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住宅ローン借り換えのメリットは?仕組みと向き不向きをやさしく解説

住宅ローンを借り換えたい、という相談はとても多いのですが、その目的は人によってさまざまです。借り換えというと「借り換え専用の特別な商品があるのでは?」と身構えてしまう方もいますが、実はそうではありません。いま返済中のローンを、新しく契約した住宅ローンで返してしまう——たったそれだけの手続きです。 この仕組みさえ分かっていれば、「自分の場合は使ったほうがいいのか」を落ち着いて判断できます。この記事では、はじめての方に向けて、借り換えの仕組み・いまの時期ならではのメリット・逆に効果が出にくいケースを、順番にかみ砕いてご説明します。

借り換えは「新しいローンで前のローンを返す」だけ

まずは仕組みからです。特別な商品も、特別な制度も必要ありません。返済(完済)と新たな借り入れを組み合わせているだけと考えてください。 例えば、いまA銀行の住宅ローンを利用していて、残っている借入残高(残債)が1,000万円あったとしましょう。ここで、より条件のよい住宅ローンを扱っているB銀行が見つかったとします。このときにやることは単純で、B銀行から1,000万円を借り、そのお金でA銀行に一括で返すだけです。以後は、B銀行の金利と返済条件で返していくことになります。 つまり借り換え後の条件は、まるごと「新しく借りる銀行の条件」に置き換わります。だからこそ、借り換え先を選ぶときは、新規で住宅ローンを借りるときとまったく同じ目線で――金利だけでなく、事務手数料・保証料・団体信用生命保険(団信)の保障内容まで――比べる必要があるのです。

いまの借り換えは「金利差」だけが理由ではありません

ひと昔前まで、借り換えといえば「昔の高い金利で借りた人が、下がった金利に乗り換えて利息を減らす」という図式が中心でした。ところが、ここ数年で状況はすっかり変わっています。 日本銀行の政策金利は2026年8月時点で年1.0%程度まで引き上げられ、これを受けて三菱UFJ銀行やみずほ銀行など主要行は、変動金利の基準になる短期プライムレートを2026年8月3日に年2.375%へ改定しました。固定金利のものさしになる長期金利(10年国債利回り)も上昇しており、全期間固定の代表格である【フラット35】の金利は、2026年8月資金受取分で年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き/住宅金融支援機構 公式)まで上がっています。
2026年8月の変動金利・10年固定・フラット35の金利水準を比べた棒グラフ
変動と固定では、同じ2026年8月でもこれだけ水準が違います。
こうした環境のもとで、いま借り換えを考える人の動機は、大きく次の3つに分かれています。
借り換えの目的どんな人に向くか気をつけたいこと
利息の総額を減らすいまの適用金利が、借り換え先の金利よりはっきり高い人諸費用を差し引いても手元に効果が残るかを試算する
金利上昇の不安をなくす(変動→固定)変動金利で借りていて、これ以上の返済額アップに耐えられない人固定は変動より金利が高いので、当面の返済額は増えることが多い
毎月の返済額を軽くする返済が家計を圧迫している人期間を延ばせば月々は減るが、総返済額は増えやすい
とくに2つめが、いまの時期らしい動機です。住宅ローン比較サービス「モゲチェック」(株式会社MFS)の集計では、借り換えを検討している人が現在返済中の金利は2026年7月時点で平均1.55%と、7か月連続で上昇して集計開始以来の最高水準になりました。さらに変動金利で返済中の人の47.3%が「固定金利への切り替え」を検討しているとされています。 ただし、これは「借り換えを検討している人」を対象にした民間サービスの集計で、住宅ローンを借りている人全体の平均ではありません(金利が上がって困っている人ほど検討する、という偏りがあります)。「みんなが借り換えているらしい」と受け取るのではなく、まずご自身の返済予定表や銀行のマイページで、いま何%が適用されているかを確かめるところから始めてください。

返済額を減らすときは「総返済額」も一緒に見てください

毎月の返済が苦しいときには、借り換えのタイミングで返済期間を延ばすことで、月々の負担を軽くできる場合があります。家計を立て直すという意味では、有効な選択肢のひとつです。 ただし、ここは初心者の方がいちばん誤解しやすいところなので、はっきり書いておきます。期間を延ばして月々を減らすと、利息を払う期間も延びるため、総返済額はふつう増えます。「毎月が楽になった=得をした」ではありません。月々の金額と総返済額は、必ずセットで確認してください。 なお、返済期間は無制限に延ばせるわけではなく、完済時の年齢の上限や、建物の残存年数などによって制限されるのが一般的です。借り換え先の商品説明書で条件を確かめておきましょう。

費用がかかることも、必ず計算に入れて

借り換えは「新しく住宅ローンを組み直す」手続きですから、新規で借りるときと同じような費用が、あらためてかかります。主なものは次のとおりです。
  • 融資事務手数料……借入額×2.20%(税込)の定率型が主流。ほかに定額型を採用する金融機関もあります
  • 保証料……保証会社を使う商品の場合に必要(金利上乗せ型もあります)
  • 抵当権の設定・抹消にかかる登録免許税と司法書士報酬
  • 印紙税……金銭消費貸借契約書に貼付。電子契約なら不要になる金融機関もあります
  • いまの銀行に払う全額繰上返済(完済)手数料……金融機関によって無料のところも、数万円かかるところもあります
とくに見落とされがちなのが抵当権設定の登録免許税です。マイホームを買うときは、住宅取得資金の借り入れに対する軽減措置(租税特別措置法第75条)で税率が0.4%から0.1%に下がりますが、この軽減は「住宅の新築・取得のための借り入れ」が対象で、借り換えは対象になりません(軽減措置そのものの適用期限は2027年3月31日/国税庁)。借り換えでは原則どおり借入額の0.4%がかかると考えておいてください。 費用の内訳と抑え方は、借り換えローンの初期費用の抑え方で具体的にご説明しています。

借り換えても住宅ローン控除は続けられる?

