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財形住宅貯蓄とは?要件・非課税枠・財形住宅融資をやさしく解説

住宅の資金を確保するために、ご自身で貯蓄や運用を行っている方は多いかと思いますが、その住宅資金を用意する手段のひとつに「財形住宅貯蓄」があります。 財形住宅貯蓄は、勤務先を通じて給与から天引きで住宅資金を積み立てていく制度で、会社の福利厚生のひとつです。「名前は聞いたことがあるけれど、実際どんな制度なの?」という方に向けて、制度のしくみ・契約の条件・住宅を買うときの要件・税やローンの優遇を、はじめての方にもわかるように整理しました。

財形住宅貯蓄とは?

財形住宅貯蓄とは、「勤労者財産形成促進法(財形法)」にもとづく制度で、勤務先を通じて住宅資金を積み立てるしくみです。毎月の給与から一定額が天引きされ、会社が金融機関へ送金して積み立ててくれるので、「気づいたら使ってしまう」ということが起こりにくいのが最大の魅力です。 財形貯蓄には、今回紹介する住宅用のほかに、使いみちを問わない「一般財形貯蓄」と、老後資金を準備する「財形年金貯蓄」があります。3つの違いを整理すると次のとおりです。
種類目的利子等の非課税措置
一般財形貯蓄使いみち自由なし
財形住宅貯蓄持ち家の取得・リフォームあり(財形年金と合わせて元利合計550万円まで)
財形年金貯蓄60歳以降に受け取る老後資金あり(財形住宅と合わせて元利合計550万円まで/保険型は払込ベース385万円)
(出典:厚生労働省「財形貯蓄制度」/2026年7月28日確認) なお、会社勤めをしていれば誰でも使えるわけではありません財形貯蓄制度を導入している企業でしか利用できず、制度がない場合はご自身で貯蓄や運用をする必要があります。まずは「自分の勤務先に財形制度があるか」を確認するのが最初の一歩です。

財形住宅貯蓄の契約要件

財形住宅貯蓄の契約要件を確認するイメージ 財形住宅貯蓄を利用するには、一定の要件を満たしている必要があります。
1.1人1契約まで
財形住宅貯蓄は1人1契約です。複数の契約を結んで枠を増やすことはできません。
2.契約時の年齢が55歳未満
契約を結ぶ時点の年齢が55歳未満であることが条件です。「いつか使うかも」と思っている方は、55歳の誕生日を迎える前に契約しておくのがポイントになります。
3.積立期間は5年以上
5年以上の期間にわたって、定期的に給与天引きで積み立てることが要件です。ただし、後述する住宅の取得やリフォームのために払い出す場合は、5年経過前でも非課税で払い出せます。
4.雇用形態は勤務先によって異なる
多くの企業では正社員を対象にしていますが、企業によっては契約社員やパートタイマーでも利用できる場合があります。「自分は対象か」は勤務先の担当部署に確認しましょう。
5.積立額は1,000円以上1,000円単位が一般的
毎月積み立てる金額は、勤務先がどの金融機関と契約しているかによって多少異なりますが、1,000円以上1,000円単位となっていることが一般的です。無理のない額から始められます。

