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住宅ローンの金利が上がったら?今すぐできる4つの対処法

住宅ローンを組んでマイホームを買うときは、借りたお金(元金)だけを返すのではなく、お金を借りるためのレンタル料にあたる金利(利息)もあわせて金融機関に返していきます。 この金利は市場の動きに合わせて変わります。全期間固定金利なら借入時の金利がずっと続きますが、変動金利の場合は金利が上がると総返済額もふくらみ、家計を圧迫する要因になります。 そして今、日本は長く続いた「超低金利」から抜け出しつつある局面にあります。日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げることを決めました(約31年ぶりの水準)。これを受けて、住宅ローンの変動金利にも上昇が波及し始めています。 「もう借りている人はどうすればいいの?」「これから借りる人は何を選べばいいの?」——そんな不安に先回りして、住宅ローンの金利が上昇した場合に検討したい対処法を、はじめての方にもわかるようにやさしく解説します。

住宅ローンの金利は上昇局面に入っている(2026年7月時点)

日本は長いあいだ低金利が続き、お金を借りるときの負担が小さい状態が続いてきました。バブル崩壊やリーマン・ショックなど何度も不況に見舞われたことから、金利を低く保って企業がお金を借りやすくし、経済を下支えしてきた側面があります。 しかし近年は物価と賃金が上がり、日銀は金融政策を平時の姿へ戻す方向に舵を切りました。マイナス金利の解除(2024年3月)のあと段階的に利上げが進み、2026年6月16日の決定会合で政策金利は1.0%程度になりました。1995年以来、約31年ぶりの高さです。 住宅ローンの変動金利は、多くの銀行が短期プライムレート(短プラ)という「銀行が優良企業に短期で貸すときの最優遇金利」を基準に決めています。政策金利が上がると短プラが上がり、少し遅れて変動金利の基準金利に反映される、という流れです。実際に、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行は2026年8月3日から短プラを年2.125%→年2.375%(+0.25%)へ引き上げると公表しています。

「変動金利が上がる時期」は銀行によって違います

ここは初めての方がいちばん混乱しやすいところです。よく「変動金利の上昇は10月から」と言われますが、実際の時期は銀行ごとに違います。たとえば三菱UFJ銀行は公式に「2026年9月1日から住宅ローンの変動金利の基準金利を見直す(9月分の基準金利は8月31日に発表し、以降は毎月1日を基準日として見直す)」と告知しています。一方で、年2回(4月・10月)の見直しを続ける銀行も多く、その場合は反映が秋以降になります。 さらに大事なのが、「基準金利が変わる時期」と「毎月の返済額が変わる時期」は別だということです。変動金利・元利均等返済の多くの契約には次のルールがあります。
  • 5年ルール…金利が上がっても、5年間は毎月の返済額が変わらない(そのかわり返済額に占める元金と利息の内訳が変わり、利息の割合が増えます)。
  • 125%ルール…返済額が見直されるときも、直前の返済額の1.25倍が上限になる。
返済額が急に跳ね上がらないのは安心材料ですが、「利息の支払いが増えていること」自体は変わりません。元金が思うように減らないまま最終回を迎え、未払い利息が残るケースもあります。ルールの有無や内容は商品ごとに違うので、まずはご自身の契約書やローンの商品説明書を確認してみてください。

いっぽうで、固定金利は「上がりっぱなし」でもありません

金利の話は「これからずっと上がる」と単純化されがちですが、実際の動きはもう少し複雑です。長期金利(10年国債利回り)に連動する固定金利は、月ごとに上下します。 参考までに、当社編集部では毎月、主要な金融機関の公式サイトを実際に開いて住宅ローンの表示金利を確認・集計しています。2026年7月分(2026年7月1日確認)は、14の金融機関・機関について125件の適用金利を集計し、前月と比較できた112件のうち、引き上げが13件、据え置きが31件、引き下げが68件でした(当社調べ)。この月は、変動金利が据え置き中心だったのに対し、固定金利は下がったものが多かった、というのが実測から見えた姿です。 つまり、「変動はこれから上がりやすい」「固定は月ごとに上下しながら高止まり」というのが2026年7月時点の景色です。将来の金利は誰にも断言できません。だからこそ、「上がったらどうするか」を先に決めておくことが、いちばんの備えになります。

