住宅ローンにおける収入合算のメリットとデメリットを解説
前回の2018年10月19日の記事では、住宅ローンを複数人の収入を合算して借りる収入合算の概要について解説しました。複数人の収入を合算できるため、これまで手が届きにくかった物件が検討できるといったメリットが目立ちますが、必ずしも住宅ローンを借りる方すべてのニーズを満たすとは限らずメリットとデメリットをしっかりと把握した上で検討する必要があります。
今回は住宅ローンにおける収入合算のメリットとデメリットを解説していきます。
住宅ローンにおける収入合算とは何か?
住宅ローンにおける収入合算とは、詳しい内容については2018年10月19日の記事で詳しく記載しましたが、夫婦や親子など複数人の収入を合算した上で、借入可能額を算出し、住宅ローンを借りることができる住宅ローン商品です。
複数人の収入を合算するため、一人の収入で算出する借入可能額に比べて、その額が大きくなることから、一人だけでは手が届きにくかった物件など検討余地が広がるメリットが一番大きいといえます。
ただし、収入合算はあくまでも複数人の収入を合算するだけでありますので、返済を行う債務者は一人となります。複数人で併用してそれぞれ決められた返済額を返済できる商品としては、2018年9月24日の記事で紹介したペアローンが利用できます。
収入合算を利用した場合は、金融機関によっても多少内容は異なる部分もありますが、主な債務者に対して、連帯債務者もしくは連帯保証人となる必要があります。
収入合算の3つのメリット
住宅ローンにおける収入合算のメリットとして、一人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入しやすくなること、収入が少なくても複数人の収入を元に借入可能額が算出できること、所有権はあくまでも単独であるため将来的な相続手続きが容易になるといった、主に3つのメリットがあげられます。
人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入できる
収入合算のメリットとして一番にあげられるのが、一人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入しやすくなると言えます。複数人の収入を合わせることで借入可能額を増やすことができます。
収入が少なくても複数人の収入算出して借り入れができる
収入合算を利用することで、一人の収入が少ないといった場合も、複数人の収入を合算することで住宅を購入できるメリットもあります。
所有権は単独なので相続の手続きが容易
収入合算は、あくまでも借入可能額を算出する場合において、複数人の収入を合算するというものでありますので、民間の金融機関で取り扱っている収入合算の場合は債務者は一人となります。
そのため、所有権が複数人にならないため、将来的に相続が発生した場合の手続きも容易になるメリットもあります。ただし、後述する連帯債務者となった場合は所有権は複数人となりますので、その場合はこのメリットはありません。
収入合算の3つのデメリット
収入合算のデメリットとしては、主な債務者に対して、片方は連帯保証人もしくは連帯債務者になる必要があることと、住宅ローン控除の適用は債務者一人のみの適用になること、一人の収入がストップした場合、返済負担が重くなるという3つのデメリットが考えられます。
債務者に対して、もう片方が連帯保証人もしくは連帯債務者となる必要がある
収入合算のデメリットして、収入合算を利用する場合、連帯保証人もしくは連帯債務者となる必要があることです。
住宅支援機構のフラット35で収入合算を利用する場合は連帯債務者になる必要があります。連帯債務者は債務者と同様の借入額の返済義務を負うことです、一方、民間の金融機関では連帯保証人となることが多く、万が一、主な債務者が返済ができなくなった場合は、代わりに連帯保証人に返還請求がくることになります。
住宅ローン控除の適用は主な債務者一人のみに適用される
収入合算は、所有権が債務者一人のみであった場合、住宅ローン控除の適用は債務者一人の収入に対して適用できます。
民間の金融機関では相手側は連帯保証人となり、主に所有権は一人となりますので、複数人での住宅ローン控除は適用は難しいと言えます。ただし、住宅支援機構などで片方が連帯債務者といなっている場合は、複数人で負担する金額を決めることができますので、所有権は複数となり、それぞれに住宅ローン控除が適用できます。
一人の収入がストップすると返済負担が重くなる
収入合算は、複数人の収入を元に借入可能額を算出しますが、相手側の収入も合わせて算出しているため、一人の収入が何かしらの理由でストップしてしまった場合、家計における収入が少なくなり、急に返済負担が重くなることも考えられます。
例えば、よくあるのは、夫婦で収入合算を利用していた、妻が出産などで仕事を長期間休むもしくは辞めるといったことが発生した場合などです。そのため、収入合算を利用する場合は、将来的なライフイベントの検討や病気や失業といった場合をしっかり考え、対策を講じた上で利用すべきと言えます。
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