- 公開日: 2026.10.31
- 住宅購入の基礎知識
不動産登記とは?表題部と権利部の違い・費用・義務化をやさしく解説

家や土地を買ったとき、その不動産がどんなもので誰のものかを法務局の記録に載せる手続きが不動産登記です。住宅ローンを借りる人にとっても、所有権と抵当権の登記は避けて通れません。
登記の記録は表題部と権利部に分かれていて、手数料を払えば誰でも中身を取り寄せられます。2024年4月からは相続登記、2026年4月からは住所・氏名の変更登記も義務になりました。
登記をしておくと、ほかの人に対して「この不動産は自分のものです」と主張できます。これを対抗力といいます。二重に売買されたような場面では、先に登記した人が所有権を主張できます。
ただし、登記の内容が正しいことまでは国が保証していません。事実と違う登記を信じて取引し、損をしても、法律上は守られないことがあります。登記には公信力がないといわれるのはこのためです。
ここは初めての方がいちばん混乱しやすいところです。だから不動産の売買では、登記簿だけでなく、売主本人の確認や現地の状況も合わせて調べてから契約します。
登記の記録は、持ち主や関係者でなくても、手数料を払えば誰でも請求できます。交付されるのは、昔の登記簿謄本にあたる登記事項証明書です。
コンピュータ化された不動産なら、管轄外の登記所でも請求できます。コンピュータ化されていない一部の不動産だけは、管轄の法務局でしか取れません。

オンラインで請求したほうが窓口より手数料が安く済みます。
手数料は2025年4月1日に改定された金額で、1通が50枚を超えると50枚ごとに100円が加わります(法務省「登記手数料について」)。
住宅用家屋の軽減は、2027年3月31日までに登記する分が対象です(国土交通省「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置」)。床面積などの要件があり、登記のときに市区町村の住宅用家屋証明書が必要です。
たとえば3,000万円を借りて抵当権を設定すると、登録免許税は本則なら12万円、軽減が使えれば3万円です。登録免許税は税金なので、税込・税別の区別はありません。
このほか、登記を頼む司法書士への報酬もかかります。融資の実行日に所有権移転と抵当権設定を同時に済ませる必要があるため、金融機関が司法書士を指定することがほとんどです。
ローンを返し終えても、抵当権の登記は自動では消えません。完済後に金融機関から届く書類を使って、抵当権抹消登記を自分で(または司法書士に頼んで)申請します。放っておくと、売却や借り換えのときに手続きが増えます。
家や土地を担保にお金を借りるローンの種類は、住宅ローンと不動産担保ローンの違いを比べた記事で説明しています。
どちらも義務化より前の出来事にもさかのぼって適用されます。2024年3月31日以前の相続は2027年3月31日まで、2026年3月31日以前の住所・氏名の変更は2028年3月31日までに登記が必要です。
住所変更のほうは、法務局に検索用情報(氏名や生年月日など)を申し出ておくと、住所が変わったときに法務局が変更登記をしてくれる仕組みもあります。手続きは無料です(法務省「住所等変更登記の義務化について」)。
相続の場面でつまずきやすいのは、亡くなった人がどこに不動産を持っていたか分からないことです。2026年2月2日から始まった所有不動産記録証明制度を使うと、その人名義の全国の不動産を一覧にした証明書を請求できます。
手数料は検索条件1件・1通あたり、書面請求で1,600円、オンライン請求なら郵送受け取り1,500円・窓口受け取り1,470円です。
登記簿上の氏名や住所と一致しない不動産は一覧に出ません。引っ越しが多かった人なら、旧住所も検索条件に加えるかどうかを考えてください。
不動産登記は不動産の中身と持ち主を記録する手続き
不動産登記とは、土地や建物の所在や広さ、持ち主、付いている権利を登記簿に記録し、世の中に示しておく手続きです。窓口は各地の法務局(登記所)です。 対象は住まいの土地や建物に限りません。事業用の建物や田畑も含まれ、同じ敷地にあっても土地と建物はそれぞれ別に登記します。 たとえるなら、登記簿は不動産の戸籍のようなものです。生まれた(新築した)とき、持ち主が変わったとき、お金を借りて担保にしたときに、その出来事が順に書き足されていきます。表題部は不動産の中身、権利部は持ち主と権利の記録
登記簿は大きく表題部と権利部の2つに分かれています。表題部は建物や土地そのもの、権利部はその持ち主と権利について書く場所です。表題部
表題部には、その不動産がどんなものかが記録されます。土地なら所在地・地目(宅地や田などの種類)・地積(面積)、建物なら家屋番号・種類・構造・床面積です。 表題部の登記には申請の義務があります。建物を新築したら、所有権を取得した日から1か月以内に建物表題登記を申請しなければなりません(不動産登記法第47条第1項)。怠ると10万円以下の過料の対象です(同法第164条)。 建物を取り壊したときの建物滅失登記も、同じく1か月以内です。すでに登記されている土地や中古住宅を買うだけなら、表題登記をやり直す必要はありません。権利部
権利部には、その不動産の権利関係が記録されます。長く「原則として任意」と説明されてきましたが、相続登記と住所・氏名の変更登記はいまは義務です(後の章で説明します)。 権利部はさらに甲区と乙区に分かれます。甲区は所有権の記録で、新築の建物に初めて持ち主を記録する所有権保存登記や、売買・相続で持ち主が変わる所有権移転登記がここに入ります。 乙区は所有権以外の権利の記録です。住宅ローンを借りて家を買うと、お金を貸した金融機関の抵当権がここに登記されます。土地を貸したときの賃借権なども乙区に載ります。登記には対抗力があり、公信力はない
登記をしておくと、ほかの人に対して「この不動産は自分のものです」と主張できます。これを対抗力といいます。二重に売買されたような場面では、先に登記した人が所有権を主張できます。
ただし、登記の内容が正しいことまでは国が保証していません。事実と違う登記を信じて取引し、損をしても、法律上は守られないことがあります。登記には公信力がないといわれるのはこのためです。
ここは初めての方がいちばん混乱しやすいところです。だから不動産の売買では、登記簿だけでなく、売主本人の確認や現地の状況も合わせて調べてから契約します。
登記の中身は誰でも取り寄せられる
登記の記録は、持ち主や関係者でなくても、手数料を払えば誰でも請求できます。交付されるのは、昔の登記簿謄本にあたる登記事項証明書です。
コンピュータ化された不動産なら、管轄外の登記所でも請求できます。コンピュータ化されていない一部の不動産だけは、管轄の法務局でしか取れません。
登記事項証明書の手数料(1通あたり)
| 請求のしかた | 受け取り方 | 手数料 |
|---|---|---|
| 登記所・法務局証明サービスセンターの窓口(書面請求) | その場で受け取り | 600円 |
| オンライン請求 | 郵送で受け取り | 520円 |
| オンライン請求 | 登記所などの窓口で受け取り | 490円 |