新規借り入れは全期間固定金利型の住宅ローン商品を検討する

これから借りる方は、金利が上がる可能性を織り込んだうえで返済計画を立てる必要があります。「上がるなら固定にすればいい」と考えるのが自然ですが、民間の金融機関の固定金利は、将来の金利上昇をある程度織り込んで高めに設定されています。借りた瞬間の返済額は変動金利より重くなる、という点は最初に知っておきましょう。 そのうえで、返済額を最後まで動かしたくない方の有力な選択肢が、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する「フラット35」(全期間固定金利)です。完済まで金利が変わらないため、家計の見通しを立てやすいのが最大の持ち味です。 2026年7月時点のフラット35の金利(最頻金利・融資率9割以下・新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下)は年3.140%で、前月(年3.210%)から0.07%下がりました。返済期間20年以下の「フラット20」は年2.820%です(住宅金融支援機構)。 同じ「全期間固定(35年)」で民間の主要行と並べると、次のようになります。
2026年7月時点の全期間固定35年金利の比較グラフ
フラット35は融資率9割以下・新機構団信付きの最頻金利。民間各行は最優遇適用時の金利です。
商品・金融機関(2026年7月)全期間固定(35年)の金利備考
フラット35(機構・最頻金利)年3.140%融資率9割以下・新機構団信付き。取扱金融機関ごとに金利・手数料は異なる
みずほ銀行年3.840%ネット専用・最大引下げ適用時
SBI新生銀行年3.880%自己資金優遇適用時
三菱UFJ銀行年4.000%最優遇適用時
三井住友銀行年4.320%超長期固定(20年超〜35年)・最優遇適用時

※各行公式サイトの2026年7月適用金利を当社編集部が2026年7月1日に確認。適用には所定の条件があり、審査結果や借入時期によって実際の金利は異なります。最新の金利は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

全期間固定どうしで比べると、2026年7月時点ではフラット35の金利が相対的に低い水準にあります。「長期の安心を、なるべく低いコストで買いたい」という考え方に合うのがフラット35です。 ただし注意点もあります。フラット35は融資事務手数料が取扱金融機関ごとに異なり(定率型なら借入額の2.20%(税込)前後が目安、定額型を用意する金融機関もあります)、金利だけでなく初期費用まで含めた総額で比べる必要があります。また、フラット35の融資限度額は1億2,000万円です(2026年4月資金受取分から引き上げ・住宅金融支援機構)。 なお、民間の10年固定は2026年7月時点で年3.2〜3.5%台(みずほ銀行3.200%、三菱UFJ銀行3.350%、三井住友銀行3.500%=いずれも最優遇)と、35年固定より低い水準です。「10年間だけ固定して、その後に考える」という選び方もありますが、固定期間が終わったあとの金利は、そのときの水準で決まり直します。期間終了後に返済額が上がる可能性を、あらかじめ試算しておきましょう。 フラット35の特徴については、フラット35の魅力を解説した記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

既に住宅ローンを利用している場合は借り換えを検討

すでに返済中の方は、契約内容に応じて借り換えを検討するのも一つの方法です。金利が上がりきる前に、より条件のよいローンへ乗り換えておければ、その後の負担を抑えられます。

借り換えを考えるときの見方

  • 金利差だけで判断しない…借り換えには事務手数料・保証料・登記費用・印紙税などの諸費用(数十万円規模になることもあります)がかかります。「下がる利息の合計」が「かかる諸費用」を上回るかを試算しましょう。
  • 残りの期間と残高を見る…一般に、残債が多く・残期間が長いほど借り換えの効果は出やすくなります。
  • 付帯保障もあわせて見直す…団体信用生命保険(団信)の保障範囲は各行で違います。がん保障や全疾病保障が上乗せ金利なしで付く商品もあります。
  • いまの銀行に相談してみる…同じ金融機関の中でプラン変更(金利タイプの変更など)ができる場合もあります。借り換えより手数料が安く済むことがあるので、まず問い合わせてみる価値はあります。
ネット銀行を含めて比較すると、変動金利は年1%前後の水準(2026年7月時点)です。ただし各行とも8月以降に基準金利の見直しが控えているため、「いま表示されている金利がずっと続く」とは考えないでください。適用金利・優遇幅・条件は必ず各金融機関の公式サイトで最新のものをご確認ください。 借り換え先を選ぶときは、金利・諸費用・団信をセットで見るのが基本です。たとえばSBI新生銀行は、保証料0円・一部繰上返済手数料0円で、一般団信の保険料も上乗せ0円。2026年3月からは上乗せ金利なしの全疾病保障付団信も選べるようになりました。融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型です。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、「ネットだけで完結させたい人」にも「一度は対面で相談したい人」にも向いています。検討候補の一つとして見ておくとよいでしょう(金利・条件は必ず公式サイトでご確認ください)。

