- 公開日: 2026.08.03
- ゼロから学ぶ住宅ローン
住宅ローンの返済計画で大切なポイント|月々の返済額と期間の決め方

念願のマイホームを建てるとき、切っても切り離せないのが家ローン(住宅ローン)ですね。
以前は「超低金利時代」と言われていましたが、状況は変わってきました。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物の誘導目標)を1.0%程度に据え置くことを決めています(賛成8・反対1)。その一方で、大手5行が2026年8月に適用する住宅ローン金利では、10年固定型が5行とも引き上げ、変動型は5行とも据え置きとなりました。
つまり今は、「変動はひとまず落ち着いているが、固定は上がってきている」という局面です。だからこそ、借りる前に返済計画をきちんと立てておく意味が以前より大きくなっています。
でも、誰しも心配になるのがローンの返済についてですね。
借りたことを後悔しないように、家ローンで大切なポイントをおさらいしましょう。
月々の返済金額設定のポイントは?
月々の返済金額を考えたときに重要になるのが、収入の何パーセントを家返済に充てるかです。余裕のある返済計画を立てるため、今後の収入を見積もってプランニングしましょう。
この「何パーセントまで借りられるか」には、実は目安があります。全期間固定金利の【フラット35】では、年収に占めるすべての借り入れの年間合計返済額の割合(総返済負担率)について、年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下という基準が設けられています。
ただし、これは「審査に通る上限」であって「無理なく返せる水準」ではありません。しかも計算に使うのは税込みの年収です。実際に手元に入る手取りで考えると、負担感はかなり変わります。
初めての方は、次の順番で考えると失敗しにくくなります。
・いまの家賃(+駐車場代)を出発点にする
・そこに、これまで貯金できていた月額を足す
・そこから、持ち家で新たにかかる分(固定資産税・修繕積立・火災保険など)を引く
この金額が、ひとまずの「無理のない月々返済額」の目安です。
ここで重要なのがライフプランの見積もりです。
いつごろ結婚するのか、子供の手が離れるのは何歳位なのか、教育費などを適切に見積もることがポイントです。
親の介護費用なども忘れずに試算してください。
ボーナス払いは繰り上げ返済や臨時の支出に当てることを想定し、なるべく月々の収入の中で返済できるように金額設定をしましょう。ボーナスは業績によって減ることもあるため、返済の前提に組み込みすぎないほうが安全です。
返済期間設定のポイントは?

