそ20年でほぼゼロとして扱われることがあります。すると、35年ローンを組んで購入した場合、返済が終わる前に建物の評価額がほとんど残っていない、という状況も起こり得ます。

その背景にあるのが「法定耐用年数」という考え方です。税務上、木造(木造・合成樹脂造)の店舗用・住宅用建物の法定耐用年数は22年と定められており(国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」)、会計上の価値もこれに沿って年々目減りしていく計算になります。あくまで税金の計算に使う年数で、実際に住める年数とは別物ですが、中古住宅の値付けの目安としても意識されがちです。

国土交通省は、この慣行が市場の「負の連鎖」を生んでいると整理しています。建物の価値が20年でゼロと評価される → 所有者に適切な維持管理をする動機が生まれにくい → 担保評価も低く売れない → 住み替えができないという連鎖です。加えて、買い手の側にも「隠れた不具合が心配」「耐震性や断熱性など品質が低そう」という不安があり、売主と買主のあいだに情報の非対称性が生じているとも指摘されています(国土交通省「既存住宅流通量の推移と国際比較/中古住宅市場の課題」)。

この22年という年数が広く根づいたのは、かつて土地の値段が右肩上がりだった時代に、建物の価値が下がっても土地の値上がりでカバーできる、という前提があったためと言われています。当時に比べて建築技術は大きく進歩し、2000年の住宅品質確保法(新築の基本構造部分に10年間の瑕疵担保責任を義務化)や2009年の長期優良住宅法など、住宅の性能を高める制度も整ってきました。それでも「築年数が経てば価値は下がる」という古い感覚だけが残っている、という側面があるのです。

欧米ではマイホームの購入は「投資」である

家と資産をイメージした写真

日本では「新築を買って、住むうちに価値は下がっていくもの」と受け止めている方が多く、マイホームが車や家電のような「消費財」に近い扱いになっている面があります。一方の欧米では、マイホームは株などと同じ「投資」だという意識が強く、価値を高めるために定期的なメンテナンスを重ねるのが一般的です。

実際、住宅が売買される市場を国際比較すると、日本と欧米の差は非常に大きいことがわかります。国土交通省の住宅経済関連データによると、日本の中古住宅(既存住宅)の流通シェアは全体の約14.5%(2018年)にとどまり、欧米と比べておよそ6分の1程度の低い水準です。裏を返せば、日本では住宅取引の大半を新築が占めているということです。

日本14.5%に対し欧米は7〜9割を占める中古住宅流通シェアの国際比較
日本は中古住宅の流通が欧米の6分の1程度にとどまる(出典:国土交通省 住宅経済関連データ・2018年)

下の表のように、欧米では中古住宅が市場の主役になっています。「古い=価値が低い」ではなく、手入れの行き届いた家はむしろ評価されるという考え方が根づいているためです。日本でも、定期的なメンテナンスをして状態を保てば、将来売るときの評価につながりやすくなります。

中古住宅の流通シェアポイント
日本約14.5%新築中心。中古は少数派
アメリカ約81.0%中古売買が主流
イギリス約85.9%中古が市場の大半
フランス約69.8%中古が主役

出典:国土交通省「住宅経済関連データ」(2018年)。数値は年により見直されます。

住宅の価値を維持するには定期的なメンテナンスを

せっかく貯金をして念願のマイホームを手に入れても、その後の価値を落としてしまっては、大切なお金を無駄にしてしまうのと同じことになりかねません。マイホームは「買って終わり」ではなくスタート地点。家族が快適に暮らし、将来の活用(売却や住み替え)も見据えて、定期的なメンテナンスを続けることが大切です。

近年は建築技術が向上し、木造住宅でも手入れをすれば20年、30年と長く住み続けられます。そのためには、定期的な点検と補修で、設備の不具合や経年劣化を早めに見つけることがポイントです。とくに劣化が進みやすいのは、国土交通省が建物状況調査の対象部位として挙げている基礎・壁・柱(構造耐力上主要な部分)と、屋根・外壁・開口部(雨水の浸入を防止する部分)、それに水回りです。数年〜十数年ごとの点検を目安にしておくと安心です。

あわせて、購入後は設計図面・仕様書・工事関連の書類を大切に保管し、リフォームをしたら「どこをどう直したか」を記録しておきましょう。こうした履歴が残っている家は、将来売るときにも状態を説明しやすく、買い手に安心感を与えられます。

売るときに評価されるためにできること

「維持管理をしましょう」で終わらせず、それを第三者に示せる形にしておくのが、評価につなげる実務的なコツです。国土交通省が示す流れは、①適切な維持管理(定期的な点検・補修・修繕と、その履歴の作成・保存)→ ②必要に応じたリフォーム → ③インスペクション(建物状況調査)などで安心して売買 → ④住宅の状態に応じた価格で売買、という4段階になっています。

