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住宅売却で必要な書類は?場面別の一覧と準備のコツをやさしく解説

住宅を売るときの書類は、不動産会社に依頼するとき、売買契約を結ぶとき、物件を引き渡すときの3つの場面で必要なものが変わります。なかでも登記識別情報(権利証)、ローンの残高、登記上の住所の3つは、早めに確認しておかないと決済日に間に合わないことがあります。

売却全体の進め方は、住宅売却の流れを紹介した記事で説明しています。ここでは、その流れに沿って、場面ごとに用意する書類と入手先を紹介します。

売却を依頼するときは、登記事項証明書と固定資産税の通知書を用意する

いくつかの不動産会社を比べて任せたい会社が決まったら、媒介契約を結んで売却活動が始まります。この段階では、登記事項証明書(登記簿謄本)と固定資産税納税通知書の2つを用意します。物件の権利関係と、税額のもとになる評価額を確認するために使います。

登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書とは、不動産の権利や現状が記録された書類のことです。登記情報がコンピュータ化されてからの正式な名前で、今でも慣習的に登記簿謄本と呼ばれています。

不動産を取得したときは、その事実を法務局に登記します。登記のしくみは住宅購入で必要な登記をやさしく解説した記事で紹介しています。登記事項証明書の表題部には所在や面積などの概要が、権利部には所有権や抵当権などが記載されています。

取得は、管轄の法務局の窓口で請求するほか、インターネットで請求して郵送か窓口で受け取ることもできます。法務局の案内による手数料は、1通あたり次のとおりです(2026年10月時点)。

請求方法 手数料 備考
法務局の窓口で請求(書面請求) 600円 その場で受け取れる
オンライン請求・郵送で受取 520円 自宅に届く
オンライン請求・窓口で受取 490円 3つのうち最も安い。受け取りに出向く必要がある

登記事項証明書は、所有者本人でなくても取得できます。ただし請求に使う地番・家屋番号は、ふだんの住所(住居表示)と違うことがあるので、固定資産税納税通知書などで先に調べておくと、請求がスムーズです。

固定資産税納税通知書

固定資産税納税通知書は、その年の固定資産税額と、もとになる固定資産税評価額が書かれた書類です。売却後の移転登記で納める登録免許税を計算するときなどに使います。

この通知書は、毎年春ごろに物件のある市区町村から所有者あてに届きます。通知書そのものは再発行されないため、見当たらない場合は市区町村の窓口で固定資産評価証明書を取れば評価額を証明できます。手数料は自治体によって違い、1件数百円程度です。

また、その家を購入したときの売買契約書と重要事項説明書もそろえておくと、査定や買主への説明が進めやすくなります。

売買契約のときは、実印と本人確認の書類、権利証が必要になる

買主が見つかり売買契約を結ぶ段階では、本人確認書類、印鑑証明書、住民票、ローン残高証明書、登記識別情報通知(または登記済権利証)が必要です。契約には実印を使うので、当日は忘れずに持っていきます。

本人確認書類

運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、本人であることを証明できる書類です。ふだん使っているもので構いません。

印鑑証明書

実印が正式に登録されていることを証明する書類です。市区町村の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。売買や登記に使う場合は、発行から3か月以内のものを求められることが多いです。

住民票

登記上の住所と今の住所が違う場合などに必要になります。市区町村の窓口やコンビニ交付で取得でき、こちらも発行から3か月以内が目安です。

ローン残高証明書

住宅ローンを返済中なら、残りがいくらあるかを示す書類です。毎年10〜11月ごろに借入先の金融機関から届き、住宅ローン控除の手続きにも使います。ネットバンキングで残高を見たり、証明書をダウンロードしたりできる金融機関もあります。

売却の相談を始めたら、まず今いくら残っているかを調べます。売却代金でローンを返し切れるなら、引渡しの日に完済して抵当権を外します。

売却価格がローンの残高を下回る場合は、手続きが大きく変わります。足りない分を自己資金で埋めるか、借入先の金融機関と相談しながら進めることになるので、査定額が出た段階で残高と比べておきます。

登記識別情報通知(かつての「登記済権利証」)

その家の所有者であることを示す書類で、いわば家の権利のカギにあたります。

2005年(平成17年)の不動産登記法の改正で、冊子の形の登記済権利証は発行されなくなりました。今は不動産を取得すると、法務局から登記識別情報通知という書面が届きます。12桁の英数字(符号)が目隠しシールなどで隠されていて、この符号が権利証の代わりです。

そのため、2005年より前に取得した物件なら登記済権利証、それ以降なら登記識別情報通知を用意します。切り替わった時期は法務局によって違うので、手元の書類を見れば分かります。

登記識別情報も権利証も、なくしても再発行されません。手元にないときは、次のどれかの方法で手続きを進めます。

  • 事前通知制度…法務局から本人あてに通知を送り、返送してもらって本人確認する方法です。費用はかかりませんが、日数がかかるため、決済日が決まっている売買では使いにくい方法です。
  • 司法書士による本人確認情報の作成…実際によく使われる方法です。別途、数万円から十数万円程度の費用がかかります。
  • 公証人による認証…あまり使われません。

