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「大容量収納」に惑わされない|間取り図で見るべき収納の考え方

建売住宅を検討するとき、重視するのは一に価格、次に立地、その次に日当たり——という方が多いのではないでしょうか。

ところが価格や立地にばかり気を取られていると、入居してから「使いづらい」に気づくことがあります。その代表格が収納です。

「納戸やウォークインクローゼットがあるから収納は問題なし」のはずが、いざ暮らしてみると荷物があふれてしまう。そんな話は決して珍しくありません。

今回は、間取り図の「大容量収納」というアピールをどう読めばよいのか、そして収納の取り方が住宅ローンにまで関わってくる場面まで、順番に見ていきます。

「収納が多い=広く使える」ではない理由

間取り図を見ると、納戸、ウォークインクローゼット、グルニエ(小屋裏収納)などの収納スペースが、きれいに色分けされて示されていることがあります。

確かに魅力的に映りますが、ここで一度立ち止まってみてください。収納を増やしても、家全体の床面積が増えるわけではありません。同じ面積のなかで収納の割合を増やせば、そのぶん居室やリビングは狭くなります。

しかも収納スペースには、テレビやエアコンの配線が不要で、窓も小さくて済みます。つくる側からすれば居室よりコストがかかりにくい部分でもあるのです。「収納が充実している」というアピールは、必ず「その分、どこが狭くなっているか」とセットで確認しましょう。

見るべきは収納の数ではなく、「リビングの帖数」「主寝室の帖数」「廊下の広さ」が、家族の暮らしに足りているかです。

小屋裏収納が「床面積」に入らないことがある

もうひとつ知っておきたいのが、グルニエ(小屋裏収納)は、条件を満たすと建築基準法上の床面積に算入されないという点です。

多くの自治体の取扱基準では、おおむね次のような条件が示されています。

・小屋裏物置等の天井の高さが1.4m以下であること
・その階にある小屋裏物置等の床面積の合計が、その階の床面積の2分の1未満であること

つまり、広告に「小屋裏収納5.5帖付き!」と大きく書かれていても、その5.5帖は、登記や広告上の「延床面積」には含まれていない可能性があるということです。ここを勘違いすると、同じ「延床100㎡」の物件どうしを比べているつもりで、実際の居住スペースが違っていた、ということが起こります。

なお、天井高1.4m以下ということは、大人は立って歩けません。重い物やよく使う物の置き場には向かず、季節物やシーズンオフの道具をしまう場所と考えたほうが現実的です。取扱いは自治体(特定行政庁)ごとに細かい違いがあるため、気になる物件があれば売主や設計者に確認してください。

大容量の収納は、本当にそんなに要るのか

賃貸住宅に住んでいた方にとって、大容量の収納スペースは「未知のスペース」と言えるでしょう。だからこそ、多ければ多いほどよいと感じてしまいがちです。

いま住んでいるお部屋を見渡してみてください。大容量の収納を必要とする家財道具は、どのくらいあるでしょうか。掃除機、衣装ケース、布団、季節家電——そのあたりが中心ではありませんか。

言いたいのは、大容量の収納は「適切な位置に1か所」あれば足りることが多いということです。

部屋の奥にある納戸は、家族みんなで使うには不便ですし、子ども部屋のウォークインクローゼットがきちんと使われるようになるのは、ずいぶん先のことでしょう。「使える納戸」とは、みんなが通る場所にあり、4帖程度の広さがあって、棚やハンガーパイプが設置されているスペースです。棚がひとつも付いていない収納は、置いたものが積み重なって、どこに何があるか分からなくなります。

使える収納と使えない収納の見分け方

内見のときに見るポイントを、表にまとめました。

チェックする点 使いやすい収納 注意したい収納
場所 廊下やLDKなど、家族全員が使える動線上にある 個室の奥にしかなく、家族が入りにくい
棚・パイプ 可動棚やハンガーパイプが最初から付いている 四角い空間だけで、内部に何もない
奥行き 取り出す物に合った奥行き(衣類なら60cm前後) 奥行きが深すぎて、奥の物が死蔵される
高さ 立ったまま出し入れできる 天井高1.4m以下で、かがまないと入れない
照明・コンセント 照明があり、中が見える 照明がなく、扉を開けても暗い
玄関まわり ベビーカー・アウトドア用品を置ける土間収納がある 下駄箱だけで、外で使う物の置き場がない

