- 公開日: 2026.06.27
- 住宅ローンの注意点
転勤で住宅ローン控除はどうなる?停止と再適用の手続き

マイホームを購入すると、購入費用の負担を軽くする「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を利用でき、所得税などから一定額が控除されます。ところが、転勤などでその家に住まなくなると、原則として住宅ローン控除は受けられなくなってしまいます。
「せっかく家を買ったのに転勤に…控除はどうなるの?」と不安に思う方も多いはずです。この記事では、転勤で購入した住宅に住めなくなった場合に、住宅ローン控除をめぐって何をすべきか(必要な手続き)をわかりやすく解説します。
控除期間中に転勤で住まなくなると原則として控除は打ち切り

本人や家族が住むためにマイホームを購入した場合、原則として最長13年間(新築・買取再販などの場合。中古〔既存〕住宅の取得やリフォームの場合は最長10年間)にわたって住宅ローン控除が適用され、年末のローン残高に応じた額が所得税などから控除されます(控除率は原則0.7%。控除期間や借入限度額は入居した年や住宅の種類によって異なります。最新の制度内容は国税庁のサイトでご確認ください)。
この住宅ローン控除を受けるための条件のひとつが「その住宅に実際に住んでいること」です。そのため、会社命令による転勤などでその家に住めなくなり、引っ越しを余儀なくされた場合は、その時点で住宅ローン控除が打ち切りになります。
ただし、すべてのケースで権利が完全になくなるわけではありません。
- 単身赴任で家族がそのまま住み続ける場合…引き続き住宅ローン控除を受けられます。
- 転勤が一時的で、控除期間内に再びその家に戻ってくる場合…これから紹介する一定の手続きをしておけば、戻ってきた年以降、残りの期間について控除の再適用を受けられます。
注意したいのは、これが転職など自己都合で住まなくなった場合は対象外という点です。自己都合の場合は、控除期間中に戻ってきても再適用は受けられません。なお、転勤などで住まなくなった場合の取り扱いは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
転勤で転居する場合は税務署に届け出る

会社命令の転勤でどうしても転居せざるを得なくなった場合は、引っ越しをする前に、家屋の所在地を管轄する税務署へ届け出をしておくことが大切です。具体的には「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出します。書類は税務署の窓口で受け取れるほか、国税庁のホームページでも様式が公開されており、印刷して郵送やe-Taxで提出することもできます。
届出書に記入する主な内容は、おおむね次のとおりです。
1.転居予定日
2.転居の理由
3.転居先の住所、勤務先の名称と住所
4.住宅ローン控除を受けた住宅に住み始めた年月日
5.再び住む予定の時期や、転居期間中の家屋の使いみち
この届出書を提出しておかないと、控除期間中に再び住み始めても、残りの住宅ローン控除を受けられなくなってしまいますので、忘れずに提出しましょう。あわせて、税務署から交付されている「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」や申告書が手元にあれば、一緒に提出(持参)しておくとスムーズです。
マイホーム購入後、居住前に転勤になった場合は適用できない
可能性は高くないものの、マイホームを購入して引き渡しを待っている段階で転勤命令が出て、一度も住まないまま住めなくなった場合は、そもそも「居住している」状態にならないため、住宅ローン控除を受けられませんので注意が必要です。
住宅ローン控除を受けるには、原則として取得後6か月以内にその住宅へ入居している必要があります。そのため、住宅を購入したら、少なくとも家族だけでも入居しておくなど、何らかの形で居住の実態をつくっておくことが大切です。
転勤が多い会社にお勤めの方は、購入直後の転勤というリスクに備えておきたいところです。たとえば現在の勤務先と転勤の可能性がある勤務先の両方に通いやすい場所や、長距離アクセスのよい駅の近くを選ぶ、会社と転勤時期や手当を相談する、といった工夫も考えられます。マイホームの購入は大きな決断ですから、ご自身とご家族のライフプランとあわせてじっくり検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 単身赴任で家族が住み続ける場合は手続きが必要ですか?
A. 家族が引き続きその家に住んでいる場合は、住宅ローン控除はそのまま継続でき、特別な届け出は不要です。家族も一緒に転居する(家族帯同の)場合に、届出書の提出が必要になります。
Q. 転勤から戻ってきたら、控除期間は延長されますか?
A. いいえ。控除期間そのものは延長されません。再適用を受けられるのは、あくまで当初の控除期間のうち「残っている期間(残存控除期間)」の分だけです。たとえば住まなくなっていた間の年分は対象外で、再び住み始めた年以降の残り期間について控除を受けられます。再適用を受ける最初の年は、確定申告が必要です。
Q. 海外への転勤(海外赴任)でも届け出は必要ですか?
A. 家族帯同で住まなくなる場合は、国内転勤と同様に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しておくことで、帰任して再び住み始めたときに残りの期間の再適用を受けられます。状況によって取り扱いが異なる場合があるため、詳しくは国税庁のサイトや所轄の税務署、税理士にご確認ください。

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