財形住宅貯蓄で住宅を取得する要件

財形住宅貯蓄を使って住宅を取得するイメージ 財形住宅貯蓄で貯めたお金を非課税のまま引き出す(=適格払い出し)には、対象となる住宅や工事に要件があります。ここは制度改正で条件が変わってきた部分なので、古い情報のままだと勘違いしやすい要注意ポイントです。以下は勤労者財産形成事業本部(独立行政法人勤労者退職金共済機構)の公表内容にもとづく、2026年7月28日時点の現行要件です。
1.本人が所有し、本人が居住する住宅であること
適格払い出しの対象となる住宅には、従業員本人の所有名義部分があることが必要です。そのうえで、本人が居住することが求められます(転勤その他やむを得ない事情がある場合を除きます)。人に貸すための賃貸住宅や、親族のためだけに買う住宅は対象外です。
2.床面積は40㎡以上
新築の建設・購入、中古住宅の購入とも、床面積40㎡以上が要件です(マンションなど共同住宅の場合は、区分所有する部分の面積)。以前よく紹介されていた「50㎡以上」という基準ではありませんので、コンパクトなマンションを検討している方は覚えておいてください。
3.中古住宅は「昭和57年1月1日以後に建築」または耐震基準クリア
中古の一戸建て・マンションを買う場合は、昭和57年(1982年)1月1日以後に建築されたものであることが要件です。それより古い住宅でも、一定の耐震基準を満たしていれば築後年数の要件はありません(建築士等が発行する「耐震基準適合証明書」等で証明します)。「築20年以内」「耐火構造は25年以内」といった年数基準ではない点にご注意ください。
4.リフォームは工事費用が75万円を超えること
リフォームで使う場合は、工事費用が75万円を超えることリフォーム後の住宅の床面積が40㎡以上であること、本人が居住することが要件です。居住用以外の部分もあわせてリフォームする場合は、居住用部分の工事費用が全体の2分の1以上である必要があります。対象工事かどうかは建築士が発行する「増改築等工事証明書」で証明します(工事費用が75万円超100万円以下の場合は、施工業者による「増改築等工事完了届」に代えることもできます)。
5.土地の購入費用は対象外
見落とされがちですが、土地の購入費用や借地権の取得費用は、非課税での払い出しの対象になりません。対象になるのは住宅本体の建設・購入費用、マンションの共用部分の持ち分、住宅と一体で取得した電気・給排水・衛生・ガス設備、住宅取得後~入居前の修繕費用、住宅取得に必要な不動産取得税・登録免許税などです。「土地から買う」計画の方は、土地代は別の資金で用意すると考えておきましょう。

財形住宅貯蓄では税やローンの優遇が受けられる

財形住宅貯蓄で住宅資金を貯めた場合、税金に関する優遇措置と、住宅ローンに関する優遇措置が用意されています。
1.550万円までの利子等が非課税
通常、預貯金の利息には20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)の税金がかかりますが、財形住宅貯蓄なら元利合計550万円まで、利子等が非課税になります。財形年金貯蓄も利用している場合は、両方あわせて550万円までです(財形年金貯蓄のうち生命保険・損害保険の保険料、生命共済の共済掛金などに係るものは払込ベースで385万円まで)。 ただし、住宅の取得・リフォーム以外の目的で払い出した場合は、要件外払い出しによる解約となり、利子等が課税されるうえ、5年間さかのぼって、その間に非課税で支払われた利子等が課税扱いになります。「急な出費で取り崩す」ということがないよう、生活防衛資金とは別に積み立てるのが上手な使い方です。
2.財形住宅融資は貯蓄残高の10倍まで(最高4,000万円)
財形貯蓄をしている方は、財形住宅融資という公的な住宅ローンを利用できます。住宅金融支援機構によると、融資額は一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の合計残高の10倍までの額で、最高4,000万円(住宅取得価額の90%が限度)です。
財形貯蓄残高の10倍・最高4,000万円という財形住宅融資の融資限度額を残高別に示した棒グラフ
「財形貯蓄の合計残高の10倍・最高4,000万円」という公式ルールを残高別に当てはめた目安です。実際は住宅取得価額の90%が上限となり、総返済負担率などの審査もあります。
利用するには、次の条件を満たす必要があります(2026年7月28日確認)。
  • いずれかの財形貯蓄を1年以上継続している
  • 申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れを行っている
  • 申込日における財形貯蓄残高が50万円以上ある
  • 勤務先から住宅について援助(負担軽減措置)を受けられる(「負担軽減措置等の証明書」を提出)
  • 勤労者退職金共済機構の財形転貸融資や共済組合等の財形住宅融資を受けられない
  • 総返済負担率が基準内(年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下)
金利は返済開始から終了まで、5年ごとに適用金利を見直す「5年固定金利制」です。全期間固定ではないため、5年ごとに金利が上がれば返済額も増える点は必ず理解しておきましょう。保証人は不要で、返済期間は最長35年(中古住宅の一部タイプは25年)です。最新の適用金利は住宅金融支援機構の公式サイト(財形住宅融資金利のお知らせ)でご確認ください。