無理なく返済できる金額から、返済期間を算定します。
利息の面から考えて、返済期間が短いほうが得ですね。しかし、返済期間を無理に短期間に設定してしまうと、月々の返済金額が増えてしまい、結局返済が滞ってしまうことにもなりかねません。
毎月のローンを返済できなかった場合の利息は、会社によっても違いがありますが、通常の利息よりも高い場合が多く見られます。これは「遅延損害金」と呼ばれるもので、返済が遅れた日数に応じてかかります。うっかり口座の残高が足りなかった、というだけでも発生しますので注意しましょう。
つまり、無理して短期間での家ローン返済計画を立てるよりは、少し余裕を持って返済できるような期間設定をしておくほうが良いのです。
また、なるべく定年を迎えるまでには払い終えるように設定しておきましょう。
就労所得がなくなった後まで返済期間が残っていると、老後の生活を圧迫する可能性が大きくなってくるため要注意です。
期間には制度上の上限もあります。【フラット35】の場合、借入期間は15年以上で、「35年」と「80歳-申込時の年齢」のいずれか短い年数が上限とされています(申込時の年齢は満70歳未満)。「80歳まで借りられる」と読むこともできますが、年金生活に入ってからの返済がどれだけ現実的かを先に考えるほうが大切です。
なお、期間を長めに設定しておいて、余裕ができたら繰り上げ返済で短くする、という進め方もできます。後から縮めるのは比較的かんたんですが、後から延ばすのは難しいので、迷ったら少し長めにしておくのがひとつの考え方です。
貯蓄と繰り上げ返済の好バランスは?
家ローンを組むと、繰上げ返済をしないと損ではないかと考え、繰上げ返済に励む方も多いようですが、繰上げ返済ばかりに気を取られてしまうと、貯蓄ができない傾向があります。万が一に備え、一定額の貯蓄をプールしてから繰り上げ返済を行うようにしましょう。
繰り上げ返済したことで家計のバランスが崩れて、再度他のローンを組まなければならない、となってしまうと本末転倒なことになりかねません。
万が一のことがあっても、家族全員が半年から1年程度は生活できる額を確保し、その余剰分を家ローンの繰上げ返済にまわしましょう。
繰り上げ返済には2つのタイプがあります。目的によって選び分けてください。
| タイプ | どうなるか | 向いている人 |
|---|---|---|
| 期間短縮型 | 毎月の返済額は変わらず、返済期間が短くなる | 利息の軽減効果を優先したい/定年前に完済したい |
| 返済額軽減型 | 期間は変わらず、毎月の返済額が下がる | 教育費が重なる時期など、月々の負担を軽くしたい |
一般に利息を減らす効果が大きいのは期間短縮型ですが、家計の安全度を高めたいなら返済額軽減型という選び方もあります。どちらが正解ということはありません。
繰り上げ返済で見落としやすい点も挙げておきます。
・手数料の有無…金融機関によって異なります。ネットからの手続きは無料でも、窓口は有料というケースもあります。たとえばSBI新生銀行は一部繰上返済・全額繰上返済とも原則手数料が0円とされています(条件は変わることがあるため、必ず公式サイトでご確認ください)。
・最低金額の決まり…【フラット35】の一部繰上返済は、インターネットサービス「住・MyNote」からなら10万円以上、金融機関の窓口なら100万円以上とされています。
・住宅ローン控除との関係…控除は年末のローン残高をもとに計算されるため、繰り上げ返済で残高が減ると控除額も減ります。また期間短縮型で返済期間が10年未満になると控除の要件を外れることがあります。適用の可否は国税庁の情報や税務署で確認しましょう。
変動と固定、どちらを選ぶ?
返済計画を立てるうえで、金利タイプの選択は避けて通れません。仕組みをやさしく整理しておきます。
変動金利は、短期の金利(日銀の政策金利の影響を受ける短期プライムレート)を基準にするタイプ。固定金利は、長期金利(10年国債利回りなど)の動きを反映するタイプです。もとにしている金利が違うので、「固定は上がったのに変動は据え置き」という月があるのはこのためです。2026年8月がまさにその形でした。
初めての方が知っておきたいのが、変動金利によくある2つの決まりです(すべての金融機関にあるわけではありません。契約前に必ず確認してください)。
・5年ルール…金利が上がっても、毎月の返済額は5年間変わらないとする取り扱い
・125%ルール…返済額を見直すときも、それまでの返済額の1.25倍までしか増やさないとする取り扱い
家計が急に苦しくならないためのクッションですが、返済額が変わらないだけで、支払う利息そのものが減るわけではありません。金利が大きく上がると、返済額のうち利息の割合が増え、場合によっては利息が返済額を上回る「未払い利息」が生じることもあります。「返済額が変わらない=安心」ではない、という点はぜひ覚えておいてください。
選び方の目安としては、次のように考えると整理しやすくなります。
・教育費のピークが返済期間と重なる/返済額が 増えると家計が回らない→ 固定の安心感が生きる
・返済負担率に余裕がある/繰り上げ返済の原資を確保できる→ 変動でも受け止めやすい
なお、金利は毎月改定されます。適用される金利や条件は必ず各金融機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 借りられる金額と、返せる金額は違うのですか?
はい、まったく違います。審査で示される金額は「返済負担率の上限まで貸せます」という数字であって、生活のゆとりまでは考慮されていません。先に「返せる月額」を決めてから、そこに合う借入額を逆算するのが失敗しない順番です。
Q. 頭金はどのくらい必要ですか?
頭金なしで借りられる商品もありますが、頭金を入れると借入額が減り、総返済額も抑えられます。ただし手元の現金をすべて頭金に回すのは危険です。引越し費用・家具家電・当面の生活費を残したうえで、無理のない範囲にしましょう。
Q. 物件価格のほかに、どんなお金がかかりますか?
事務手数料、登記費用、火災保険料、仲介手数料(中古の場合)などの諸費用に加え、購入後は固定資産税・都市計画税、マンションなら管理費・修繕積立金が毎年(毎月)かかります。返済計画にはこれらも必ず入れてください。
Q. 途中で収入が減ったらどうすればいいですか?
返済が苦しくなったら、滞納する前に金融機関へ相談してください。返済期間の延長など、条件変更に応じてもらえる場合があります。【フラット35】にも返済方法の変更制度があります。放置して延滞が続くほど選べる道は狭くなります。
Q. 団信(団体信用生命保険)には必ず入るのですか?
民間の住宅ローンでは加入が条件になっているのが一般的です。契約者に万一のことがあればローン残高がなくなる仕組みなので、生命保険の見直しとセットで考えると家計全体のムダを減らせます。
Q. 金利が上がりそうなときは、固定にしておくべきですか?
将来の金利は誰にも分かりません。大切なのは当てにいくことではなく、「もし上がっても返せるか」を先に確かめておくことです。変動を選ぶなら、金利が1〜2%上がった場合の返済額を試算し、それでも家計が回るかを確認しておきましょう。
まとめ
上手に借りて上手に返済することで、不安なく家ローンの返済を行っていきましょう。最後に要点を整理します。
・月々の返済額は手取りと現在の家賃を出発点に決める(審査の上限=返せる額ではない)
・返済期間は定年までの完済を意識しつつ、迷ったら少し長めに
・繰り上げ返済の前に半年〜1年分の生活費を確保する
・変動を選ぶなら5年ルール・125%ルールと未払い利息の仕組みを理解しておく
・金利・手数料・条件は変わるので、申し込み前に必ず公式サイトで最新の内容を確認する

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