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住宅売却で必要な書類は?場面別の一覧と準備のコツをやさしく解説

住宅の売却を考えたとき、まず不動産会社に相談することになりますよね。ただ、不動産の取引は金額が大きく、権利関係も複雑です。そのぶん、手続きの各段階でそろえておくべき書類がいくつもあります。

住宅を売却する流れは、住宅売却の流れをまとめた記事で解説したとおりです。必要書類は、その流れに沿って「不動産会社に売却を依頼するとき」「売買契約を締結するとき」「物件を引き渡すとき」の3つの場面に分けて考えると、ぐっと整理しやすくなります。

今回は、住宅売却時に必要となる書類を場面ごとにご紹介します。「早めに準備しておかないと決済日に間に合わない」書類もありますので、一緒に確認していきましょう。

住宅の売却を不動産会社に依頼する時に必要となる書類

いくつかの不動産会社を比較して、任せたい会社が決まったら、媒介契約を結んで売却活動がスタートします。この段階で用意しておきたいのが、「登記事項証明書(登記簿謄本)」「固定資産税納税通知書」の2つです。物件の権利関係と、税額のもとになる評価額を確認するために使われます。

登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書は、不動産の権利情報や現状が記録された書類です。かつては「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、登記情報がコンピュータ化された現在の正式名称は「登記事項証明書」です(今でも慣習的に登記簿謄本と呼ばれます)。

不動産を取得したときは、その事実を法務局に登記します。不動産登記については不動産登記のしくみを解説した記事で詳しく説明していますが、表題部には不動産の所在・面積などの概要が、権利部には所有権や抵当権などの権利状況が記載されています。

取得方法は、管轄の法務局の窓口で請求するほか、インターネット(オンライン)で請求して郵送や窓口で受け取ることもできます。手数料は次のとおりです(2025年4月1日改定・1通あたり)。

請求方法 手数料 備考
法務局の窓口で請求(書面請求) 600円 その場で受け取れる
オンライン請求・郵送で受取 520円 自宅に届く。もっとも手軽
オンライン請求・窓口で受取 490円 最安。受け取りに出向く必要あり

登記事項証明書は誰でも取得できます(所有者本人でなくても可)。売却する物件の「地番・家屋番号」は住居表示(住所)と異なる場合があるため、請求前に固定資産税納税通知書などで確認しておきましょう。

固定資産税納税通知書

固定資産税納税通知書は、その年の固定資産税額と、税額のもととなる固定資産税評価額が記載された書類です。売却後の移転登記で納める登録免許税を算出する際などに使われます。

この書類は毎年春(おおむね4〜6月)に、物件がある市区町村から所有者あてに郵送されてくるものです。役所の窓口で「納税通知書そのもの」を再発行してもらえるわけではない点に注意してください。手元に見当たらない場合は、市区町村役場で「固定資産評価証明書」(1件あたり300円程度)を取得すれば、評価額を証明できます。

また、その住宅を購入したときの売買契約書・重要事項説明書もあわせて準備できると、査定や買主への説明がスムーズになります。

買い手が見つかり売買契約を締結する時に必要な書類

買主が見つかり、売買契約を締結する段階で必要になるのは、本人確認書類印鑑証明書住民票ローン残高証明書登記識別情報通知(または登記済権利証)です。契約には実印を使いますので、忘れずに持参しましょう。

本人確認書類

運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど、ご自身を証明する書類です。普段お使いのもので構いません。

印鑑証明書

実印が正式に登録されていることを証明する書類です。お住まいの市区町村役場のほか、マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。売買・登記に使う場合は発行から3か月以内のものが求められるのが一般的です。

