- 公開日: 2026.09.28
- 住宅購入の基礎知識
被災時の公的支援制度5つ|住宅ローン前に知りたい支援金と減免

自然災害で家が被害を受けたときに使える公的な支援は、主に被災者生活再建支援金(最大300万円の給付)、災害復興住宅融資、災害援護資金、災害弔慰金・災害障害見舞金、そして住宅ローンの減額・免除を相談できる「被災ローン減免制度」の5つです。多くの制度は、市区町村が発行する「り災証明書」が申請の出発点になります。
地震で建物が倒壊したときの住宅ローンの残債の記事でお伝えしたとおり、家が壊れても住宅ローンの支払いがゼロになるわけではありません。だからこそ、住宅ローンを契約する前に、いざというときの支えになる制度の全体像をつかんでおきましょう。
各種公的支援制度を受けるための心構え
住宅ローンの返済中に建物が被災したり、災害でご家族が亡くなったりした場合は、自治体などに問い合わせて、公的支援制度の申請手続きを行う必要があります。
これらの制度は、存在を知らなければ申請できず、受け取れません。「制度があることを知らずに損をしてしまった」という事態を防ぐためにも、どんな支援があるのかを前もって知っておくことが大切です。
多くの制度では、被害の程度を証明する「り災証明書」(市区町村が発行)が申請の出発点になります。いざという時に本人確認ができるよう、公的な身分証明書を普段から持ち歩いておくのもよいでしょう。
被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度は、災害で住宅に著しい被害を受けた世帯に、生活再建のための支援金を支給する公的制度です。支援金は、住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じた「加算支援金」の合計で、最大300万円です(単身世帯はそれぞれ4分の3の額になります)。
返すお金ではなく「給付」である点が、次に紹介する融資・貸付との大きな違いです。制度は災害ごとに、一定規模以上の被害が出た地域に適用されます。
基礎支援金
基礎支援金は、住宅の被害程度に応じて支給されます。全壊(および解体・長期避難)の場合は100万円、大規模半壊の場合は50万円です。
加算支援金
加算支援金は、住宅の再建方法に応じて支給されます。住宅を建設・購入する場合は200万円、補修する場合は100万円、賃貸(公営住宅を除く)に住む場合は50万円です。
なお、2020年の法改正で「中規模半壊」世帯も支援の対象に加わりました。中規模半壊世帯には基礎支援金はありませんが、加算支援金として建設・購入100万円/補修50万円/賃借25万円が支給されます(2026年9月時点)。
| 住宅の被害程度 | 基礎支援金 | 加算支援金(建設・購入/補修/賃借) |
|---|---|---|
| 全壊・解体・長期避難 | 100万円 | 200万円/100万円/50万円 |
| 大規模半壊 | 50万円 | 200万円/100万円/50万円 |
| 中規模半壊 | なし | 100万円/50万円/25万円 |
※複数人世帯の金額です。単身世帯はそれぞれ4分の3の額になります。申請は、被災当時にお住まいだった市区町村の窓口で行います。
災害復興住宅融資
災害復興住宅融資は、独立行政法人 住宅金融支援機構が提供する、被災した住宅を建て直す・買い直す・補修するための融資です。全期間固定金利の公的な住宅ローンで、建設・購入資金は返済期間が最長35年(年齢に応じた上限あり)、一定期間の元金据置も設けられています。
申込みの条件は、使いみちで異なります。建設・購入の融資は、住宅が「全壊」した旨のり災証明書を交付されている方が対象です。「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」の場合は、被災住宅の修理が不能または困難であることを申し出た場合に限り申し込めます(準半壊・一部損壊は対象外)。
一方、補修のための融資は、住宅に被害が生じた旨のり災証明書があれば対象になります。融資額は「基本融資額」「特例加算額」などに分かれ、金利や限度額は申込みの時期・区分によって変わるため、実際の数値は住宅金融支援機構の案内で確認してください。
災害援護資金
災害援護資金は、災害で世帯主がけがをしたり、住宅や家財に被害を受けたりした世帯に、生活の立て直しに必要な資金を貸し付ける制度です。市区町村が窓口となり、次のいずれかにあてはまることが条件です。
