- 公開日: 2026.07.14
- 住宅ローンの注意点
転職直後でも住宅ローンは組める?審査を通す5つのポイント

かつての日本は、就職してから定年まで同じ会社で働く「終身雇用」が当たり前でした。けれど今は、キャリアアップのための転職はごく普通のことになっています。
そこで気になるのが、「転職したばかりでも住宅ローンは組めるの?」という不安ではないでしょうか。住宅ローンの審査では「勤続年数」が見られる、という話を聞いたことがある方も多いと思います。
結論からお伝えすると、転職後3年以内でも住宅ローンを組むことは十分に可能です。ただし、押さえておくべきポイントがあります。この記事では、転職して間もない方が住宅ローンを通すために知っておきたいことを、はじめての方にもわかるように順を追って解説します。
転職してから3年以内でも、住宅ローンの契約は可能です

キャリアアップのための転職を考えるのは、20代後半から30代にかけての方が多いでしょう。ちょうど住宅取得を検討する年代とも重なるため、「転職」と「マイホーム」を同じ時期に考える方は少なくありません。
住宅ローンを借りるときは、金融機関が「この人はきちんと返せるか」を判断するための審査が行われます。その審査項目の一つに勤続年数があり、転職直後だと住宅ローン審査と勤務先について解説した記事でも触れたとおり、不利に働く場合があります。
ただし「勤続年数が短い=借りられない」わけではありません。金融機関が見ているのは勤続年数そのものではなく、その先にある「収入が今後も安定して続くかどうか」です。ここを納得してもらえれば、転職後1年未満でも借りられるケースは実際にあります。
用語ミニ解説:なぜ勤続年数を見るの?
住宅ローンは20年、30年と返し続ける長い借金です。金融機関は「これから何十年も安定して返済できるか」を知りたい。勤続年数は、そのための「収入の安定性を測る目安」として使われているにすぎません。
だからこそ、「勤続年数が短くても、収入は安定している(むしろ増えている)」と示せれば、評価は変わります。
住宅ローンの審査で見られる主な項目

審査の細かい基準は金融機関ごとに違いますが、見られる項目はおおむね共通しています。国土交通省が毎年行っている「民間住宅ローンの実態に関する調査」でも、9割を超える金融機関が「完済時年齢」「健康状態」「年収」「勤続年数」「担保評価」などを融資の際に考慮すると回答しています。
| 審査項目 | 何を見ているか | 転職者が意識したいこと |
|---|---|---|
| 完済時の年齢 | 無理なく完済できる年齢か(80歳未満とする金融機関が多い) | 借入期間の設定で調整できます |
| 健康状態 | 団体信用生命保険(団信)に加入できるか | 持病がある場合はワイド団信も選択肢に |
| 勤続年数 | 収入が安定して継続するか | ここが転職者の関門。ただし要件は金融機関ごとに違います |
| 年収・返済負担率 | 年収に対して返済額が重すぎないか | 他のローン(車・カード等)も合算されます |
| 住宅の担保評価 | 物件に担保としての価値があるか | 物件選びも審査の一部です |
※国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」をもとに整理。審査基準は金融機関ごとに異なります。詳しくは各金融機関の公式サイトでご確認ください。
住宅ローンの審査項目の詳細は、住宅ローン審査のチェックポイントを解説した記事もあわせてご覧ください。
勤続年数の要件は「1年以上」「3年以上」など金融機関によってさまざまで、なかには明確な要件を設けていない金融機関もあります。「3年たっていないから無理」と最初からあきらめず、まずは自分が申し込める金融機関を探すことから始めましょう。
転職直後は「3つのポイント」で転職理由を伝える

