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住宅ローンの繰り上げ返済シミュレーション|2つの方式と実行前の確認点

住宅ローンを借りているという方の場合、余裕資金を投資や貯蓄にまわすべきなのか、あるいは住宅ローンの繰り上げ返済にまわすべきなのかという点に悩むことがあるものです。

しかし、住宅ローンを繰り上げ返済した場合、月々のローン返済額がいくらに変わるのかという具体的な情報がわからないまま、結局何もしないで終わってしまったというようなことが多いように思えます。

住宅ローンの返済額の計算

何故かと言いますと、毎月の住宅ローン返済額の計算式はけっこう難しいですので、専門家でない限り判らないという事情があるように思えます。

しかし、住宅ローンには、繰り上げ返済のシミュレーションをしてくれるサービスもありますから、実は簡単に毎月の返済額がどのように変わるのかシミュレーションすることができるようになっているのです。

ですから、余裕資金を投資や貯蓄にまわすべきなのか、あるいは住宅ローンの繰り上げ返済にまわすべきなのかと迷った時点で即座にシミュレーションをしてみれば、これなら繰り上げて返済をしたほうが断然お得だとか、それほどでもないというようなことが直感的に判るようになります。

多くの金融機関は、自社サイトに繰り上げ返済のシミュレーターを用意しています。借入残高・残りの返済期間・金利・繰り上げる金額を入れるだけなので、数分あれば試せます。まずは「今の自分の数字」を入れてみる——ここが最初の一歩です。

繰り上げ返済には2つのタイプがあります

シミュレーターを開くと、たいてい最初に「どちらの方式にしますか?」と聞かれます。ここでつまずく方が多いので、先に押さえておきましょう。繰り上げ返済で払ったお金はすべて元金(借りた元本)に充てられます。その結果として、返済期間を縮めるか、毎月の返済額を軽くするかを選べる、という仕組みです。

比較の観点 期間短縮型 返済額軽減型
どう変わるか 毎月の返済額はそのままで、完済が早まる 完済時期はそのままで、毎月の返済額が下がる
利息を減らす効果 同じ金額なら大きい 期間短縮型より小さい
向いている人 定年までに完済したい、総額を減らしたい 今の家計を楽にしたい、収入が不安定
注意したい点 残りの返済期間が10年未満になると住宅ローン控除が使えなくなることがある 手元の余裕は増えるが、支払う利息の総額は残りやすい

「利息をいちばん減らしたい」なら期間短縮型、「毎月を楽にしたい」なら返済額軽減型——まずはこの理解で十分です。どちらが自分に合うかは、シミュレーターで両方の結果を並べてみるのがいちばん早くわかります。

シミュレーションで確かめる事も大事

住宅ローンの繰り上げ返済をシミュレーションするイメージ

また、仮にまとまった余裕資金がなかったとしても、もし1,000万円繰り上げて返済したらどうなるのかというようなことをシミュレーションしておけば、いざ余裕資金が出来た時の対応が早くなると言えるでしょう。

しかし、住宅のローンには固定金利型と変動金利型の2種類がありますから、変動金利型の場合には注意をする必要があります。すなわち、世の中の金利が変動すれば、それに伴ってローン返済額も変動するわけなのです。

つまり、金利が上がれば、ローン返済額は増えることとなり、金利が下がれば、ローン返済額は減ることとなります。ですから、これから金利が上がりそうな時には、ローンを繰り上げ返済する効果が大きくなると言えます。

ここで、変動金利型の方にもうひとつ知っておいていただきたいのが「5年ルール」と「125%ルール」です。多くの金融機関では、金利が上がっても5年間は毎月の返済額を据え置き、見直し後も従前の1.25倍を上限とする取り扱いをしています(これらのルールを設けていない金融機関もあります)。ただし、返済額が変わらないだけで、増えた利息が消えるわけではありません。返済額に占める利息の割合が増え、場合によっては未払いの利息が繰り越されることもあります。ご自身の契約にこのルールがあるかどうか、契約書や金融機関の説明資料で必ず確認しておきましょう。

なお、金利環境そのものも大きく変わりました。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を年1.0%程度で据え置くことを決めています(同行公表文)。かつての超低金利は過去のものとなり、いまは「金利のある世界」です。先行きの金利がどう動くかは誰にも断定できませんので、「上がるかもしれない」を前提に、繰り上げ返済をしたケースとしなかったケースの両方を試算しておくのが現実的です。

繰り上げ返済の前に確認したい3つのこと

シミュレーションで「お得」と出ても、すぐに実行する前に次の3点だけは確認してください。

1. 手元の現金を減らしすぎないこと
繰り上げ返済に回したお金は、原則として戻ってきません。病気・ケガ・転職・修繕など、現金が必要になる場面は必ずやってきます。生活費の半年〜1年分は手元に残すのが目安です。教育費のピークが近いご家庭は、そちらを優先して考えましょう。