インスペクション(建物状況調査)とは、専門的な知見を持つ人が、基礎・外壁などの部位ごとにひび割れや雨漏りといった劣化・不具合の状況を目視や計測で調べるものです。国土交通省の資料では、検査料金は4.5万〜6万円程度(通常は依頼主である売主が負担)、検査時間は2〜3時間程度とされています。ただし瑕疵の有無を判定したり、瑕疵がないことを保証するものではない点は押さえておきましょう。

さらに、調査結果をもとに既存住宅売買瑕疵保険に加入できれば、買い手の不安はより小さくなります。宅地建物取引業法の改正で、宅建業者が建物状況調査の結果などについて情報提供を行う仕組みも整いました。「履歴が残っている」「第三者が状態を確認している」の2つがそろうと、築年数だけで値付けされにくくなる——これが、20年で価値ゼロという慣行への現実的な対抗手段です(国土交通省「既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み」)。

購入時はメンテナンス費用も予算に入れる

住まいのメンテナンスをイメージした写真

価値を保つにはメンテナンスが欠かせませんが、当然そこには費用がかかります。ここで見落としがちなのが、住宅ローンの返済に追われて、メンテナンス費用まで手が回らなくなるというケースです。念願の家を手に入れたのに、必要な補修ができずに価値を下げてしまっては本末転倒です。

そこで大切なのが、購入時の予算に「将来のメンテナンス費用」まで織り込んでおくことです。外壁の塗り替えや屋根の補修など、いずれ必要になるリフォームをあらかじめ見込んでおけば、月々の返済に無理のない借入額を考えやすくなります。住宅ローンを組むときは、返済額だけでなく、修繕・固定資産税・保険料といった「持ち続けるためのコスト」も合わせて考えておくと安心です。頭金と諸費用の考え方はマイホーム貯金計画の立て方、毎月かかるコストの見直し方はマイホームのランニングコストを下げる方法で整理しています。

住宅ローンを選ぶ段階でも、繰上返済のしやすさは修繕計画と関係します。手元資金を修繕に回したい時期と、繰上返済に回したい時期は必ずぶつかるからです。たとえばSBI新生銀行は一部繰上返済手数料が0円で、保証料もかからず一般団信の上乗せもないため、「いくら手元に残るか」を読みやすいのが特徴です。返済と修繕の両方に備えるという観点でも、費用構成が分かりやすい銀行は比較の候補に入れておく価値があります。

マイホームは、定期的なメンテナンスという「=投資」を続けることで、住み心地が保たれ、将来売却するときにも評価されやすくなります。最初の資金計画の段階から、その視点を持っておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 木造住宅の耐用年数22年を過ぎたら、もう住めないのですか?

A. いいえ。22年はあくまで税務上の「法定耐用年数」で、実際に住める年数とは別です。定期的な点検と補修をしていれば、木造でも長く住み続けられます。国土交通省も、適切な維持管理がなされていれば既存住宅でも十分に市場価値が認められる物件は多数存在するとしています。

Q. メンテナンス費用は、どのくらい見込んでおけばよいですか?

A. 住宅の構造や広さ、設備によって大きく変わるため一概には言えませんが、外壁・屋根・水回りなどは数年〜十数年ごとに補修が必要になります。金額は業者に見積もりを取り、購入時の資金計画に「将来の修繕費」として少しずつ組み込んでおくと安心です。

Q. インスペクション(建物状況調査)はいくらかかりますか?

A. 国土交通省の資料では検査料金4.5万〜6万円程度、検査時間2〜3時間程度とされ、通常は依頼主である売主が負担します。基礎・外壁などの劣化や不具合の状況を目視・計測で調べるもので、瑕疵がないことを保証する検査ではありません。

Q. 維持管理の履歴は、具体的に何を残せばよいですか?

A. 設計図書(設計図面・仕様書)、新築時やリフォーム時の工事関連書類、点検の報告書、そして「いつ・どこを・どう直したか」の記録です。領収書や施工前後の写真も一緒に保管しておくと、売却時の説明材料になります。

Q. 価値が下がりやすいなら、中古住宅を買うほうが得ですか?

A. 一概にどちらが得とは言えません。新築・中古それぞれにメリットがあり、価格・立地・状態・住宅ローンの条件などを総合的に比べて選ぶのが基本です。どちらを選ぶ場合も、購入後のメンテナンスまで見据えた資金計画が大切です。

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