- 公開日: 2026.08.01
- ゼロから学ぶ住宅ローン
住宅ローンのシミュレーション|家選びと同時にやる進め方と目安

憧れのマイホームを購入するとき、まずはじめに考えたいのが資金の準備です。
多くの方が住宅ローンを利用しますが、「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら無理なく返せるか」を先に確かめておくことが、あとで家計を苦しくしないいちばんの近道です。ここでは、家選びと同時に進めておきたい住宅ローンのシミュレーションについて、はじめての方にもわかるようにお話しします。
家を購入する時は、新婚、共働き、子どもはまだいない、という家族が多くいますが、その時の基準で借入額を決めてしまうと、後から支払いが大変になってしまう可能性が大きく、子どもが生まれた後は、一時的にどちらかの収入は減少するか、ゼロになることも考えられます。
「子どもが生まれてもバリバリ働き続けます!」と思っていても、実際に生まれてみると、保育園に入所できない、子どもが病気がち、体力的に難しい、など、いろいろな理由で仕事を続けられなくなったり、一時的に時短やパート勤務へ変更せざるをえない状況になることは十分考えられます。
また、将来的にどちらかが転職や早期退職となることも考えられるため、どのような状況になっても月々の返済は滞らない程度の金額を設定する必要があります。
考えうる一番低い水準の収入から、借入額を算出しましょう。
とくに変動金利には、返済額の見直しを5年ごとにする「5年ルール」、見直し後の返済額の上げ幅を1.25倍までにとどめる「125%ルール」を設けている金融機関があります。急な返済額の増加はやわらぐ仕組みですが、利息の支払いが先送りされるだけで、返済総額が減るわけではありません(ルールの有無や内容は金融機関で異なります)。最新の適用金利やルールの詳細は、各金融機関の公式サイトでご確認ください。

金利が1%上がるごとに毎月1万5,000円前後の差が生まれます(元利均等返済・ボーナス返済なし・諸費用は含まず)
金利が1%上がるだけで毎月1万5,000円前後、総額では600万円以上の差が出ることがわかります。「毎月あと1万円なら払える」と感じるかどうかが、変動金利を選ぶときの一つの判断材料になります。
なお、借入額が2,000万円なら金利年1.000%で毎月約56,400円、年3.000%で約76,900円、4,000万円なら年1.000%で約112,900円、年3.000%で約153,900円が目安です。実際の返済額は金融機関の返済シミュレーションで、申込時点の金利を使って必ず確認してください。
何通りもシミュレーションをしよう
家を買ってからの長い人生の中で、どのような出来事が起きるかは誰にも予想できません。子どもが生まれる人数が1人違っただけでも、数百万円の支出が変わってきます。 住宅ローンのシミュレーションは、子どもの人数や、配偶者が仕事を離れる時期、早期退職した場合……など、考えられる限りのライフプランに合わせて何通りも行いましょう。 借入予定の時期の収入だけで住宅ローンを組んでしまうと、子どもが生まれた後の支払いが大変になりますし、万が一、大きな出来事が起こった時には返済に対応できなくなってしまいます。 ポイントは「いちばんうまくいったとき」ではなく、「収入がいちばん下がったとき」を含めて何通りも試すことです。うまくいく前提の試算だけを見て安心してしまうと、想定外の出来事が起きたときに立て直しがきかなくなります。月々の支払額は所得の最低水準にあわせる
家を購入する時は、新婚、共働き、子どもはまだいない、という家族が多くいますが、その時の基準で借入額を決めてしまうと、後から支払いが大変になってしまう可能性が大きく、子どもが生まれた後は、一時的にどちらかの収入は減少するか、ゼロになることも考えられます。
「子どもが生まれてもバリバリ働き続けます!」と思っていても、実際に生まれてみると、保育園に入所できない、子どもが病気がち、体力的に難しい、など、いろいろな理由で仕事を続けられなくなったり、一時的に時短やパート勤務へ変更せざるをえない状況になることは十分考えられます。
また、将来的にどちらかが転職や早期退職となることも考えられるため、どのような状況になっても月々の返済は滞らない程度の金額を設定する必要があります。
考えうる一番低い水準の収入から、借入額を算出しましょう。
「返せる額」の目安はどう決める?
