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住宅ローンの返済シミュレーションでわかること|使い方と注意点

不動産の購入を考え始めたときに、いきなり物件巡りをするのは危険です。
まずは自分にとって無理のない予算額を決めるところから始めましょう。購入する不動産の予算を決めるときには、住宅ローンの返済シミュレーションを使ってみることをおすすめします。

「まだ物件も決まっていないのに?」と思うかもしれません。でも順番は逆で、先に「いくらまでなら無理なく返せるか」を知っておくほうが、物件選びはぐっとラクになります

返済シミュレーションが便利

各銀行の公式サイトなどにはローン返済のシミュレーションができるページがあり、ほとんど無料で利用できます。
どこの銀行の返済シミュレーションも内容や使い方は似ていますので、利用する銀行が決まっていない場合は、いくつかの銀行のホームページをチェックして、画面が見やすそうなものを試してみるといいでしょう。全期間固定で考えたい方は、住宅金融支援機構【フラット35】のサイトにもローンシミュレーションが用意されています。

使い方はとても簡単で、画面上に希望する借入総額や返済期間、ローン金利などを入力するだけです。氏名など個人情報を入力する必要はありません。

入力する項目は、だいたい次の4つです。はじめての方はここでつまずきやすいので、意味を押さえておきましょう。

入力する項目 どういう意味? 入れるときのコツ
借入金額 実際に銀行から借りる金額 物件価格そのものではなく、頭金を差し引いた額を入れる
返済期間 何年かけて返すか 完済時の年齢も一緒に確認する(多くの銀行で完済時80歳未満などの上限あり)
金利 適用される年利 各銀行が公表している最新の金利を入れる。低い数字だけで試さない
返済方法 元利均等返済か元金均等返済か 毎月の返済額が一定なのが元利均等、当初の負担が重いかわりに総額が抑えられるのが元金均等

ローン金利について

ローン金利については、各銀行のホームページにそのときの適用金利が掲載されています。固定金利は変動金利よりも利率が高いですが、将来の金利上昇リスクがなく、返済計画を立てやすいというメリットがあります。

一方、変動金利は当初の返済額を抑えやすい反面、金利が上がれば返済額や利息の総額が増える可能性があります。どちらにするか悩んでいる人は、返済シミュレーションで両方を試してみるといいでしょう。

なお、ここは記事を最初に書いた当時から大きく変わったところです。日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で金融市場調節方針を変更(利上げ)し、7月31日の会合では方針を据え置きました(日本銀行の公表文より)。「金利は低いまま動かない」という前提は、いまは通用しません。実際に、2026年に入ってから変動金利の基準金利を引き上げたネット銀行も出てきています。金利は上がることも下がることもあるものとして試算するのが、いまの前提です。

返済シミュレーションで諸条件を入力し終えると、毎月分の返済額が表示されます。
賃貸の人は毎月分の返済額を現在の家賃と比較して無理がないか、年齢が高い人は将来的にも継続して支払える金額かなどを検討できるので、不動産の購入予算を考える上でたいへん参考になります。

「金利が上がったら」も必ず試しておく

シミュレーションでいちばんおすすめしたい使い方が、これです。変動金利で検討している方は、いまの金利だけでなく、そこから1%高い金利でも一度試してみてください

毎月の返済額がどれくらい増えるかが数字で見えると、「この借入額なら上がっても大丈夫そう」「もう少し借入額を抑えておこう」という判断がしやすくなります。内閣府が公表している経済財政白書でも、借入金利が上昇した場合の家計への影響が世代別に試算されており、住宅ローンを抱える現役世代ほど影響を受けやすいことが示されています(前提を置いた試算であり、将来の予測ではありません)。

また、変動金利には返済額の急変を抑える仕組み(一定期間は返済額を変えない、見直し時の増加幅に上限を設ける、など)を設けている銀行がありますが、こうしたルールを採用していない銀行もあり、その場合は金利上昇がすぐ返済額に反映されます。仕組みの有無は銀行によって異なるため、申込前に各金融機関の公式サイトで確認しておきましょう。

