- 公開日: 2026.07.21
- 住宅購入の基礎知識
住宅ローンの収入合算とは?メリット・デメリットをやさしく解説

住宅ローンを検討していると、「収入合算」という言葉を目にすることがあります。夫婦や親子など複数人の収入を合わせて借入可能額を計算できる仕組みで、一人の収入では手が届きにくかった物件も検討しやすくなるのが魅力です。収入合算の基本的な仕組みは収入合算の概要を解説した記事でも紹介していますが、メリットばかりに目を向けて利用してしまうと、あとから「こんなはずでは…」と後悔することもあります。
今回は、住宅ローンにおける収入合算のメリットとデメリットを、初めて住宅ローンを検討する方にもわかりやすく解説していきます。
住宅ローンにおける収入合算とは何か?
住宅ローンにおける収入合算とは、夫婦や親子など複数人の収入を合算した上で借入可能額を算出し、住宅ローンを借りることができる仕組みです。詳しい内容は収入合算の概要を解説した記事もあわせてご覧ください。
複数人の収入を合算するため、一人の収入で算出する借入可能額に比べて借入可能額が大きくなりやすく、一人だけでは手が届きにくかった物件まで検討の幅が広がるのが一番のメリットといえます。
ただし、収入合算はあくまでも「審査のうえで」複数人の収入を合算するだけで、住宅ローンの契約は1本、返済義務を負う主たる債務者は一人です。夫婦それぞれが自分名義の住宅ローンを1本ずつ契約する方法としては、ペアローンを紹介した記事で解説したペアローンがあります。
また、収入合算には大きく分けて2つのタイプがあり、どちらになるかで住宅ローン控除の扱いなどが変わってきます。
| タイプ | 合算する人の立場 | 主な取扱い | 住宅ローン控除 |
|---|---|---|---|
| 連帯保証型 | 連帯保証人になる | 民間の金融機関に多い | 主たる債務者のみ適用 |
| 連帯債務型 | 連帯債務者になる | 【フラット35】など | 持分・負担割合に応じて2人とも適用可 |
どちらのタイプになるか(そもそも誰と合算できるか)は金融機関や商品によって異なるため、申込前に必ず確認しておきましょう。
収入合算の3つのメリット

住宅ローンにおける収入合算のメリットとして、一人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入しやすくなること、収入が少なくても複数人の収入を元に借入可能額を算出できること、所有権を単独にすれば将来的な相続手続きが容易になるという、主に3つのメリットがあげられます。
一人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入できる
収入合算のメリットとして一番にあげられるのが、一人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入しやすくなることです。複数人の収入を合わせることで、借入可能額を増やすことができます。
収入が少なくても複数人の収入を合算して借り入れができる
収入合算を利用することで、一人ひとりの収入が少ない場合でも、複数人の収入を合算することで住宅を購入できるメリットもあります。共働きのご夫婦や、親子で協力して住宅を購入したい場合に検討しやすい方法です。
所有権を単独にすれば相続の手続きが容易
収入合算は、あくまでも借入可能額を算出する際に複数人の収入を合算するものなので、連帯保証型(民間の金融機関で多いタイプ)の場合は債務者が一人となります。
そのため、所有権(登記名義)を債務者一人の単独にしておけば、将来的に相続が発生した場合の手続きも比較的シンプルになるというメリットがあります。ただし、後述する連帯債務型で共有名義にした場合は所有権が複数人となるため、このメリットはあてはまりません。
収入合算の3つのデメリット