転職直後は勤続年数がネックになりますが、金融機関との面談で「前向きな転職である」ことをきちんと説明できるかどうかで、印象は大きく変わります。次の3点を整理しておきましょう。
1.キャリアアップのための転職であること
これまでの仕事の経験をベースに、さらにキャリアを伸ばすための転職だった——この筋道をはっきり伝えることが大切です。
「なんとなく前の仕事が嫌になった」という後ろ向きな理由では、金融機関に安定性を感じてもらえません。何を期待してその会社・業界・職種を選んだのかを自分の言葉で整理しておきましょう。
2.年収が上がっていること
転職で年収が上がったなら、それはこれまでのキャリアが転職先に評価された証です。しっかり伝えましょう。
ただし、前職と比べて年収が大きく跳ね上がった場合は、その理由もあわせて説明できるようにしておきましょう。「収入は増えたが仕事がハードで長続きしないのでは」と見られると、かえって不安材料になりかねません。どんなキャリアが評価されて今の年収になったのかを、誤解のないように整理しておくと安心です。
3.これまでのキャリアに一貫性があること
同じ業界・同じ職種への転職なら、これまでの経験を十分に活かせることをアピールしましょう。仕事内容が地続きであれば、キャリアに一貫性があると判断され、前向きな転職として評価されやすくなります。
業界や職種が変わった場合でも、前のキャリアが活きている部分は必ずあるはずです。その接点を言語化しておきましょう。
勤続年数が短い人の強い味方=【フラット35】
ここが、転職して間もない方にとっていちばん知っておく価値のある情報かもしれません。
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】には、勤続年数の要件がありません。
【フラット35】の主な利用条件は次のとおりです(2026年7月時点・住宅金融支援機構)。
- 申込時の年齢が満70歳未満であること(親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも可)。
- すべての借入れについて、年収に占める年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下であること。
- 日本国籍の方、永住許可を受けている方、特別永住者の方。
つまり「何年勤めているか」ではなく「返済負担率が基準内におさまるか」で判断されるのが【フラット35】です。転職して間もなくても、収入を証明できれば申し込めます。
2026年7月時点の【フラット35】の金利は年3.140%(最頻金利・融資率9割以下・新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下)。完済まで金利が変わらないため、返済額がずっと一定というメリットもあります。
ただし注意点もあります。【フラット35】は物件に技術基準があり、適合証明書が必要です。中古物件や建売住宅を検討している場合は、その物件が基準を満たすかを早めに確認しましょう。基準を満たすために追加工事が必要になるケースもあります。
審査中の転職は絶対にNG。申し込みの進め方
最後に、やってはいけないことを1つだけ。
住宅ローンの審査が始まってから融資実行までの間に転職するのは避けてください。事前審査は「その時点の勤務先・勤続年数・年収」を前提に通っています。この前提が変わると、本審査で否決される可能性が高まります。転職の予定があるなら、「住宅ローンを組む前に転職を済ませる」か「融資が実行されてから転職する」か、どちらかにはっきり寄せましょう。
転職後に住宅ローンを申し込むときのステップ
- 収入を証明できる書類をそろえる…源泉徴収票(前職分を含む)、直近数か月の給与明細、雇用契約書・内定通知書など。転職1年目は前年の源泉徴収票が新しい勤務先のものではないため、給与明細が重要になります。
- 他の借入れを整理する…車のローン、カードのリボ払い、キャッシングは返済負担率に加算されます。返せるものは申し込み前に返しておくのが鉄則です。
- 申し込める金融機関を選ぶ…勤続年数の要件がない【フラット35】や、要件が緩やかな金融機関から検討します。
- 事前審査(仮審査)に申し込む…複数に出しておくと安心です。
- 本審査 → 契約 → 融資実行…この間は転職・大きな買い物・新たな借入れを避けます。
なお、金融機関によって手続きの流れには違いがあります。たとえばSBI新生銀行は、原則として事前審査(仮審査)を行わず本審査のみで完結するのが特徴です(必要書類は本審査時に一式必要になります)。他行と併願する場合は、他行側の仮審査を先に済ませておくと進めやすいでしょう。保証料0円・一部繰上返済手数料0円で、一般団信の保険料も上乗せ0円と、諸費用がわかりやすい点も検討材料になります。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、「転職直後で不安だから一度相談したい」という方にも向いています(条件は必ず公式サイトでご確認ください)。
転職と住宅ローン よくある質問(FAQ)
Q. 転職してすぐ(勤続半年)でも申し込めますか?
A. 金融機関によります。勤続1年以上を条件とするところが多い一方、【フラット35】は勤続年数の要件がありません。勤続期間が1年未満の場合、現在の勤務先での給与実績をもとに年収を計算する取り扱いがあるため、給与明細をしっかり保管しておきましょう。
Q. 転職で年収が下がりました。もう無理でしょうか?
A. あきらめる必要はありません。見られているのは返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)です。借入額を抑える、頭金を増やす、返済期間を延ばす、車のローンを完済しておく——これらで負担率は下げられます。「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら無理なく返せるか」から逆算してください。
Q. 派遣・契約社員でも借りられますか?
A. 正社員に比べると選択肢は狭まりますが、安定した収入があれば申し込める金融機関もあります。取り扱いは金融機関ごとに大きく異なるため、個別に公式サイト・窓口でご確認ください。
Q. 転職を隠して申し込むのはダメですか?
A. 絶対にやめてください。勤務先や年収は提出書類で確認されるため、事実と違う申告はほぼ確実に発覚します。発覚すれば審査に通らないばかりか、信頼を失います。正直に伝えたうえで、前向きな転職であることを説明するほうが結果につながります。
Q. 転職前に住宅ローンを組んでしまうのはアリですか?
A. 融資実行後に転職すること自体は禁止されていませんが、返済が続けられる見通しが大前提です。転職で収入が一時的に下がる可能性も見込んで、生活防衛資金(生活費の半年〜1年分が目安とされます)を残したうえで判断しましょう。
Q. 審査に落ちてしまいました。次はどうすれば?
A. 落ちた理由は開示されないのが通常ですが、勤続年数・返済負担率・信用情報のいずれかであることが多いとされます。他の借入れを整理する、借入額を見直す、勤続年数の要件がない【フラット35】を検討する——この3つから試してみてください。
※本記事の内容は2026年7月時点で確認した情報にもとづいています。審査基準・申込要件・金利は金融機関ごとに異なり、随時改定されます。最新の情報は必ず各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。

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