財形住宅貯蓄とは何か?制度概要を解説
住宅の資金を確保するために、ご自身で貯蓄や運用を行っている方は多いかと思いますが、その住宅資金を確保する手段として「住宅財形貯蓄」があります。
財形住宅貯蓄は、勤務先の企業が従業員に代わって住宅資金を貯蓄してくれる制度で、福利厚生の1つです。今回は、財形住宅貯蓄の制度概要について解説します。
財形住宅貯蓄とは?
財形住宅貯蓄とは、「勤労者財産形成貯蓄制度」と言われ勤務先の会社を通じて住宅資金を貯蓄する制度です。会社が従業員に代わって住宅資金を貯蓄してくれるもので、月々の給与から一定額を差し引いて貯蓄してくれます。
財形貯蓄は、今回紹介している住宅以外にも、活用用途を問わない「一般財形貯蓄」や、老後資金を蓄えるための「財形年金貯蓄」があります。ただし、会社勤めしている方の全てが財形貯蓄を利用で切るわけではなく、制度を導入している企業でしか利用できず、制度が無い場合はご自身で貯蓄もしくは運用する必要があります。
財形住宅貯蓄は、単純に貯蓄するだけではなく、税優遇制度も用意されているメリットがあります。
財形住宅貯蓄の契約要件
財形住宅貯蓄を利用するには、一定の要件を満たしている必要があります。
1.1人1契約まで
財形住宅貯蓄は、1人1契約となっており、複数契約して財形住宅貯蓄を利用することは出来ません。
2.契約者年齡が55歳未満
財形住宅貯蓄を契約する方の年齡が55歳未満であることが条件となっています。
3.積立期間は5年以上
財形住宅貯蓄で毎月積み立てる期間は5年以上に定められています。
4.雇用形態は勤務先によって異なる
財形住宅貯蓄を利用できるのは、多くの企業では正社員を対象にしている場合が一般的ですが、企業によっては、契約社員やパートタイマーでも利用できる場合があります。
5.積み立て額は1,000円以上1,000円単位
財形住宅貯蓄を利用した毎月積み立てる金額は、勤務先の会社がどの金融機関と契約して制度を提供しているかによっても多少異なりますが、1,000円以上1,000円単位となっていることが一般的です。
財形住宅貯蓄で住宅を取得する要件
財形住宅貯蓄で貯めたお金を使って住宅を購入する際にも、あらかじめ要件がありますので注意が必要です。一般的には、住宅ローン控除が適用できる要件とほぼ同一と考えても良いでしょう。
1.ご自身と家族が居住する住宅であること
財形住宅貯蓄で取得する住宅の要件として、まずあげられるのがご自身とその家族が住む居住用の住宅である必要があります。親族の為に家を購入する、人に貸すための賃貸住宅は対象外です。
2.床面積の合計が50平方メートル以上であること
住宅ローン控除の適用要件でも同じですが、床面積の合計が50平方メートル以上であることが条件となっています。そのため、マンションなど集合住宅を購入する場合は、内法面積が50平方メートル以上であるかをしっかりと確認しておくことが重要です。
3.中古住宅は20年以内が基準
中古住宅を取得する場合は、耐火基準もしくは耐震基準を満たしていれば25年以上でも可能ですが、それ以外の場合は、20年以内となっています。
4.リフォームの場合は工事費用が75万円以上であること
リフォームを行う場合は、工事費用が75万円以上であることが条件となっています。
財形住宅貯蓄では税やローンの優遇が受けられる
財形住宅貯蓄を利用して、住宅資金を貯めた場合、税金に関する優遇措置や、ローンの借入金額に対する優遇措置が用意されています。
1.550万円までの利息が非課税
財形住宅貯蓄を利用した場合、預入している際に受け取れる利息に対して、元本が550万円までであれば非課税となります。通常、銀行預金に預けた場合、税金が差し引かれた額が利息として支払われますが、財形住宅貯蓄では、利息そのままの金額で受け取ることができます。
ただし、途中で財形住宅貯蓄を引出した場合は、非課税の適用が終了し、過去に支払われた利息を遡って5年分の課税がされますので注意が必要です。
2.財形住宅融資で財形住宅貯蓄の残高の10倍までの借入が可能
財形住宅貯蓄で住宅資金を貯めた場合、財形住宅融資を活用してローンを契約した場合、財形住宅貯蓄の金額に対して10倍(最高4,000万円)までの資金が借入でき、住宅価額の90%以内の金額まで融資ができます。
財形住宅融資とは、住宅金融支援機構が用意した住宅購入者向けに提供していている住宅ローンサービスで、財形貯蓄を利用している方向けの公的な住宅ローンです。
ただし、この借入要件が適用できるのは、財形貯蓄(一般、年金含む)を1年以上継続して行っていることと、残高が50万円以上であることが要件となっています。また、財形住宅融資は5年間の固定金利を採用しており、5年毎に金利が見直されます。
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