使う前に知っておきたい注意点

メリットの大きい制度ですが、「思っていたのと違った」となりやすいポイントもあります。先に押さえておきましょう。
注意点内容対策
勤務先に制度がないと使えない財形貯蓄は会社が導入していることが前提まず勤務先の担当部署に確認する
目的外の払い出しは課税される解約+5年さかのぼって課税生活防衛資金は別口座で確保しておく
土地代は非課税払い出しの対象外土地購入費・借地権取得費は対象外土地代は自己資金や住宅ローンで手当てする
財形住宅融資は5年固定金利制全期間固定ではなく5年ごとに見直し金利上昇時の返済額増加を試算しておく
財形住宅融資には勤務先の援助が必要「負担軽減措置等の証明書」が要る申し込み前に勤務先へ相談する
低金利下では非課税メリットが小さい利息そのものが小さいと恩恵も限定的「確実に貯まる」しくみ自体を評価する
とはいえ、給与天引きで自動的に頭金が積み上がるという効果は、住宅ローンの審査でも家計の安心感でも大きな武器になります。「非課税だから得」というより「確実に貯まるから得」と捉えると、制度の価値が分かりやすいはずです。

よくある質問

Q. 転職したら財形住宅貯蓄はどうなりますか? A. 転職先にも財形制度があれば、原則として一定期間内に手続きすることで積み立てを続けられます。転職先に制度がない場合は積立を続けられず、要件を満たさない払い出しになると課税されることがあります。転職が決まったら早めに勤務先と取扱金融機関に相談してください。 Q. 55歳を過ぎたら解約しないといけませんか? A. 55歳未満という条件は契約を結ぶときの年齢の要件です。契約後に55歳を超えても、契約自体は継続できます。 Q. 550万円を超えたらどうなりますか? A. 非課税限度額を超えた後に生じる利子等は課税扱いになりますが、契約自体は続きます。課税されながら残高を増やしていくことも可能です。頭金を厚くしたい方にとっては、それも選択肢になります。 Q. 財形住宅貯蓄を使わずに住宅ローンだけで買うのはダメですか? A. まったく問題ありません。財形住宅貯蓄はあくまで頭金づくりの手段のひとつです。ただし頭金を用意できると借入額を抑えられ、返済がラクになります。 Q. 財形住宅融資と民間の住宅ローンは併用できますか? A. 併用できます。財形住宅融資は融資額の上限(貯蓄残高の10倍・最高4,000万円・住宅取得価額の90%以内)があるため、不足分を民間の住宅ローンや【フラット35】で補うのは一般的な方法です。
財形住宅貯蓄は、給与天引きで確実に頭金を積み上げられて、利子等が550万円まで非課税になり、さらに財形住宅融資という公的ローンの道も開ける——という、住宅取得を目指す方にとって心強い制度です。一方で、勤務先に制度があることが前提で、床面積40㎡以上・中古は昭和57年1月1日以後の建築(または耐震基準クリア)・土地代は対象外といった要件もあります。使うつもりなら、早めに条件を確認しておきましょう。 そして、実際に家を買う段階になったら、財形住宅融資だけで完結しないケースが多いのも事実です。上限や5年固定という性格を踏まえ、民間の住宅ローンと組み合わせて総額・総返済額で比べるのが現実的な進め方になります。民間で比較するときは、金利だけでなく諸費用の分かりやすさも見ておきたいところ。たとえばSBI新生銀行は、保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)・一般団信の上乗せ0円と費用がシンプルで、融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型。店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、はじめての方が相談しながら進めたい場合にも検討しやすい選択肢です。 制度の要件・金利・税制は改正されることがあります。最新の取り扱い状況は、勤務先の担当部署および住宅金融支援機構・取扱金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

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