収入合算のデメリットとしては、合算する人が連帯保証人もしくは連帯債務者になる必要があること、連帯保証型では住宅ローン控除が債務者一人にしか適用されないこと、一人の収入がストップした場合に返済負担が重くなるという、3つのデメリットが考えられます。
合算する人が連帯保証人もしくは連帯債務者となる必要がある
収入合算を利用する場合、収入を合算する人は連帯保証人もしくは連帯債務者となる必要があります。
住宅金融支援機構の【フラット35】で収入合算を利用する場合は、収入合算者が連帯債務者になる必要があります(合算できるのは、申込本人の直系親族または配偶者などの要件を満たす1名です)。連帯債務者は、主たる債務者と同様に借入額全体の返済義務を負います。一方、民間の金融機関の収入合算では連帯保証人となることが多く、万が一、主たる債務者が返済できなくなった場合には、連帯保証人が代わりに返済を求められることになります。
いずれの場合も「名前を貸すだけ」ではなく重い責任を伴うため、合算するご家族ともよく話し合ったうえで利用しましょう。
連帯保証型では住宅ローン控除は主たる債務者一人のみに適用される
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンの「債務者」が受けられる制度です。連帯保証型の収入合算では、収入を合算した人は債務者ではなく連帯保証人のため、住宅ローン控除を受けられるのは主たる債務者一人のみとなります。
一方、【フラット35】のように収入合算者が連帯債務者となる場合は、住宅を共有名義にして、それぞれの持分・負担割合に応じて2人とも住宅ローン控除の適用を受けられる可能性があります。ただし、持分割合と返済の負担割合のバランスによっては贈与税の問題が生じることもあるため、共有名義にする場合は事前に税務署や税理士に確認しておくと安心です。なお、住宅ローン控除の控除率・控除期間・借入限度額は入居時期や住宅の性能によって変わるため、最新の制度内容は国税庁や国土交通省の公式サイトでご確認ください。
一人の収入がストップすると返済負担が重くなる
収入合算は複数人の収入を元に借入可能額を算出するため、借入額もそのぶん大きくなりがちです。一人の収入が何かしらの理由でストップしてしまった場合、家計全体の収入が減り、急に返済負担が重くなることが考えられます。
例えばよくあるのは、夫婦で収入合算を利用していたところ、妻(あるいは夫)が出産や育児で仕事を長期間休む、もしくは辞めることになったケースです。収入合算を利用する場合は、出産・育児・転職などの将来のライフイベントや、病気・失業といった不測の事態をしっかり想定し、無理のない借入額に抑えたうえで利用すべきといえます。
収入合算のよくある質問(FAQ)
初めて収入合算を検討する方からよくいただく疑問をまとめました。
Q. 誰の収入なら合算できるのですか?
金融機関によって異なりますが、一般的には配偶者や親子など近い親族に限られます。【フラット35】では「申込本人の親・子などの直系親族または配偶者」「申込時の年齢が満70歳未満」「申込本人と同居する」「連帯債務者になる」という要件をすべて満たす1名の収入を合算できます(2026年7月時点・住宅金融支援機構公式サイトより)。民間の金融機関では「配偶者のみ」「同居の親族まで」など条件がさまざまなので、利用したい金融機関の条件を確認しましょう。
Q. 収入はいくらまで合算できますか?
これも商品によって異なります。【フラット35】では収入合算者の年収の全額まで合算できますが、合算額が収入合算者の年収の50%を超える場合は、借入期間の基準となる年齢が「申込本人と収入合算者のうち高い方」になるため、合算者の年齢によっては借入期間が短くなることがあります。民間の金融機関では「合算者の年収の2分の1まで」といった上限を設けている場合もあります。
Q. 収入合算とペアローンはどちらがよいのですか?
どちらが有利かは、ご夫婦の働き方や収入バランスによって変わります。ざっくり言うと、契約が1本で諸費用を抑えやすいのが収入合算、2人がそれぞれ債務者となり2人とも住宅ローン控除を受けやすいのがペアローンです(ペアローンは契約が2本になるため、事務手数料などの諸費用も2本分かかります)。詳しくはペアローンを紹介した記事もあわせてご覧ください。
まとめ:ライフプランに合うかどうかで判断を
収入合算は、借入可能額を増やして住まいの選択肢を広げられる心強い仕組みですが、その分だけ「家族2人の収入で返し続ける前提」の借入になります。目先の借入可能額だけでなく、10年後・20年後の働き方まで見据えて、無理なく返済できるかどうかで判断することが大切です。
また、収入合算の条件(誰と合算できるか・いくらまで合算できるか・連帯保証型か連帯債務型か)は金融機関ごとに異なります。あわせて、保証料や事務手数料などの諸費用、団信の内容も比較しておきたいところです。例えばSBI新生銀行のように、保証料0円・一部繰上返済手数料0円で諸費用の仕組みがわかりやすく、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応している銀行もあります。ご自身の状況に合わせて、複数の金融機関を比較しながら検討してみてください。
※商品内容や制度は変更されることがあります。最新の情報は各金融機関・住宅金融支援機構・国税庁などの公式サイトでご確認ください。

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