- 公開日: 2026.08.30
- ゼロから学ぶ住宅ローン
住宅ローン借り換えのメリットは?仕組みと向き不向きをやさしく解説

借り換えは「新しいローンで前のローンを返す」だけ
まずは仕組みからです。特別な商品も、特別な制度も必要ありません。返済(完済)と新たな借り入れを組み合わせているだけと考えてください。 例えば、いまA銀行の住宅ローンを利用していて、残っている借入残高(残債)が1,000万円あったとしましょう。ここで、より条件のよい住宅ローンを扱っているB銀行が見つかったとします。このときにやることは単純で、B銀行から1,000万円を借り、そのお金でA銀行に一括で返すだけです。以後は、B銀行の金利と返済条件で返していくことになります。 つまり借り換え後の条件は、まるごと「新しく借りる銀行の条件」に置き換わります。だからこそ、借り換え先を選ぶときは、新規で住宅ローンを借りるときとまったく同じ目線で――金利だけでなく、事務手数料・保証料・団体信用生命保険(団信)の保障内容まで――比べる必要があるのです。いまの借り換えは「金利差」だけが理由ではありません
ひと昔前まで、借り換えといえば「昔の高い金利で借りた人が、下がった金利に乗り換えて利息を減らす」という図式が中心でした。ところが、ここ数年で状況はすっかり変わっています。 日本銀行の政策金利は2026年8月時点で年1.0%程度まで引き上げられ、これを受けて三菱UFJ銀行やみずほ銀行など主要行は、変動金利の基準になる短期プライムレートを2026年8月3日に年2.375%へ改定しました。固定金利のものさしになる長期金利(10年国債利回り)も上昇しており、全期間固定の代表格である【フラット35】の金利は、2026年8月資金受取分で年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き/住宅金融支援機構 公式)まで上がっています。
| 借り換えの目的 | どんな人に向くか | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 利息の総額を減らす | いまの適用金利が、借り換え先の金利よりはっきり高い人 | 諸費用を差し引いても手元に効果が残るかを試算する |
| 金利上昇の不安をなくす(変動→固定) | 変動金利で借りていて、これ以上の返済額アップに耐えられない人 | 固定は変動より金利が高いので、当面の返済額は増えることが多い |
| 毎月の返済額を軽くする | 返済が家計を圧迫している人 | 期間を延ばせば月々は減るが、総返済額は増えやすい |
返済額を減らすときは「総返済額」も一緒に見てください
毎月の返済が苦しいときには、借り換えのタイミングで返済期間を延ばすことで、月々の負担を軽くできる場合があります。家計を立て直すという意味では、有効な選択肢のひとつです。 ただし、ここは初心者の方がいちばん誤解しやすいところなので、はっきり書いておきます。期間を延ばして月々を減らすと、利息を払う期間も延びるため、総返済額はふつう増えます。「毎月が楽になった=得をした」ではありません。月々の金額と総返済額は、必ずセットで確認してください。 なお、返済期間は無制限に延ばせるわけではなく、完済時の年齢の上限や、建物の残存年数などによって制限されるのが一般的です。借り換え先の商品説明書で条件を確かめておきましょう。費用がかかることも、必ず計算に入れて
借り換えは「新しく住宅ローンを組み直す」手続きですから、新規で借りるときと同じような費用が、あらためてかかります。主なものは次のとおりです。- 融資事務手数料……借入額×2.20%(税込)の定率型が主流。ほかに定額型を採用する金融機関もあります
- 保証料……保証会社を使う商品の場合に必要(金利上乗せ型もあります)
- 抵当権の設定・抹消にかかる登録免許税と司法書士報酬
- 印紙税……金銭消費貸借契約書に貼付。電子契約なら不要になる金融機関もあります
- いまの銀行に払う全額繰上返済(完済)手数料……金融機関によって無料のところも、数万円かかるところもあります
借り換えても住宅ローン控除は続けられる?
「借り換えたら住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が使えなくなるのでは」と心配される方は少なくありません。結論からいえば、要件を満たせば、借り換え後も引き続き受けられます。 国税庁の説明では、借り換えによる新しいローンは「前のローンを消すための借入金」なので原則としては控除の対象外ですが、次の2つをどちらも満たす場合には、引き続き控除を受けられるとされています。- 新しいローンが、当初の住宅ローンを返すためのものであることが明らかであること
- 新しいローンが返済期間10年以上であるなど、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること
こんなときは、あわてて借り換えなくて大丈夫
借り換えは万能ではありません。次のようなケースでは、効果が出ないか、かえって不利になることもあります。- 残りの返済期間が短い……減らせる利息そのものが小さく、諸費用に負けやすくなります
- 残高が少ない……同じく、金利差で得られる効果が費用を下回りがちです
- いまの金利がすでに低い……借り換え先の金利との差が小さければ、動く意味は薄くなります
- 健康状態が変わった……借り換え先の団信に加入できないと、そもそも借り換えできないことがあります
- 転職直後・収入が下がった……新規の審査を受け直すため、いまの条件で通るとは限りません
はじめての方がつまずきやすいところ(Q&A)
Q. 借り換えると、いまの銀行との関係はどうなりますか?
A. いまのローンは一括で返済して終わり、担保として設定されていた抵当権も抹消します。以後の窓口は新しい銀行になります。給与振込や公共料金の引き落としを前の銀行にしている場合は、そのまま残すか移すかを別途決める形になります。
Q. 同じ銀行の中で、有利な商品に乗り換えることはできますか?
A. 「同一の金融機関内での借り換えは取り扱わない」としている金融機関が多く、その場合は別の金融機関へ移ることになります。金利タイプの変更(変動から固定への切り替えなど)は、借り換えなくても現在の契約のまま手続きできることがありますので、まずはいまの銀行に確認してみてください。
Q. 審査はもう一度受けるのですか?
A. はい。新しく住宅ローンを借りる手続きですから、収入・勤務先・健康状態・物件の担保評価などを、あらためて審査されます。返済が遅れたことがある場合は、そのことが影響することもあります。
Q. 手続きにはどのくらいかかりますか?
A. 申し込みから実行まで、おおむね1か月前後を見ておくと安心です。必要書類(本人確認書類・収入を証明する書類・いまのローンの返済予定表・登記事項証明書など)をそろえる時間も見込んでおきましょう。
Q. 費用は現金で用意しないといけませんか?
A. 諸費用を借入額に含められる商品もあります。ただし借入額が増えるぶん利息も増え、住宅ローン控除の対象額にも影響することがあるため、手元資金と相談して決めてください。
まずは、この3つから始めてみましょう
最後に、今日からできる順番を整理しておきます。- いまの条件を書き出す……適用金利・借入残高・残りの返済期間・金利タイプ・団信の内容を、返済予定表で確認します
- 借り換え候補の総額を出す……金利だけでなく、事務手数料・保証料・登記費用・完済手数料まで足した「総額」で比べます
- 効果が費用を上回るかを確かめる……各金融機関のシミュレーションで、借り換え後の総返済額と現状を並べてみます

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