よく使われる目安が返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)です。【フラット35】では、年収400万円未満なら年間の総返済額が年収の30%以下、年収400万円以上なら35%以下であることが利用条件のひとつになっています(住宅金融支援機構の公式基準)。ここでいう返済額は住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローン、カードローンなども含めた合計である点に注意してください。 ただしこれは「基準として認められる上限」であって、無理なく返せる金額とは別です。教育費や車の買い替え、老後資金の積立まで考えると、実際には手取り年収の20〜25%程度に収まっているかを一つの目安に、ご家庭の支出に合わせて判断すると安心です。極力、ボーナス払いは使用しない
借入時にボーナスがあっても、今後、ずっとボーナスをもらい続けることができるという保証はどこにもありません。 また、子どもが生まれ大きくなると、教育資金や車の買い替え、子どものおけいこごとに関する出費など、ボーナスをあてにする支出が他にも出てくる可能性は大いに考えられます。 住宅ローンの返済額は、ボーナス払いを使用しないで考えた方が、支払が滞るリスクを軽減することができます。ボーナス払いを組まずに月々返済していき、仮にボーナスが入った時に当面の使い道がなかった場合は、その金額を繰り上げ返済にまわす方法がお勧めです。 なお、一部繰上返済の手数料は金融機関によって異なり、インターネット手続きなら無料としている銀行もあります。手数料の有無は返済計画に効いてくるので、借入先を選ぶ段階で確認しておきましょう。金利が動く時期だからこそ確かめたい3つの数字
シミュレーションは「今の金利」だけで終わらせないことが大切です。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を1.0%程度で据え置くことを決めました(政策委員9人のうち賛成8・反対1)。ただし植田総裁は同日の会見で、今後も政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整していく方針を示しています。「据え置き=これから当分金利は上がらない」という意味ではない点に注意しましょう。 一方で、2026年8月の10年固定型の住宅ローン金利は大手5行が引き上げ、最優遇金利の平均は前月比0.198%高い3.698%になりました(日本経済新聞・2026年7月31日)。これは、変動金利が日銀の政策金利(短期プライムレート)に、固定金利が長期金利(10年物国債利回り)に連動しているためで、政策金利が据え置かれても固定金利は上がることがあるという一例です。 そこで、シミュレーションでは次の3つを必ず見比べてください。| 比較の観点 | 見るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 今の金利での毎月返済額 | 実際に申し込む金融機関の適用金利で計算する | 金利は毎月見直されるため、必ず申込時点の公式サイトの金利で |
| 金利が上がったときの毎月返済額 | 変動金利を選ぶなら「+1%」「+2%」でも試す | 上がっても払えるかどうかが借入額を決める基準になる |
| 総返済額と諸費用の合計 | 事務手数料・保証料・登記費用・火災保険まで含める | 金利が低くても諸費用で差がつくことがある |
借入額・金利別に見る毎月返済額の目安
金利が1%変わると返済額がどれくらい変わるのか、数字で見ておくとイメージがつかみやすくなります。下のグラフと表は、借入3,000万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なしという条件で、元利均等返済の計算式にもとづいて計算した概算です(諸費用は含みません)。
| 金利(全期間一定と仮定) | 毎月返済額 | 総返済額(概算) |
|---|---|---|
| 年1.000% | 約84,600円 | 約3,557万円 |
| 年2.000% | 約99,300円 | 約4,174万円 |
| 年3.000% | 約115,400円 | 約4,849万円 |
シミュレーションの進め方(4ステップ)
- 毎月出せる額を家計から決める……今の家賃+住宅のために貯めている額が出発点。管理費・修繕積立金・固定資産税(マンションなら駐車場代も)が新たに加わることを忘れずに。
- その返済額から借入可能額を逆算する……「借りられる額」からではなく「返せる額」から始めるのがコツです。
- ライフイベントを重ねて何通りも試す……出産、教育費のピーク、車の買い替え、収入が下がる時期を書き出し、その年の家計でも返せるかを確認します。
- 金利上昇と諸費用を上乗せして最終確認……変動金利なら+1〜2%でも耐えられるか、頭金を入れた場合とそうでない場合はどうかまで見ておくと安心です。
よくある質問
Q. 家探しとローンの試算は、どちらを先にすればよいですか?
A. 試算を先におすすめします。予算の上限がわからないまま物件を見ると、気に入った家に合わせて借入額をふくらませてしまいがちです。先に「毎月これなら返せる」という金額を決めておくと、物件選びの判断もぶれません。Q. 頭金は必ず用意しないといけませんか?
A. 頭金が少なくても借りられる商品はありますが、頭金の割合によって金利が変わる場合があります。たとえば【フラット35】では、融資率(建設費・購入価額に対する借入額の割合)が9割以下か9割超かで適用金利が異なります。また、手元の預貯金をすべて頭金に回すと、いざというときの生活費や引っ越し費用が不足します。生活費の半年分程度は手元に残すのが安心です。Q. 返済期間は長くしたほうがよいですか、短くしたほうがよいですか?
A. 期間を長くすると毎月の返済額は下がりますが、支払う利息は増えます。迷ったときは「長めに借りて、余裕があるときに繰り上げ返済する」と、毎月の負担を抑えつつ利息も減らせます。ただし完済時の年齢が退職後まで延びないかは必ず確認しましょう。Q. 変動金利と固定金利、シミュレーションではどちらで計算すべき?
A. 両方で計算して見比べるのがおすすめです。変動金利は当初の返済額が抑えられますが、将来上がる可能性があります。固定金利は返済額が変わらない安心感がある一方、当初の返済額は高めです。変動を選ぶ場合は、金利が上がったときの返済額でも家計が回るかを必ず確認してください。Q. 試算した金額のまま借りて大丈夫ですか?
A. 住宅ローン以外の費用も見ておきましょう。購入時には事務手数料・登記費用・火災保険料・引っ越し代などがかかり、購入後も固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金が続きます。「毎月返済額+維持費」で考えるのが失敗しないコツです。Q. 借入先はどう選べばよいですか?
A. 金利の低さだけでなく、事務手数料・保証料・繰上返済手数料・団体信用生命保険(団信)の保障内容まで含めて総額で比べてください。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料0円・一部繰上返済手数料0円で、一般団信の保障は上乗せ金利0円で付帯します。事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型で、店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、はじめての方が相談しながら進めたい場合にも検討しやすい選択肢です。金利・手数料・団信の内容は改定されることがあるため、最新の情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。 シミュレーションは、家を買ってからの暮らしを守るための「予行演習」です。何通りも試して、どんな状況でも返していける金額を見つけてから、家探しを進めていきましょう。
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