- 公開日: 2026.08.07
- ゼロから学ぶ住宅ローン
住宅ローンと所得税|計算方法と控除でいくら戻るかをやさしく解説

マイホームの購入を考えはじめると、資金計画と同じくらい「税金」の話がついて回ります。とくに所得税は、住宅ローンを検討するうえで避けて通れないテーマです。
というのも、住宅ローンには住宅ローン控除(住宅ローン減税)という強力な優遇があり、戻ってくる金額の上限は、あなたが納めている所得税の額で決まるからです。「控除の上限まで受けられると思っていたのに、実際はそこまで戻らなかった」という行き違いは、ここを知らないことから起こります。
むずかしそうに見える所得税ですが、計算の流れはとてもシンプルです。このページでは、はじめて住宅ローンを借りる方に向けて、所得税のしくみと計算方法、そして住宅ローンとのつながりを、順を追ってやさしく整理していきます。
所得税は、年収にそのまま税率をかけて計算するわけではありません。ここが最大のポイントです。会社員の場合、次の4つのステップで求めます。
【ステップ1】収入金額から「給与所得控除」を引く
源泉徴収票の「支払金額」(=年収)から、会社員の必要経費にあたる給与所得控除を差し引きます。差し引いたあとの金額が「給与所得」です。令和7年分以降の給与所得控除額は次のとおりです。
※収入金額が660万円未満の場合は、この表ではなく所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)で給与所得を求めます。
【ステップ2】所得控除を引いて「課税される所得金額」を出す
給与所得から、さらに所得控除を差し引きます。代表的なのは、社会保険料控除(健康保険・厚生年金・雇用保険の支払額)、生命保険料控除、地震保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除、そして誰もが対象になり得る基礎控除です。
基礎控除は令和7年分から見直され、合計所得金額に応じた金額になりました。令和7年分・令和8年分は上乗せがあり、たとえば合計所得金額が489万円超655万円以下なら63万円、655万円超2,350万円以下なら58万円です(令和9年分以後は原則58万円)。
【ステップ3】課税される所得金額に税率をかける
ここでようやく税率の出番です。所得税は累進課税といって、課税される所得金額が大きいほど税率が高くなり、5%から45%までの7段階に分かれています。計算しやすいように、税率とセットで差し引く「控除額」が定められた速算表が用意されています。

税率がかかるのは「年収」ではなく、各種控除を差し引いたあとの「課税される所得金額」です。
計算式は「課税される所得金額 × 税率 − 控除額」です。よく誤解されますが、年収が上がって税率の区分が変わっても、収入全体に高い税率がかかるわけではありません。あくまで、超えた部分にだけ高い税率がかかるしくみになっています。
【ステップ4】税額控除を引き、復興特別所得税を加える
ステップ3で出た所得税額から、住宅ローン控除などの税額控除を差し引きます。そして、平成25年から令和19年までの各年分は、復興特別所得税(原則として基準所得税額の2.1%)をあわせて申告・納付します。
■ 計算例(年収700万円の会社員の場合)
ステップ1:給与収入700万円 −(700万円×10%+110万円=180万円)= 給与所得520万円
ステップ2:社会保険料控除・生命保険料控除・基礎控除などの所得控除の合計を仮に170万円とすると、課税される所得金額は350万円
ステップ3:350万円 × 20% − 427,500円 = 272,500円
ステップ4:272,500円 × 1.021(復興特別所得税を含む)= 約278,200円
この方の場合、住宅ローン控除で差し引ける所得税は最大でも約27万円です。もし控除額が30万円だったとしても、差額はそのまま丸ごと戻るわけではなく、住民税から差し引ける範囲までが限度になります。所得控除の額は家族構成や加入している保険によって変わりますので、実際の金額はご自身の源泉徴収票でご確認ください。
住宅ローンを考えるうえで所得税を知っておきたい理由
不動産を取得するためには自己資金と、自己資金で足りない部分は銀行から住宅ローンを借りて購入することになります。 ここでよくある誤解を、先に整理しておきましょう。住宅ローンの審査で直接見られているのは「所得税をいくら払っているか」ではありません。金融機関が重視するのは、年収や勤続年数、他の借り入れの状況、そして返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)といった「返し続けられるか」を示す要素です。 では、なぜ所得税を知っておく必要があるのでしょうか。理由は住宅ローン控除にあります。 住宅ローン控除は、年末時点のローン残高に控除率をかけた金額を、計算された所得税額から直接差し引く「税額控除」です(令和4年1月1日以降に入居した場合の控除率は0.7%)。差し引くもとになる所得税が少なければ、控除の枠が余っていても、その分は戻ってきません。 所得税から引ききれなかった分は、一定の範囲で翌年の住民税からも差し引かれるしくみがありますが、それにも上限があります。 つまり——「いくら戻るか」を正しく見積もるには、自分の所得税がいくらなのかを知っておく必要があるのです。借入額や住宅の性能を検討するときの判断材料にもなりますから、ここは押さえておきましょう。支払う所得税の計算方法
所得税は、年収にそのまま税率をかけて計算するわけではありません。ここが最大のポイントです。会社員の場合、次の4つのステップで求めます。
【ステップ1】収入金額から「給与所得控除」を引く
源泉徴収票の「支払金額」(=年収)から、会社員の必要経費にあたる給与所得控除を差し引きます。差し引いたあとの金額が「給与所得」です。令和7年分以降の給与所得控除額は次のとおりです。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | 備考 |
|---|---|---|
| 190万円まで | 65万円 | 令和7年分から最低額が引き上げ |
| 190万円超 360万円まで | 収入金額×30%+8万円 | — |
| 360万円超 660万円まで | 収入金額×20%+44万円 | — |
| 660万円超 850万円まで | 収入金額×10%+110万円 | — |
| 850万円超 | 195万円(上限) | これ以上は増えない |

| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円 〜 1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円 〜 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円 〜 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円 〜 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円 〜 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円 〜 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税の計算方法を知っておくメリット
所得税の計算方法を知っておく最大のメリットは、住宅ローン控除でいくら戻るのかを、自分で見積もれるようになることです。 たとえば、年末のローン残高が3,000万円なら、控除率0.7%をかけた21万円がその年の控除額の目安になります(借入限度額・控除限度額の範囲内の場合)。ここで自分の所得税が約27万円と分かっていれば、「21万円はしっかり引ききれそうだ」と見通しが立ちます。逆に所得税が10万円ほどしかない方なら、控除枠を使い切れない可能性があると分かります。 こうした見積もりができると、「借入額をいくらにするか」「省エネ性能の高い住宅を選んで借入限度額の上乗せを狙うか」といった判断が、感覚ではなく数字でできるようになります。夫婦でペアローンにするか、どちらか一人で借りるかを考えるときにも役立ちます。 もうひとつ大切なのが、納めすぎた所得税は、精算のしくみを使えば戻ってくるということです。会社員の給与から毎月引かれている所得税は、あくまで見込みで計算された概算額です。1年分の所得と控除が確定したところで、年末調整や確定申告によって正しい税額に精算されます。その結果、納めすぎていれば還付されます。住宅ローン控除の1年目に確定申告をすると、まとまった金額が振り込まれるのはこのためです。年末調整と確定申告はどう違う?
ここも初めての方がつまずきやすいポイントです。 年末調整は、勤務先が年末に1年分の所得税を計算し直して精算してくれる手続きです。生命保険料控除や扶養控除などは、この年末調整で反映されます。 確定申告は、自分で税務署に申告して所得税を精算する手続きです。医療費控除や、年末調整では対応できない控除を受けるときに使います。 住宅ローン控除の場合は、入居した翌年に1回だけ確定申告が必要で、2年目以降は勤務先の年末調整で対応できます。 なお、年末調整を受けた会社員が住宅ローン控除のために行う申告は「還付申告」にあたり、確定申告期間(2月16日〜3月15日)を待たずにその年の翌年1月1日から提出できます(提出できる期間は5年間)。書類がそろったら早めに手続きしてしまいましょう。所得税と住宅ローンのよくある質問
Q. 「年収」と「所得」と「課税される所得金額」は何が違うのですか? A. 年収は源泉徴収票の「支払金額」、つまり額面の収入です。そこから給与所得控除を引いたものが所得(給与所得)、さらに社会保険料控除や基礎控除などの所得控除を引いたものが課税される所得金額です。税率がかかるのはいちばん最後の「課税される所得金額」なので、年収に税率をかけて計算すると実際よりずっと多く見えてしまいます。 Q. 住宅ローン控除は、所得税が少ないと使い切れないのですか? A. そのとおりです。住宅ローン控除は納めた所得税から差し引くしくみのため、もともとの所得税が少ないと控除枠が余ります。所得税から引ききれない分は、一定の範囲で翌年の住民税からも差し引かれますが、そこにも上限があります。育休などで所得が少なかった年は、控除を使い切れないことがある点を頭に入れておきましょう。 Q. 共働きです。ペアローンにすると控除は増えますか? A. 夫婦それぞれが債務者となるペアローンなら、それぞれが自分の所得税・住民税の範囲で控除を受けられます。一人で大きく借りて控除枠を余らせるより有利になるケースがあります。ただし、団体信用生命保険の保障の考え方や、諸費用が2件分かかる点など、控除以外の要素もあわせて判断が必要です。 Q. 所得税は住宅ローンの審査に影響しますか? A. 所得税額そのものを審査基準にしているわけではありませんが、その根拠となる年収や勤務先、勤続年数は必ず確認されます。源泉徴収票や確定申告書の提出を求められるのはそのためです。数字の裏付けが取れる書類をきちんと用意することが、審査をスムーズに進める近道です。 Q. 個人事業主の場合はどう計算しますか? A. 給与所得控除の代わりに、売上から必要経費を差し引いて事業所得を計算します(青色申告の方は青色申告特別控除も差し引けます)。そこから所得控除を引いて課税される所得金額を求め、速算表を使うという流れは会社員と同じです。 住宅ローンは、借りるときの金利だけでなく、借りたあとの税金まで含めて考えると全体像が見えてきます。金利・事務手数料などの諸費用・団信の内容を比べつつ、住宅ローン控除で戻る金額も自分で見積もってみてください。手数料や保障の条件が分かりやすく示されていて、ウェブで試算しながら検討できるSBI新生銀行のような銀行は、こうした「数字で考えたい」方にとって検討に値する選択肢のひとつです。 ※本記事の税率・控除額は2026年8月時点で国税庁・国土交通省の公表資料をもとに確認したものです(所得税の速算表・給与所得控除・基礎控除はいずれも令和7年4月1日現在法令等)。住宅ローン控除は令和8年度税制改正により令和12年12月31日入居分まで延長されています。制度は毎年見直されるため、実際の計算や適用の可否は国税庁の公式サイト、または所轄の税務署・税理士にご確認ください。
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