収納は「容積」ではなく「取り出しやすさ」で決まります。帖数の大きさだけを比べるのはやめて、実際にしまうものを思い浮かべながら見てください。

住宅ローンで「床面積」が効いてくる場面

収納の話が、住宅ローンにつながる場面があります。住宅ローンには、床面積の下限が決められている商品があるからです。

たとえば全期間固定金利の【フラット35】では、対象となる住宅の床面積について次の基準が定められています。

・一戸建て住宅等(連続建て・重ね建て・地上2階以下の共同建てを含む)……70㎡以上
・マンション(地上3階以上の共同建て住宅)……30㎡以上

しかもこの床面積には、車庫や共用部分、店舗・事務所などの非住宅部分は含まれません。つまり「収納をたっぷり取ったコンパクトな家」を選んだつもりが、床面積の数え方によっては基準にわずかに届かない、ということも起こり得るわけです。

住宅ローン控除など税制上の優遇にも床面積の要件があり、こちらも制度改正のたびに条件が変わります。床面積は「広さの好み」の問題ではなく、使える制度・使えるローンを左右する数字だと考えておいてください。実際の適用可否は物件ごとに判断が必要ですから、気になる場合は早い段階で不動産会社と金融機関の両方に確認しておくと安心です。

なお、諸費用や団信の条件は金融機関によって差があります。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは保証料が0円で、一般団信も上乗せ金利0円で付くため、総額の見通しを立てやすい点が特徴です。最新の金利・手数料・適用条件は公式サイトでご確認ください。

内見と図面チェックの疑問に答えます

Q. 収納は延床面積の何%あればよい、という目安はありますか?
よく「一戸建てなら1割強」といった数字が語られますが、公的に定められた基準ではありません。家族構成や趣味によって必要量はまったく違います。数字を当てにするより、いま持っている物の量から逆算するほうが確実です。

Q. ウォークインクローゼットと壁面クローゼット、どちらが使いやすいですか?
一長一短です。ウォークインは中で着替えられ、まとめて管理しやすい反面、通路のぶんだけ収納量あたりの面積効率は落ちます。壁面クローゼットは面積効率がよく、扉を開ければ全体が見渡せます。衣類が多いなら壁面を長く取る、まとめて管理したいならウォークインと考えると選びやすくなります。

Q. 小屋裏収納があると、固定資産税は高くなりますか?
建築基準法上の床面積に算入されない場合でも、固定資産税の家屋評価はそれとは別の基準で行われます。「床面積に入らない=必ず課税されない」ではありません。心配な場合は、市区町村の資産税担当窓口に確認してください。

Q. 建売住宅は値引き交渉できますか?
物件や時期、売主の在庫状況によって対応はまったく異なります。「決算期なら必ず大幅に安くなる」といった一般化はできません。値引きを前提に予算を組むのではなく、提示価格で無理なく返済できるかを先に確認しておきましょう。

Q. 収納が足りないと感じたら、後から増やせますか?
可動棚の追加や、既存クローゼットの内部造作なら比較的手軽です。一方で間取りに関わる工事は費用も大きくなります。「後から足せる部分」と「最初に決めておくべき部分」を分けて考えるのがコツです。

入居後にラクをするために

不要な家財道具を整理すれば、あとは共用の収納スペースと各部屋の収納で足りることがほとんどです。もし入らないようであれば、よい機会ですから引っ越しのタイミングで手放してしまいましょう。

そして入居後も家財をできるだけ増やさないように心がければ、掃除もラクになり、広く明るくきれいに住み続けられます。

最後にもう一度、内見のときに持っていきたい視点をまとめます。

・「大容量収納」の帖数より、居室が何帖残っているかを見る
・小屋裏収納は床面積に入っていない可能性があると考える
・収納は棚・照明・動線がそろって初めて使える
・床面積はローンや税制の条件にも関わる数字である

セールスコピーは、物件のよいところを伝えるためのものです。惑わされる必要はありませんが、鵜呑みにする必要もありません。自分の暮らしに置き換えて読む——それだけで、物件の見え方はぐっと変わります。

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