繰り上げ返済で「利息が乗る元金」を減らす

借り換えのほかに、手元資金に余裕があるなら繰り上げ返済も有効な備えです。繰り上げ返済で払ったお金はすべて元金の返済に充てられます。利息は「残っている元金」に対してかかるので、元金が減れば、その後に発生する利息もまとめて減らせるわけです。

2つのやり方の違い(初心者がつまずくポイント)

  • 期間短縮型…毎月の返済額は変えず、返済期間を縮めます。利息の削減効果は大きくなります。
  • 返済額軽減型…期間は変えず、毎月の返済額を下げます。金利上昇で家計が苦しくなるリスクに備えたい方はこちらが向いています。
金利が上がりそうな局面では、「利息が乗る元金」を早めに減らしておくほど効きます。ただし手数料には注意してください。金融機関によっては繰り上げ返済に手数料がかかります。 フラット35は一部繰上返済・全額繰上返済のいずれも手数料がかかりません(インターネットサービス「住・My Note」経由なら10万円以上から、金融機関の窓口経由なら100万円以上から)。ネット銀行やSBI新生銀行など、一部繰上返済の手数料が0円の民間ローンも増えています。 そして、いちばん大事なのは手元のお金を使い切らないことです。教育費・医療費・失業などに備えた生活防衛資金(生活費の半年〜1年分が目安とされます)まで繰り上げ返済に回してしまうと、いざというときに高い金利の借金に頼ることになりかねません。「返せるお金」ではなく「返しても困らないお金」で行うのが鉄則です。

金利上昇に備えるためのよくある質問(FAQ)

Q. 変動金利で借りています。すぐに固定へ変えるべきですか?

A. 「必ず変えるべき」とは言えません。固定に変えると返済額は今より重くなるのが一般的で、その差額を毎月払い続けられるかが判断の分かれ目です。まずは「金利が1%上がったら毎月いくら増えるか」を試算し、家計が耐えられるかを確かめましょう。耐えられないなら固定化・借り換え・繰り上げ返済のいずれかを、耐えられるなら変動を続けて差額を貯蓄に回す、という考え方もあります。

Q. 5年ルールがあるなら、金利が上がっても関係ないのでは?

A. 返済額が5年間変わらないだけで、利息の負担が増えていること自体は変わりません。同じ返済額のうち利息の割合が増え、元金が減りにくくなります。見直しのタイミングでまとめて負担が現れるので、「関係ない」と考えるのは危険です。なお、5年ルール・125%ルールが適用されない商品もあります。

Q. 借り換えは金利が何%下がれば得ですか?

A. 「金利差1%以上・残債1,000万円以上・残期間10年以上」が目安としてよく紹介されますが、あくまで目安です。諸費用の額や団信の内容で結果は変わるため、必ず金融機関のシミュレーションで「借り換え後の総返済額+諸費用」と「今のまま返した場合の総返済額」を比べてください。

Q. 今から借りるなら、変動と全期間固定のどちらがよいですか?

A. 正解は人によって違います。判断材料は「金利が上がったときに家計が耐えられるか」の一点です。教育費のピークが近い、収入が読みにくい、貯蓄に余裕が少ない——といった方は、返済額が動かない全期間固定の安心感が生きます。逆に、繰り上げ返済の余力があり、上昇分を吸収できる方は変動の低さを取る選択もあります。

Q. 金利のニュースは何を見ればいいですか?

A. まずはご自身が借りている(借りようとしている)金融機関の公式サイトのお知らせです。基準金利の見直し時期は銀行ごとに違うため、一般論のニュースだけでは自分への影響がわかりません。あわせて、日本銀行の金融政策決定会合の結果と、住宅金融支援機構が毎月1日に公表するフラット35の金利を見ておくと、大きな流れがつかめます。

まとめ:あわてず、順番に手を打つ

金利上昇局面での対処法を、もう一度整理します。
  1. まず現状を知る…契約書で金利タイプ・優遇幅・5年ルールの有無を確認する。
  2. 試算する…金利が1%・2%上がったときの返済額をシミュレーションし、家計が耐えられるかを見る。
  3. 手を打つ…耐えられないなら、全期間固定への借り換え・条件のよいローンへの借り換え・繰り上げ返済を検討する。
  4. 比べる…金利だけでなく、事務手数料・保証料・団信までを含めた「総額」で比較する。
金利は誰にも予測できません。だからこそ、「予測」ではなく「備え」で考えるのが住宅ローンの鉄則です。全期間固定で返済額を確定させる、繰り上げ返済で元金を減らす、諸費用まで含めて有利なローンへ移る——いずれも今日から検討できます。 なお、本記事の金利は2026年7月時点で各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトを確認した数値です。金利・手数料・団信の条件は随時改定されます。最新の情報は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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