- 世帯主が負傷し、療養に1か月以上かかる場合
- 家財に3分の1以上の損害を受けた場合
- 住宅が全壊または半壊した場合
所得制限もあり、市町村民税における前年の総所得金額が、1人世帯220万円、2人世帯430万円、3人世帯620万円、4人世帯730万円(5人以上は1人増えるごとに30万円を加算)に満たないことが目安です(住宅が滅失した場合は緩和されます)。
貸付限度額は被害の組み合わせで決まり、上限は350万円です。
1. 世帯主が1か月以上の負傷をした場合
負傷のみ:150万円/家財の3分の1以上の損害:250万円/住宅の半壊:270万円/住宅の全壊:350万円
2. 世帯主に1か月以上の負傷がない場合
家財の3分の1以上の損害:150万円/住宅の半壊:170万円/住宅の全壊:250万円/住宅の全体の滅失・流失:350万円
被災した住宅を建て直す際に、残った部分を取り壊さざるを得ないなど特別な事情がある場合は、半壊で最大250万円(負傷ありは350万円)、全壊で350万円まで引き上げられます。
利率(年3%以内)や保証人の要否、据置期間などは、市町村の条例で定められています。具体的な条件はお住まいの市区町村で確認しましょう。
その他の公的支援制度(災害弔慰金・災害障害見舞金)
住宅だけでなく、災害で亡くなった方や重い障害が残った方のご家族を支える制度もあります。いずれも、お住まいの市区町村に確認のうえ手続きを行います。
災害弔慰金
災害弔慰金は、災害で亡くなった方のご遺族に支給される給付金です。生計を維持していた方が亡くなった場合は最大500万円、それ以外の方が亡くなった場合は最大250万円です。
災害障害見舞金
災害障害見舞金は、災害で重い障害が残った場合に支給されます。生計を維持していた方の場合は最大250万円、それ以外の方の場合は最大125万円です。災害弔慰金・災害障害見舞金のいずれも、支給額は市町村の条例の定めによって決まります。
住宅ローンが払えなくなったら(被災ローン減免制度)
「家が被災してもローンは残る」——これがいちばんの不安かもしれません。新しい住まいのためにローンを組み直すと、古いローンと合わせて二重ローンになってしまう恐れもあります。
そんなときに知っておきたいのが、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(通称:被災ローン減免制度)です。災害救助法が適用された自然災害の影響で住宅ローンなどの返済が難しくなった個人が、一定の要件を満たした場合に、借入先の金融機関の同意のもとで債務の減額や免除を受けられる仕組みです。
政府広報の「自然災害債務整理ガイドライン」の案内によると、主な特徴は次の3つです。
- 個人信用情報に登録されない(自己破産などと違い、その後の新たな借入れに影響しない)
- 財産の一部を手元に残せる(被災者生活再建支援金や義援金などに加え、預貯金などの一部)
- 弁護士などの「登録支援専門家」の手続き支援を無料で受けられる(国の補助による)
利用を考えるときは、まずいちばん多く借りている金融機関に申し出るのが入口です。「万が一のときに、こうした救済の道がある」と知っておくだけでも、住宅ローンを組むうえでの安心につながります。災害への備え方は、被災に備える補償付きローンと減免制度の解説もあわせてご覧ください。
被災時の公的支援に関するよくある質問
Q. 住宅ローンが残っていても、被災者生活再建支援金は受け取れますか?
A. 受け取れます。支給額は住宅の被害の程度と再建の方法で決まり、住宅ローンの有無は支給の要件になっていません。支援金は返済が不要な給付なので、再建や当面の生活費に充てられます。
Q. 賃貸住まいでも支援の対象になりますか?
A. なります。住んでいた住宅が全壊・大規模半壊などと判定されれば基礎支援金の対象となり、公営住宅以外の賃貸に移る場合は加算支援金(全壊・大規模半壊で50万円)も受けられます。
Q. り災証明書は、どこで申請しますか?
A. 被災した住宅がある市区町村の窓口で申請します。被害の程度は調査で判定されるため、片付けや修理を始める前に、被害の様子を写真で残しておくと手続きがスムーズです。
公的支援制度は、内容が改正されたり、災害ごとに特例が設けられたりします。実際に被災したときは、お住まいの自治体や各制度の公式窓口で最新の内容を確認したうえで手続きを進めましょう。

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