オンラインで請求するときの流れ
オンライン請求は、法務省の登記・供託オンライン申請システムから行います。2026年8月3日から利用時間が広がり、平日は8時30分〜23時、土日祝日も8時30分〜18時に使えるようになりました。- 申請者情報を登録し、Webブラウザから請求する不動産の所在・地番や家屋番号を入力する
- 受け取り方(郵送か、最寄りの登記所などの窓口か)を選んで送信する
- 手数料をネットバンキングなどで電子納付する
- 郵送なら数日後に届き、窓口受け取りなら指定した登記所で受け取る
住宅ローンを借りるときに必要な登記と費用
住宅ローンを借りると、登記は自分ごとになります。金融機関はお金を貸す代わりに家と土地に抵当権を設定し、それが権利部の乙区に記録されるからです。 家を買うときに関わる主な登記は次の4つです。それぞれの手続きの流れは住宅購入で必要な4つの登記と登記費用の解説でも紹介しています。| 登記の種類 | どんなときに必要か | 登録免許税の考え方 |
|---|---|---|
| 建物表題登記 | 建物を新築したとき(1か月以内・義務) | 登録免許税はかかりません(土地家屋調査士への報酬が必要) |
| 所有権保存登記 | 新築の建物にはじめて所有者を記録するとき | 本則0.4%。要件を満たす住宅用家屋は0.15%に軽減 |
| 所有権移転登記 | 売買や相続で持ち主が変わるとき | 建物の売買は本則2.0%、要件を満たす住宅用家屋は0.3%に軽減。土地や相続は税率が別 |
| 抵当権設定登記 | 住宅ローンを借りるとき | 本則は債権金額(借入額)の0.4%。要件を満たす住宅用家屋の取得資金なら0.1%に軽減 |
相続登記と住所変更登記は義務になった
所有者が分からない土地が全国で増えたことから法律が改正され、いまは次の2つの登記が義務になっています。| 義務化された登記 | いつから・いつまでに | 怠った場合 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 2024年4月1日から。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内 | 正当な理由がないと10万円以下の過料の対象 |
| 住所・氏名の変更登記 | 2026年4月1日から。変更があった日から2年以内 | 正当な理由がないと5万円以下の過料の対象 |
まとめ
不動産登記は、表題部でどんな不動産かを、権利部で誰のものでどんな権利が付いているかを示す仕組みです。登記があれば権利を主張できますが、内容の正しさまでは保証されません。 住宅ローンを組むときは、抵当権設定の登録免許税と司法書士の報酬も諸費用に入ります。金利だけでなく、事務手数料や保証料、登記費用まで足した総額でローンを比べてください。 ご実家の名義が亡くなった家族のままになっていないか、引っ越した後に住所の変更登記をしているかも、この機会に確かめておきましょう。 登記の手数料や登録免許税の税率・軽減の要件は改正されることがあるので、手続きの前に法務局や国税庁のページで最新の内容を確かめてください。
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