- 公開日: 2026.10.11
- ゼロから学ぶ住宅ローン
団体信用生命保険(団信)とは?種類・費用・注意点をやさしく解説

「団信って、結局どんな保険なの?」と気になっている方へ。団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを借りた人が亡くなったり重い障害を負ったりしたときに、残りのローンを保険金で返してくれる住宅ローン専用の保険です。
住宅ローンは数千万円になることが多く、借りる側だけでなく貸す側も大きなリスクを負います。もし返済の途中で契約者が亡くなれば、残された家族は家を売ってでもローンを返さなければならないかもしれません。そうした事態に備えるのが団信です。
保険と聞くと難しそうですが、仕組みはシンプルです。基本の仕組みから費用のかかり方、健康に不安がある場合の選択肢まで、初めての方向けにかみ砕いて説明します。
団体信用生命保険ってどんな保険なの?
団信は住宅ローンを借りる人専用の保険で、民間の金融機関の住宅ローンでは加入を条件にしているところがほとんどです。
加入しておけば、契約者が亡くなったときや、所定の重い障害の状態になったときに、ローンの残高と同じ額の保険金が出ます。ふつうの生命保険は家族などが保険金を受け取りますが、団信の保険金を受け取るのは金融機関です。保険金で住宅ローンが返し終わり、家族は返済を続けなくてよくなります。
つまり団信は、自分に万一のことがあっても家族に家を残すための保険、と考えるとイメージしやすいですね。
では、誰でも入らなければいけないのでしょうか。加入が必須かどうかは住宅ローンの種類で違います。民間の住宅ローンは加入必須が一般的ですが、全期間固定金利の【フラット35】は団信への加入が任意です。健康上の理由などで入らない場合も利用でき、その場合の借入金利は新機構団信付きの金利から年0.2%引き下げられます。ただし入らなければ、万一のときにローンは家族に引き継がれます。
団体信用生命保険の種類はどれだけあるの?

