- 公開日: 2026.06.19
- 住宅ローンの注意点
住宅を残したまま債務軽減はできるのか?個人版民事再生の概要を徹底解説

住宅ローンを返済中に、住宅ローン以外にもカードローンや自動車ローンなど複数のローンを契約している方は多いかと思いますが、近年ではこれらの債務の返済が困難になる方が増加しています。
債務の返済が困難になった場合、基本的には自己破産として手続きをすることで、ご自身が所有している住宅やその他の財産を手放す必要があります。ただし、住宅だけは手放したくないと考えている場合、住宅の手放し不要で債務軽減ができる手続きとして「個人版民事再生」があります。
今回は、個人版民事再生の概要について解説するとともに、自己破産との違いや細かい条件についても合わせて見ていきます。
個人版民事再生とは、住宅を手放すこと無く再建可能な手続き
個人版民事再生とは、住宅ローンや自動車ローン、カードローンなど複数の借入を行っている「多重債務」によって、返済が困難になった場合に、個人に適用する民事再生制度です。
民事再生制度は、一般的に企業が経営に行き詰った場合に行う手続きというイメージがあります。企業が適用する民事再生は、将来の事業収益から再生債務を弁済する、もしくは、スポンサーを募って資金援助により再建する、スポンサーに事業の全部もしくは一部を譲渡し、その譲渡で得た資金を債務の返済にあてる方法があります。
一方で、個人の場合は大きく分けて2種類あります。1つ目が個人事業主など自営業者を対象とした「小規模個人再生」、2つ目は給与所得者を対象とした「給与所得者等再生」があります。いずれも、将来的な収入が見込める場合のみに、債務負担を軽減することで再建を図る制度です。
企業と個人ともに共通しているのは、借り入れている借金が全てゼロになるわけではなく、あらかじめ何しかしらの収入が見込める場合に適用できる制度であると言えます。
債務の返済軽減はできるが住宅ローンの返済額は軽減されない

個人が行う手続きとしてよくあげられる「自己破産」がありますが、こちらは全ての財産を差し押さえることで借金を「ゼロ」にする方法です。そのため、所有している住宅やその他の財産は全て手放す必要があります。また、これから先の生活は全て「ゼロ」の状態から再スタートする必要があります。
個人版民事再生の場合は、自己破産とは異なり財産の差し押さえはないため、借金がゼロになるわけではありませんが、住宅ローン以外の債務を対象に返済の負担を軽減します。その代わりに、所有している今までの住宅に住み続けることができます。
個人版民事再生の手続きを行った後でも、住宅ローンについては、契約時に決定した返済額と金利を、引き続き返済もしくは支払いを続けていく必要があります。
個人版民事再生は残りの債務を3年で返済する必要がある
個人版民事再生の手続きを行った場合、債務が軽減された後は、原則3年以内に残りの債務を返済する必要があります。そのため、3年以内に返済ができるようにするためにもあらかじめ、債務額についても一定基準が儲けられており、住宅ローンを除いた債務額が5,000万円以下である必要があります。
返済額については、債務の金額によって決定し最大10分の1まで減額することができます。債務額が100万円未満の場合は全額を返済、100万円以上500万円未満は100万円を返済、500万円以上1,500万円以下は5分の1を返済、1,500万円以上3,000万円未満は300万円を返済、3,000万円以上5,000万円以下は10分の1となっています。
個人版民事再生の利用者数の推移と住宅ローンを借りすぎないことの重要性
住宅を手放さずに、個人が再建できる手続きとして紹介した「個人版民事再生」ですが、多重債務などを背景に、同制度を利用する方が一定数います。最高裁判所の司法統計によると、近年の個人版民事再生の申立件数は年間1万件前後で推移しています(最新の件数は最高裁判所のウェブサイトにてご確認ください)。
個人版民事再生の利用が続いている背景としては、低金利環境が続いた時期に身の丈を超えた住宅ローンを借り入れてしまったことや、消費者金融・カードローンの利用拡大による多重債務が挙げられます。なお、日銀は2016年2月16日からマイナス金利政策を実施し、それ以降の低金利が新規借入を加速させた面もあったと考えられます。
また、2026年現在は日銀の利上げにより変動金利が上昇傾向にあるため、変動金利で住宅ローンを借りている方は、返済額の変化に定期的に注意を払うことが重要です。返済が苦しくなると感じたら、早めに金融機関や専門家に相談することをおすすめします。
そのため、住宅ローンを借りる場合は、こちらの記事でも記載していますが、無理のない返済額として年収の25%を目安にし、将来的なリスクなども十分に考慮した上で十分な頭金を用意する必要があると言えます。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人版民事再生を申し立てると、住宅はどうなりますか?
A. 個人版民事再生には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があります。これを利用すると、住宅ローンの返済を続けることを条件に、自宅を手放さずに済みます。住宅ローン以外の債務を圧縮し、住宅ローンはこれまで通り返済し続けるイメージです。ただし、この条項は住宅の競売が開始される前に申し立てるなど一定の条件があるため、早めに専門家(弁護士・司法書士)に相談することをおすすめします。
Q. 個人版民事再生と自己破産はどう違いますか?
A. 最大の違いは「財産を手放すかどうか」です。自己破産では原則として財産を全て処分して借金をゼロにしますが、個人版民事再生では財産を残しながら債務を圧縮して返済を続けます。ただし、個人版民事再生は借金がゼロになるわけではなく、圧縮された額を原則3年以内に返済する義務があります。返済できる見通しがあることが条件の一つです。
Q. 誰でも個人版民事再生を利用できますか?
A. 主な条件として、①住宅ローンを除いた債務額が5,000万円以下であること、②安定した継続的な収入の見込みがあること、が求められます。将来的に返済できる見通しがある方を対象とした制度のため、収入が全くない場合は対象とならないことがあります。詳細は弁護士・司法書士にご相談ください。
Q. 個人版民事再生をすると信用情報はどうなりますか?
A. 個人版民事再生を申し立てると、信用情報機関に事故情報として登録されます。登録後は一般的に5〜10年程度、新たなローンやクレジットカードの契約が難しくなります。住宅ローンの返済は続けられますが、その間の新規借入が制限される点を念頭に置いておきましょう。詳細は各信用情報機関(CIC・JICC等)の公式サイトをご確認ください。

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