- 公開日: 2026.07.20
- 住宅購入の基礎知識
住宅の購入前・購入後に自然災害へ備えて確認しておくべきこと

日本は昔から地震・台風・豪雨といった自然災害が多い国です。2018年の西日本豪雨や大阪・北海道での地震、2024年1月の能登半島地震など、大きな災害はくり返し発生しており、住まいと自然災害は切り離せない関係にあります。
自然災害への備えというと、水や食料の備蓄を思い浮かべる方が多いと思いますが、住宅を購入する方・すでに持っている方は、それに加えて住宅ローンや建物そのものに対する備えも必要になります。
今回は、住宅の購入前・購入後それぞれの段階で、自然災害に備えて確認しておくべきことを解説します。
自然災害で住宅が破損もしくは倒壊するリスクを考える
豪雨や台風、地震などの大規模な自然災害が発生した場合にまず考えておきたいのが、購入した住宅そのものが破損・倒壊するリスクです。
例えば、2018年7月の西日本豪雨では河川近くの住宅が浸水する被害に遭いました。同年の大阪・北海道の地震では家屋の倒壊のほか、北海道では前日の雨で地盤が緩んでいたことから、土砂崩れで建物が流される被害も発生しています。2024年1月の能登半島地震でも、多くの住宅が全壊・半壊の被害を受けました。
こうした被害は「どこに住むか」「どんな建物か」「どんな備えをしているか」で大きく変わります。住宅を購入する際は、建物そのものに被害が発生し得ることを前提に、物件や居住場所の選定、保険の選定、公的支援制度の確認をしておく必要があります。
居住地域もしくは予定地域の自然災害リスクをチェックする

https://maps.gsi.go.jp/
これから購入する方も、すでに住宅をお持ちの方も、まずはご自身が住んでいる地域・住む予定の地域に、どのような自然災害のリスクがあるのかを把握することから始めましょう。
地域の自然災害リスクを知る方法として、国土地理院が提供している地理院地図を活用すると、過去の土地の成り立ちから地盤の強弱などを確認できます。
また、国土交通省のハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)を使うと、洪水・土砂災害・津波などのリスクが高い場所が地図上に色分けして表示され、一目で確認できます。市区町村が配布しているハザードマップもあわせて確認しておくと安心です。
なお、2020年からは不動産取引の際に、水害ハザードマップ上の物件の所在地を重要事項説明で示すことが義務化されています。物件探しの段階で不動産会社からも説明を受けられますが、ご自身でも事前に調べておくことで、より納得感を持って物件を選べます。
詳しい内容はこちらの記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
火災保険の補償内容と地震保険の加入有無を確認する
住宅を購入する際、住宅ローンを組む場合はほとんどのケースで火災保険に加入します。火災保険は火災のほか台風の風災などに対応しますが、注意したいのが次の2点です。
まず、浸水などの水害への補償(水災補償)は、契約内容によって有無が分かれます。保険料を抑えるために水災補償を外すプランもあるため、ハザードマップで浸水リスクのある地域にお住まいの方は、ご自身の契約に水災補償が含まれているか必ず確認しましょう。
そして、火災保険だけでは、地震・噴火・津波による損害(地震による火災を含む)は補償されません。これらをカバーするには地震保険が必要です。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで加入します。すでに火災保険だけに加入している方も、途中から地震保険を追加できますので、加入状況の確認と見直しをおすすめします。
地震保険の契約金額(保険金額)は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定します(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)。実際に支払われる保険金は損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて決まります。契約金額が火災保険の半分までという仕組み上、地震保険は住宅ローンを完済したり建物を建て直したりするための保険ではなく、生活再建の費用を補うための保険と考えておく必要があります。また、建物と家財は別々に契約するため、家財が対象になっているかもあわせて確認しましょう。
地震保険についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
国や自治体の公的支援制度を確認する

大規模な自然災害が発生した場合に受けられる公的支援制度も、被害に遭う前に確認しておきましょう。代表的なものに「被災者生活再建支援制度」「災害援護資金」「災害復興住宅融資」があります(2026年7月時点)。
被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度は、災害による住宅の被害程度と再建方法に応じて給付金(返済不要)を支給する制度です。基礎支援金として、住宅が全壊した世帯などに100万円、大規模半壊の世帯に50万円が支給されます。これに加えて、加算支援金として、住宅を建設・購入する場合は200万円、補修する場合は100万円、賃貸住宅へ転居する場合は50万円が支給されます(最大で合計300万円。単身世帯は各4分の3の金額)。
2020年の法改正で対象が広がり、中規模半壊の世帯にも加算支援金(建設・購入100万円、補修50万円、賃借25万円)が支給されるようになりました。
災害援護資金
災害援護資金は、生活を再建するための貸付制度(給付ではなく借入れ)です。災害により世帯主が負傷して療養におおむね1か月以上を要する場合や、住居・家財に一定以上の損害を受けた場合に、被害の状況に応じて150万円~350万円を上限に借りることができます。所得制限があり、例えば4人世帯では前年の総所得金額730万円以下が対象です(住居が滅失した場合は緩和されます)。
災害復興住宅融資
災害復興住宅融資は、災害で被害を受けた住宅を建て直したり補修したりする場合に、住宅金融支援機構が全期間固定金利(最長35年)で融資を行う制度です。利用には市区町村が発行する「り災証明書」が必要になりますので、被災した場合は必ずお住まいの市区町村役場でり災証明書を取得しましょう。
公的支援制度についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
住まいの災害への備えでよくある質問
Q1.被災して家がなくなっても、住宅ローンは払い続けるのですか?
原則として、建物が失われても住宅ローンの返済義務は残ります。だからこそ、地震保険や公的支援制度の確認が大切です。また、大規模災害で返済が困難になった場合には、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」により、一定の要件のもとで住宅ローンの減免等の相談ができる仕組みもあります。被災して返済が苦しくなったときは、1人で抱え込まず、まず借入先の金融機関に相談してください。
Q2.支援金だけで家を建て直せますか?
被災者生活再建支援制度の支援金は最大300万円で、建て直し費用のすべてをまかなえる金額ではありません。あくまで生活再建の足がかりであり、地震保険・貯蓄・災害復興住宅融資などと組み合わせて備えるのが基本です。
Q3.購入前の今、最初にやるべきことは何ですか?
候補地をハザードマップで調べることです。費用もかからず、その場でできます。そのうえで、水災補償を含む火災保険・地震保険の見積もりを物件の資金計画に含めておくと、購入後に「保険料が想定外だった」と慌てずに済みます。
制度の内容や支給額は改正されることがあります。最新の情報は内閣府・住宅金融支援機構・お住まいの自治体の公式サイトでご確認ください。自然災害は避けられなくても、備えで被害とその後の負担は大きく変えられます。物件選びの段階から、災害への備えをセットで考えていきましょう。

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