計画に返済シミュレーションを使う

毎月の返済額が思ったより多いと感じる場合には、ボーナス月の返済額を増やすことによって、毎月分の負担を少し減らすこともできます。ただしボーナスは景気や会社の業績で変わるものですので、頼りすぎないほうが安心です。

また、返済シミュレーションでは、ローンが減っていく経過も確認できるので、毎月の返済額だけでなく、毎年の住宅ローン控除額についても目安を知ることができます。

ここで重要な注意点があります。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、以前は「10年間・年末残高の1%」という内容でしたが、2022年(令和4年)の改正で控除率は年末残高等の0.7%になり、新築の認定住宅等では控除期間が13年となっています(国税庁タックスアンサーNo.1211-1)。古い記事やネット上の情報には「1%」「10年」のままのものが残っていますので、注意してください。

さらに現在は、住宅の省エネ性能によって扱いが大きく変わります。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅といった区分ごとに控除の上限額が定められており、省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は、一定の経過措置に当てはまる場合を除き対象外とされています。このほか、床面積が50平方メートル以上(一定の要件を満たす場合は40平方メートル以上50平方メートル未満)であること、その年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどの要件もあります。

控除の内容は居住を開始した年によって変わるうえ、税制改正で見直されることもあります。シミュレーションで出る控除額はあくまで目安としてとらえ、実際の適用可否と金額は必ず国税庁の最新情報や所轄の税務署でご確認ください。なお、給与所得者の場合、最初の年は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きできます。この点も覚えておくと安心です。

シミュレーションだけでは見えない費用

返済シミュレーションが教えてくれるのは、あくまで「毎月の返済額」と「利息を含めた総返済額」です。実際には、これ以外にまとまったお金がかかります。

融資事務手数料(借入金額の2.20%(税込)などの定率型と、定額型があります)
保証料(不要な銀行もあれば、金利に上乗せする方式の銀行もあります)
登記費用・印紙税・火災保険料など
・引っ越し代、家具・家電の購入費用

これらは銀行や物件によって金額が変わります。「毎月返せるか」だけでなく「契約時に現金でいくら必要か」もあわせて確認しておくと、後から慌てずにすみます。

簡易なシミュレーションだけでなく、住宅ローンのことをもっと詳細に知りたい、不安な点を相談したいという人には、銀行が開催している無料の相談会に参加してみるのもおすすめです。

よくある質問(FAQ)

Q. 物件が決まっていなくてもシミュレーションはできますか?
A. できます。むしろ物件探しより先に試すのがおすすめです。個人情報の入力も不要なので、気軽に何パターンでも試せます。借入額を100万円ずつ変えて、毎月の返済額の変化を見てみると感覚がつかめます。

Q. 金利は何%で入力すればいいですか?
A. 各銀行が公表している最新の適用金利を入れるのが基本です。ただし、実際に適用される金利は審査の結果で決まるため、公表されている最も低い金利がそのまま使えるとは限りません。低いほうの金利だけで試さず、少し高めの金利でも試しておくと安心です。

Q. シミュレーションの結果どおりに借りられますか?
A. いいえ。シミュレーションはあくまで計算結果で、審査の合否や借入可能額を保証するものではありません。年収や勤続年数、他の借入の状況などによって結果は変わります。目安をつかむための道具と考えてください。

Q. 元利均等返済と元金均等返済、どちらを選べばいいですか?
A. 毎月の返済額が一定で家計管理がしやすいのが元利均等返済、当初の返済額は重くなるものの利息の総額を抑えやすいのが元金均等返済です。多くの方は元利均等返済を選びますが、シミュレーションで両方を比べてみると違いがはっきりわかります。取扱いの有無は銀行によって異なります。

Q. 返済期間を変えると、シミュレーションの結果はどう変わりますか?
A. 期間を延ばすと毎月の返済額は下がり、利息を含めた総返済額は増える――という形で、両方の数字が同時に動きます。片方だけを見て決めないのがコツです。30年・35年・40年のように数パターン並べて、毎月の返済額と総返済額、そして完済時の年齢を三つセットで見比べてみてください。

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