「借り換えたら住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が使えなくなるのでは」と心配される方は少なくありません。結論からいえば、要件を満たせば、借り換え後も引き続き受けられます。 国税庁の説明では、借り換えによる新しいローンは「前のローンを消すための借入金」なので原則としては控除の対象外ですが、次の2つをどちらも満たす場合には、引き続き控除を受けられるとされています。
  1. 新しいローンが、当初の住宅ローンを返すためのものであることが明らかであること
  2. 新しいローンが返済期間10年以上であるなど、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること
あわせて押さえておきたいのが、控除を受けられる年数は住み始めた年から数えるため、借り換えても延長されないという点です。また、諸費用まで上乗せして借りた結果、新しい借入額が借り換え直前の残高を上回った場合(いわゆるオーバーローン)は、全額が控除の対象にはならず、決められた計算式であん分することになります。ご自身のケースの取り扱いは、国税庁のページや税務署でご確認ください。

こんなときは、あわてて借り換えなくて大丈夫

借り換えは万能ではありません。次のようなケースでは、効果が出ないか、かえって不利になることもあります。
  • 残りの返済期間が短い……減らせる利息そのものが小さく、諸費用に負けやすくなります
  • 残高が少ない……同じく、金利差で得られる効果が費用を下回りがちです
  • いまの金利がすでに低い……借り換え先の金利との差が小さければ、動く意味は薄くなります
  • 健康状態が変わった……借り換え先の団信に加入できないと、そもそも借り換えできないことがあります
  • 転職直後・収入が下がった……新規の審査を受け直すため、いまの条件で通るとは限りません
昔から「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残り期間10年以上」が目安といわれてきましたが、これはあくまで語呂のよい目安です。手数料の水準は金融機関ごとに大きく違うので、最後は必ずご自身の条件で試算してください。

はじめての方がつまずきやすいところ(Q&A)

Q. 借り換えると、いまの銀行との関係はどうなりますか?
A. いまのローンは一括で返済して終わり、担保として設定されていた抵当権も抹消します。以後の窓口は新しい銀行になります。給与振込や公共料金の引き落としを前の銀行にしている場合は、そのまま残すか移すかを別途決める形になります。

Q. 同じ銀行の中で、有利な商品に乗り換えることはできますか?
A. 「同一の金融機関内での借り換えは取り扱わない」としている金融機関が多く、その場合は別の金融機関へ移ることになります。金利タイプの変更(変動から固定への切り替えなど)は、借り換えなくても現在の契約のまま手続きできることがありますので、まずはいまの銀行に確認してみてください。

Q. 審査はもう一度受けるのですか?
A. はい。新しく住宅ローンを借りる手続きですから、収入・勤務先・健康状態・物件の担保評価などを、あらためて審査されます。返済が遅れたことがある場合は、そのことが影響することもあります。

Q. 手続きにはどのくらいかかりますか?
A. 申し込みから実行まで、おおむね1か月前後を見ておくと安心です。必要書類(本人確認書類・収入を証明する書類・いまのローンの返済予定表・登記事項証明書など)をそろえる時間も見込んでおきましょう。

Q. 費用は現金で用意しないといけませんか?
A. 諸費用を借入額に含められる商品もあります。ただし借入額が増えるぶん利息も増え、住宅ローン控除の対象額にも影響することがあるため、手元資金と相談して決めてください。

まずは、この3つから始めてみましょう

最後に、今日からできる順番を整理しておきます。
  1. いまの条件を書き出す……適用金利・借入残高・残りの返済期間・金利タイプ・団信の内容を、返済予定表で確認します
  2. 借り換え候補の総額を出す……金利だけでなく、事務手数料・保証料・登記費用・完済手数料まで足した「総額」で比べます
  3. 効果が費用を上回るかを確かめる……各金融機関のシミュレーションで、借り換え後の総返済額と現状を並べてみます
金利が上がっている局面では、「安いところへ移る」よりも「上がっても耐えられる形にしておく」という視点が大切になります。返済額の予測しやすさを重視するなら固定金利型、当面の負担を抑えたいなら変動金利型と、ご自身が何を心配しているのかを先に決めておくと、商品選びがぐっと楽になります。 借り換え先の候補としては、SBI新生銀行のように保証料が0円で、一部繰上返済手数料もかからず、一般団信の保険料上乗せもない――費用のかたちが分かりやすい商品も選択肢に入れておくとよいでしょう。ネットでの手続きと店舗での相談を両方選べる点も、はじめての方には心強いところです。 金利や手数料は毎月のように見直されます。実際に検討するときは、必ず各金融機関の公式サイトで最新の条件をご確認ください。

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