住民票

登記上の住所と現住所が異なる場合などに必要です。市区町村役場やコンビニ交付で取得できます。こちらも発行から3か月以内が目安です。

ローン残高証明書

住宅ローンを返済中の場合、残債がいくら残っているかを示す書類です。毎年10〜11月頃に、借入先の金融機関から郵送されてきます(住宅ローン控除の手続きで使うあの書類です)。最近はネットバンキングで残高を確認したり、証明書をダウンロードしたりできる金融機関も増えました。売却の相談を始めたら、まず「今いくら残っているか」を確認するところからスタートしてください。売却価格が残債を下回ると、手続きが大きく変わってきます。

登記識別情報通知(かつての「登記済権利証」)

その住宅の所有者であることを示す、いわば「家の権利のカギ」にあたる書類です。ここは間違えやすいポイントなので、ていねいに説明しますね。

平成17年(2005年)の不動産登記法改正により、従来の冊子形式の「登記済権利証(権利証)」は発行されなくなりました。現在、不動産を取得すると法務局から交付されるのは「登記識別情報通知」という書面で、12桁の英数字(符号)が目隠しシールなどで隠されています。この符号こそが権利証の代わりです。

したがって、2005年より前に取得した物件なら「登記済権利証」、それ以降に取得した物件なら「登記識別情報通知」を用意することになります(移行時期は法務局によって異なります)。

そして最も重要な注意点。登記識別情報は、紛失しても再発行されません。権利証も同じです。手元にない場合は、次のいずれかの方法で手続きを進めることになります。

  • 事前通知制度…法務局から本人あてに通知を送り、返送して本人確認する方法(費用はかかりませんが、日数がかかるため決済日が決まっている売買では使いにくい)。
  • 資格者代理人(司法書士)による本人確認情報の作成…実務で最も多い方法。別途、数万円〜十数万円程度の費用がかかります。
  • 公証人による認証…あまり使われません。

「売ろうと決めてから探したら見つからなかった」では、余計な費用と時間がかかります。売却を考え始めた時点で、手元にあるかどうかを必ず確認しておきましょう。

物件を引き渡す時に必要となる書類

売買契約が締結され、実際に物件を引き渡す(決済する)ときには、売却代金を受け取るための銀行口座情報抵当権抹消手続きに必要な書類、そして買主に引き継ぐ建築関係の書類が必要になります。

銀行口座情報

売却代金を受け取る口座の情報が必要です。銀行通帳やキャッシュカードで問題ありません。決済は平日の午前中に金融機関で行うのが一般的です。

抵当権抹消登記に必要な書類

住宅ローンが残っている場合、買主から受け取った売却代金でローンを完済し、その場で抵当権を抹消するのが通常の流れです。抵当権抹消手続きについては抵当権抹消の手続きを解説した記事で詳しく説明していますが、完済すると金融機関から抹消登記に必要な書類(登記識別情報・弁済証書・委任状など)が交付され、これを法務局に提出して抵当権抹消登記を申請します。

実務では、決済当日に司法書士が立ち会い、「ローン完済 → 抵当権抹消 → 所有権移転」を同じ日に処理するのが一般的です。事前に金融機関へ「完済(繰上返済)の予定」を伝えておく必要があるので、早めに担当者へ連絡しておきましょう。

建築関係の書類

建築設計図・建築確認済証・検査済証、物件のパンフレット、住宅設備の取扱説明書や保証書などは、次の買主に引き継ぐために引渡しまでに用意します。これらがそろっている物件は、買主の安心感につながり、印象もよくなります。

場面別・必要書類の早見表

ここまでの内容を、場面ごとに整理しておきます。準備のチェックリストとしてお使いください。

場面 必要な書類 入手先・注意点
不動産会社へ依頼(媒介契約) 登記事項証明書、固定資産税納税通知書、購入時の売買契約書・重要事項説明書 登記事項証明書は法務局(窓口600円/オンライン520円)
売買契約の締結 本人確認書類、印鑑証明書、住民票、実印、ローン残高証明書、登記識別情報通知(または権利証) 印鑑証明書・住民票は発行後3か月以内が目安。権利証・識別情報は再発行不可
引渡し・決済 銀行口座情報、抵当権抹消に必要な書類、建築関係書類(確認済証・検査済証・設備の説明書等) 抵当権抹消の書類は完済後に金融機関から交付。司法書士が同日処理
売却の翌年 売買契約書の写し、諸費用の領収書、譲渡所得の内訳書 など 確定申告で使用(下記参照)