団信は基本の保障に、民間の保険のような保障を足すことができます。たとえば、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の3大疾病になったときにも、ローン残高がなくなるタイプです。
その費用は、ふつうローン金利への上乗せという形で負担します。さらに高血圧性疾患や糖尿病、慢性腎不全、肝硬変などまで対象を広げたタイプもあり、保障が広いほど費用は増えます。
代表的な団信の種類と、費用のかかり方の例を表にしました。
| 団信の種類 | 主な保障の範囲 | 費用(上乗せ金利)の例 |
|---|---|---|
| 一般団信 | 死亡・所定の高度障害状態 | 上乗せなし(金利に含まれる)が一般的 |
| がん保障付団信 | 一般団信+所定のがんと診断された場合など | PayPay銀行のがん50%保障団信は年0.1%上乗せ(2026年6月借入分から) |
| 3大疾病保障付団信 | 一般団信+がん・急性心筋梗塞・脳卒中 | 【フラット35】の新3大疾病付機構団信は新機構団信付き金利+年0.24% |
| 全疾病・就業不能保障付団信 | 一般団信+所定の就業不能状態が続いた場合など | 上乗せなしで付ける金融機関もあれば、有料の特約にしている金融機関もある |
| ワイド団信 | 保障の範囲は一般団信と同じ(引受基準を緩和) | 年0.3%の上乗せ(三菱UFJ銀行・auじぶん銀行など) |
夫婦それぞれが保障の対象になる連生団信もあります。【フラット35】のデュエット(ペア連生団信)は、新機構団信付き金利+年0.18%です(住宅金融支援機構)。
費用の払い方は、いまは金利上乗せ方式が主流です。以前は年に1度、残高に応じた特約料を別に払う方式が中心で、年齢や残高で負担額が変わりました。【フラット35】も2017年10月1日の申込受付分から、毎月の返済に組み込む方式に変わっています。上乗せ方式なら毎月の返済額に最初から含まれるので、家計の見通しが立てやすくなります。
気をつけたいのは、保障が厚いほど上乗せ金利も増えることです。たとえば3,000万円を35年で借りる場合、金利が年1.000%から1.100%になると、毎月の返済は約1,400円、総返済額は約59万円増えます(元利均等・ボーナス返済なしの試算)。保障を足すかどうかは、すでに入っている医療保険やがん保険と見比べてから決めてください。
団信のリスクと注意点はあるの?
疾病保障まで付けると、もう心配はないように思えるかもしれません。ところが基本の団信は、亡くなったときや重い障害が残ったときのためのものです。骨折や肺炎などで長く働けなくなっても、ローンの返済は続きます。基本の保障だけで、すべてのリスクをカバーできるわけではありません。
とはいえ、この点は近年選択肢が増えました。病気やケガの原因を問わず、所定の就業不能状態が続いたときに毎月の返済額やローン残高を保障する団信があります。上乗せ金利なしで付ける金融機関もありますが、加入年齢や待機期間・免責期間などの条件は金融機関ごとに違います。働けない期間の返済が心配な方は、全疾病保障団信の保障内容と対象外になるケースも比べる材料にしてみてください。
一方で、ほかの生命保険に入っていると保障が重なることがあるので、見直しが必要です。また、健康状態によっては団信に入れないこともあります。団信に入れないと、加入が必須の住宅ローンはそのままでは借りられません。ただ、それで終わりではありません。次の章で選択肢を紹介します。
もうひとつ、契約者が亡くなったときは、家族が早めに金融機関へ連絡することが大切です。連絡が遅れて返済が滞ると、遅延損害金などの余計な負担が生じる場合があります。どこの金融機関で、どの団信に入っているかを、家族が分かる場所に控えておいてください。
健康に不安があるときの選択肢は?
健康状態を理由に一般団信に入れなかった場合、主に次の2つの道があります。
ワイド団信を扱う金融機関を探す
ワイド団信は、保障の範囲は一般団信と同じまま、引き受けの基準をゆるやかにした団信です。持病がある方でも入れる可能性があります。その代わり、借入金利に年0.3%が上乗せされるのが一般的です(三菱UFJ銀行、auじぶん銀行など)。加入できる年齢や取り扱いの有無は金融機関によって違います。しくみはワイド団信のメリット・デメリットでも解説しています。
団信の加入が任意の【フラット35】を考える
【フラット35】は団信に入らなくても借りられ、その場合の金利は新機構団信付きの金利から年0.2%下がります。ただし万一のときの返済義務は家族に残ります。民間の生命保険で別に備えるなど、代わりの手当てとセットで考えてください。
団信の告知は、正確に書くのが大前提です。事実と違う告知(告知義務違反)をすると、いざというときに保険金が出ず、契約を解除されることがあります。書くと通らないかもと思っても、隠すほうがかえって危険です。
保険料の払い方と、ほかの生命保険の見直し
団信に入ると、ローン残高と同じ額の死亡保障を新しく用意したことになります。すでに入っている生命保険に、住宅費を想定した保障が含まれていれば、重なっている可能性があります。
家を買うときは、生命保険を見直すよい機会です。必要な保障額は、遺された家族の生活費と教育費から、遺族年金などの収入と、団信でなくなるローン残高を引いて考えるのが基本です。迷うときは、保険会社やファイナンシャルプランナーに相談してみてください。
税金の扱いも知っておくと役に立ちます。団信の保険料(金利に上乗せされた分を含む)は、一般に生命保険料控除の対象になりません。保険金の受取人が金融機関だからです(公益財団法人 生命保険文化センターも、団体信用生命保険は控除の対象にならないと案内しています)。年末調整や確定申告のときに、控除できるはずと探さずにすみます。
よくある質問(FAQ)
Q. 団信に入っていれば、生命保険は解約してもいいですか?
A. すぐに解約するのは避けてください。団信が保障するのは住宅ローンの残高だけで、遺された家族の生活費や教育費までは出ません。住宅費の分だけ必要な保障額が減ったと考え、残りの必要額を計算し直すのが順番です。
Q. 団信の申し込みは、住宅ローンの申し込みとは別ですか?
A. 多くの金融機関では、住宅ローンの審査の中で団信の告知と申し込みもします。ローンの審査に通っても、団信の引き受けが認められないと融資を受けられないことがあります。健康面が心配な方は、早めに金融機関へ相談しておくと手戻りがありません。
Q. 途中から団信の種類を変えたり、あとから加入したりできますか?
A. 多くの金融機関では原則できません。【フラット35】も、団信の種類の変更や、入らなかった人のあとからの加入はできないとしています。がん保障などを付けるかは、借りるときに決めておく必要があります。
Q. 借り換えをすると、団信はどうなりますか?
A. 借り換え先の団信に入り直すことになり、その時点の健康状態であらためて審査を受けます。金利が下がる見込みでも、団信に入れなければ借り換えできないことがあります。
Q. 夫婦で連帯債務にした場合、団信には2人とも入れますか?
A. 民間の住宅ローンでは、団信に入るのは主債務者1人のことが多いです。【フラット35】ならデュエット(ペア連生団信)で2人とも保障の対象にでき、どちらかに万一のことがあれば残りの【フラット35】の返済が不要になります。金利は年0.18%上乗せです。
まとめ~団信は「家族に住まいを残す」ための保険
団信は、住宅ローンを借りるほとんどの人が関わる保険なのに、内容をよく知らないまま契約しがちです。要点を整理しておきます。
- 団信は、万一のときにローン残高がなくなり、家族に住まいを残せる保険
- 民間の住宅ローンは加入必須が一般的。【フラット35】は任意で、入らなければ金利は年0.2%下がる
- 保障を厚くすると上乗せ金利がかかる。全疾病・就業不能の保障を上乗せなしで付ける金融機関もある
- 健康に不安があるなら、ワイド団信や【フラット35】という道がある。告知は正確に
- 団信の保険料は生命保険料控除の対象外。入っている生命保険は見直しを
金融機関を比べるときは、金利の数字だけでなく、その金利にどこまでの保障が含まれているかも並べて見ると、実質的な差が分かります。団信に入れなかったときの対処は団信に入れないときの3つの対処法にまとめています。
金利や条件は月ごとに変わるので、申し込む前に各金融機関のページで最新の内容を見ておいてください。

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