売ると決めてから探して見つからないと、費用も時間も余計にかかります。売却を考え始めた時点で、手元にあるかを確認しておくと安心です。

引渡しのときは、口座の情報と抵当権を外す書類、建築関係の書類をそろえる

売買契約のあと、実際に物件を引き渡す(決済する)日には、売却代金を受け取る口座の情報、抵当権を外す手続きの書類、買主に引き継ぐ建築関係の書類が必要です。

銀行口座情報

売却代金を受け取る口座の情報です。通帳やキャッシュカードがあれば足ります。決済は、平日の午前中に金融機関で行うことがよくあります。

抵当権抹消登記に必要な書類

抵当権とは、ローンを返せなくなったときに金融機関が家を処分できる権利のことです。ローンが残っている場合は、買主から受け取った代金で完済し、その場で抵当権を外します。

完済すると、金融機関から抹消登記に必要な書類(登記識別情報、弁済証書、委任状など)が渡され、これを法務局に出して抹消登記を申請します。手続きの流れは抵当権抹消の手続きを解説した記事で詳しく紹介しています。

実際には、決済の日に司法書士が立ち会い、ローンの完済、抵当権の抹消、所有権の移転を同じ日に済ませるのが一般的です。金融機関には事前に完済の予定を伝える必要があるので、日程が決まったら早めに担当者へ連絡してください。

建築関係の書類

建築設計図、建築確認済証、検査済証、物件のパンフレット、住宅設備の取扱説明書や保証書などは、次の持ち主に引き継ぐために引渡しまでに用意します。そろっている物件は、買主にとっても住み始めてからの手入れの計画を立てやすくなります。

場面別・必要書類の早見表

場面ごとの必要書類は次のとおりです。準備のチェックリストにも使えます。登記事項証明書や評価証明書は、不動産会社や司法書士が代わりに取ってくれることも多いので、自分にしか用意できない書類から手を付けると、準備が早く進みます。

場面 必要な書類 入手先・注意点
不動産会社へ依頼(媒介契約) 登記事項証明書、固定資産税納税通知書、購入時の売買契約書・重要事項説明書 登記事項証明書は法務局(窓口600円/オンライン520円・490円)
売買契約の締結 本人確認書類、印鑑証明書、住民票、実印、ローン残高証明書、登記識別情報通知(または権利証) 印鑑証明書・住民票は発行後3か月以内が目安。権利証・識別情報は再発行されない
引渡し・決済 銀行口座情報、抵当権抹消に必要な書類、建築関係書類(確認済証・検査済証・設備の説明書等) 抵当権抹消の書類は完済後に金融機関から渡される。司法書士が同じ日に手続き
売却の翌年 売買契約書の写し、諸費用の領収書、譲渡所得の内訳書 など 確定申告で使う(下記参照)

相続・住所変更・共有名義などで追加になる書類

一般的な売却に加えて、次のような場合は追加の準備が必要です。

相続した家を売る場合

亡くなった方の名義のままでは売却できません。まず相続登記(名義変更)が必要で、戸籍謄本一式、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などを求められます。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません(法務省)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。実家をいずれ売るつもりなら、早めに手を付けておくと売却のときに慌てません。

登記上の住所・氏名が今と違う場合

引っ越しや結婚で、登記されている住所や氏名が今と違う場合は、売却の前に住所変更登記・氏名変更登記が必要です。

この住所等の変更登記も、2026年4月1日から義務になりました(法務省)。変更した日から2年以内に申請する必要があり、2026年4月より前の変更でまだ登記していない場合は、2028年3月31日までが期限です。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象になります。

共有名義の家を売る場合

夫婦などの共有名義の家を売るには、共有者全員の同意が必要です。印鑑証明書、本人確認書類、実印も全員分をそろえます。遠方に住む共有者がいると書類のやり取りに日数がかかるので、日程には余裕を持たせてください。

マンションを売る場合

戸建ての書類に加えて、管理規約・使用細則、管理費・修繕積立金の金額がわかる書類、長期修繕計画などが必要です。管理会社に頼めば発行してもらえます。

売却後の確定申告

マイホームを売って利益(譲渡所得)が出た場合や、特例を使う場合は、売った翌年に確定申告をします。代表的なのが居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例で、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます(国税庁 No.3302)。

申告では、売買契約書の写しや、購入時の契約書と諸費用の領収書(取得費の証明)を使います。購入時の書類は捨てずに保管しておいてください。税金の考え方は住宅売却でかかる税金を解説した記事でも紹介しています。

まとめ

住宅売却の書類は数が多く見えますが、依頼するとき、契約するとき、引き渡すときの3つの場面に分けて考えれば、準備の順番が決まります。

なかでも、登記識別情報通知(権利証)が手元にあるか、ローンの残高はいくらか、登記上の住所・氏名は今と同じかの3つは早めに確かめておくと安心です。ここでつまずくと、費用も日数も余計にかかります。

手数料や登記の制度は改定されることがあるので、手続きの前に法務局や市区町村、国税庁のページで最新の内容を確かめてください。

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