ケース別に追加で必要になる書類

一般的な売却に加えて、次のようなケースでは追加の準備が必要です。

相続した家を売る場合

亡くなった方の名義のままでは売却できません。まず相続登記(名義変更)を行う必要があり、戸籍謄本一式・遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明書などが求められます。

なお、2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならなくなりました(正当な理由なく怠ると過料の対象)。「実家をいずれ売るつもり」という方は、早めに手を付けておきましょう。

登記上の住所・氏名が今と違う場合

引越しや結婚などで、登記されている住所・氏名が現在のものと異なる場合、売却の前提として住所変更登記・氏名変更登記が必要になります。

マンションを売る場合

戸建てに加えて、管理規約・使用細則、管理費・修繕積立金の額がわかる書類、長期修繕計画などが必要です。管理会社に依頼すれば発行してもらえます。

売却後の確定申告

マイホームを売って利益(譲渡所得)が出た場合、また特例を使う場合は、売却した翌年に確定申告が必要です。代表的なのが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」で、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。売買契約書の写しや、購入時の契約書・諸費用の領収書(取得費の証明)が必要になるため、捨てずに保管しておいてください。適用要件は国税庁のサイトで必ずご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 権利証(登記識別情報)が見つかりません。売却できませんか?

売却はできます。ただし再発行はされないため、司法書士に「本人確認情報」を作成してもらうなどの代替手続きが必要で、別途費用がかかります。見つからないと分かった時点で、早めに不動産会社・司法書士に相談してください。

Q. 書類は自分で全部そろえないといけませんか?

いいえ。登記事項証明書や評価証明書は、不動産会社や司法書士が代わりに取得してくれることが多いです。売主本人しか用意できないのは、印鑑証明書・住民票・実印・本人確認書類・権利証(登記識別情報)などです。まずは「自分にしか用意できないもの」から着手しましょう。

Q. 共有名義の家を売るときはどうなりますか?

共有者全員の同意が必要で、印鑑証明書・本人確認書類・実印も全員分そろえます。遠方に住む共有者がいる場合は、書類の郵送などで時間がかかるため、スケジュールに余裕を持たせてください。

Q. 住宅ローンが残っていても売れますか?

売れます。通常は売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消して引き渡します。問題になるのは、売却価格がローン残債を下回る(オーバーローン)ケースです。この場合は自己資金で差額を埋めるか、金融機関と相談することになります。まずは残高証明書で残債を確認するところから始めましょう。

Q. 売却して住み替えます。新しい住宅ローンはどう選べばよいですか?

住み替えでは、売却と購入のタイミング調整がカギになります。新たに借りる住宅ローンは、金利だけでなく事務手数料・保証料・団信の内容まで含めて総額で比べてください。たとえばSBI新生銀行は、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の上乗せ0円と費用の内訳が分かりやすく、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、住み替えで慌ただしい時期でも検討しやすい選択肢のひとつです(最新の金利・手数料は公式サイトでご確認ください)。

まとめ

住宅売却の書類は数が多く見えますが、「依頼するとき」「契約するとき」「引き渡すとき」の3場面に分けて考えれば、決して難しくありません。

なかでも早めに確認しておきたいのが、①登記識別情報通知(権利証)が手元にあるか ②住宅ローンの残債はいくらか ③登記上の住所・氏名は今と同じか——この3点です。ここでつまずくと、余計な費用と時間がかかります。

手数料や制度の内容は改定されることがあります。最新の情報は法務局・市区町村・国税庁の公式サイトでご確認ください。

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