2. 繰り上げ返済手数料
一部繰り上げ返済の手数料は金融機関によって異なり、インターネットからの手続きなら無料としているところも多くあります。少額を何度も繰り上げるつもりなら、手数料の有無で結果がまったく変わります。

たとえばSBI新生銀行は、一部繰り上げ返済手数料が0円です(同行公式サイトの手数料・諸費用ページに記載)。ボーナスのたびに少しずつ返していきたい方には、こうした手数料設計は相性がよいと言えます。なお、指定残高を超えた分を自動で繰り上げ返済する「自動繰上返済(スマート返済)」は取り扱いを終了していますので、古い記事の情報のままで判断しないようご注意ください。手数料や取扱内容は変更されることがあります。最新の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

3. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)への影響
ここが最大の落とし穴です。この控除は「償還期間が10年以上」であることが要件のため、期間短縮型の繰り上げ返済で償還期間が10年未満になると、その年分以後は控除を受けられなくなります(国税庁 タックスアンサー No.1225)。

判定は、国税庁の質疑応答事例によれば「当初の契約で定められていた最初に償還した月から、短くなった後の最終償還月まで」が10年以上あるかどうかで行います。控除期間中の方が期間短縮型を選ぶときは、この点を必ず確認してください。返済額軽減型なら完済予定の時期は変わらないため、この心配は基本的にありません。控除の要件や限度額は入居年・住宅の性能によっても変わりますので、詳しくは国税庁の案内やお住まいの税務署でご確認ください。

知っておく必要がある不動産価格

それから、ご自分の購入された物件の不動産価格がどうなっているかという点にも、気を配っておいたほうが良いと言えるでしょう。
というのは、仮に5,000万円で購入した物件が現在3,000万円の価値になっていて、ローン返済額がまだ3,500万円残っているとしたならば、今お住まいになっている住宅を売却しても借金をまだ返せないという状況に陥っているからです。

この「売っても残債が消えない状態」をオーバーローンといいます。転勤・離婚・住み替えなど、家を手放す必要が生じたときに選択肢を大きく狭めてしまうため、繰り上げ返済は「利息を減らす」だけでなく「身動きが取れる状態を保つ」意味も持っているのです。

このように、住宅ローンというものにはリスクが伴うのだということを考えるならば、繰り上げ返済のシミュレーションで定期的なチェックを行うべきだと言えるでしょう。年に1回、住宅ローンの残高証明書が届く時期に見直す、と決めてしまうのがおすすめです。

よくある質問

Q. 繰り上げ返済と資産運用、どちらが得ですか?
A. 単純に比べるなら「住宅ローンの金利」と「運用で確実に得られる利回り」の大小です。ただし繰り上げ返済の効果は確実なのに対し、運用の成果は変動します。同じ数字でも、確実性が違う点を踏まえて判断してください。

Q. 少額でも繰り上げ返済する意味はありますか?
A. あります。繰り上げた分はすべて元金に充てられるため、その元金に将来かかるはずだった利息がまるごと消えます。ただし手数料がかかる金融機関では、少額を何度も行うと効果が目減りします。

Q. ボーナス払い分だけをやめることはできますか?
A. 金融機関によっては、ボーナス返済分を対象にした繰り上げ返済や、返済方法の変更に応じてくれる場合があります。取り扱いは各行で異なるので、まずは窓口やコールセンターに確認してみてください。

Q. シミュレーションの結果どおりの金額になりますか?
A. 目安とお考えください。実行日や日数計算、変動金利のその後の動きによって実際の金額は前後します。正確な数字は、申し込み時に金融機関が提示する条件で確認しましょう。

Q. 繰り上げ返済より先にやるべきことはありますか?
A. 借入条件そのものの見直し(借り換え)で、より大きく負担が減ることがあります。ただし借り換えには事務手数料や登記費用がかかるため、こちらもシミュレーションのうえで比べてください。

まとめ

繰り上げ返済は、「やるか・やらないか」ではなく「いつ・いくら・どちらの方式で」を決めるものです。そのために必要な道具が、金融機関のシミュレーターです。

  1. 迷ったらすぐシミュレーション。まとまった資金がなくても試しておく。
  2. 期間短縮型か返済額軽減型か、両方の結果を並べて比べる。
  3. 手元資金・手数料・住宅ローン控除の10年要件を確認してから実行する。
  4. 年に1回は残高と物件価格をチェックする。

数字を見える形にしておけば、余裕資金ができたときに迷わず動けます。まずは今日、ご自身の借入条件を入力してみてください。

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