- 公開日: 2026.07.13
- 借り換えの方へ
住宅ローンの借り換えができない3つのケース|審査の落とし穴と対処法

住宅ローンは、毎月決められた返済額を長い年月かけて返していくものです。家計の収支が苦しくなってきたときや、いまより金利の低い商品が見つかったときに検討したいのが「借り換え」です。
ただし、借り換えは「申し込めば必ずできる」ものではありません。借り換えは新しい金融機関と住宅ローンを契約し直す手続きなので、あらためて審査を受ける必要があるからです。
今回は、住宅ローンの借り換えを検討している方に向けて、借り換えができない・通りにくいケースと、その対処法をやさしく解説します。
住宅ローンの借り換えは条件によってできない場合もある
家計の収支が厳しくなった場合、住宅ローンの返済額を減らすことで負担の軽減が期待できます。その方法のひとつが、借り換えの基本を解説した記事で紹介したとおり、より金利の低い金融機関へ住宅ローンを乗り換える「借り換え」です。
近年は、ネット銀行を中心に金利が低く、団体信用生命保険(団信)の保障も手厚い住宅ローンが増えており、乗り換えを検討する方も少なくありません。
ここで押さえておきたい仕組みがあります。借り換えとは、新しい金融機関で住宅ローンを組み、その資金で今の金融機関へ一括返済することです。つまりゼロから住宅ローンを契約し直すのと同じで、当然ながらあらためて審査を受けなければなりません。この審査に通らなければ、借り換えはできないというわけです。
なお、2026年7月時点では、日本銀行が2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を1.0%程度へ引き上げるなど、いわゆる「金利のある世界」に戻りつつあります。「金利が上がる前に固定金利へ」と借り換えを考える方も増えていますが、条件によっては借り換えできないこともあるため、まずは次の3つのケースに当てはまらないかを確認してみましょう。
ケース1:転職直後で収入の安定性を示しにくい

審査に通らず借り換えができない典型例が、借り換えの手続きをするタイミングが転職直後で、収入の安定性を示しにくいケースです。
住宅ローンは長期にわたって返し続けるものなので、金融機関は「これから安定して返済できるか」を重視します。転職して間もないと、その裏付けとなる収入の実績(源泉徴収票など)が乏しく、判断が難しくなるのです。
ただし、「勤続3年以上でなければ借りられない」というのは、すでに古い常識です。転職が一般的になったことを受け、金融機関の目安も変わってきました。国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査」でも、勤続年数の要件は「1年以上」とする金融機関が過半数で、勤続年数を申込条件にしていない金融機関やネット銀行もあります。
| 勤続年数の考え方 | おおまかな目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 会社員(給与所得者) | 勤続1年以上を条件とする金融機関が最も多い(3年以上を求めるところもある) | 直近の源泉徴収票で年収を証明できるかがカギ |
| 自営業・個人事業主 | 営業(事業)3年以上・確定申告書2〜3年分を求められることが多い | 会社員より慎重に見られる。黒字の実績を積んでから相談するのが安全 |
| 【フラット35】 | 勤続年数の要件なし(返済負担率・年齢・物件の要件で審査) | 転職直後でも申込可能。ただし直近の給与明細などで収入の確認は行われる |
つまり、転職直後でも借り換えの可能性はゼロではありません。とはいえ審査は慎重になりますので、急ぐ事情がなければ、勤続1年を過ぎてから相談するほうが選択肢は広がります。逆に「転職の予定があるが借り換えたい」という場合は、転職する前に手続きを終えておくのが無難です。
勤続年数が短いときのポイントについては勤続年数と住宅ローンの記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
ケース2:健康状態が悪化して団信に入れない

借り換えでもっとも見落とされがちなのが健康状態です。民間の金融機関の住宅ローンは、団体信用生命保険(団信)への加入が原則必須となっています。団信は加入時に健康状態の告知が必要なため、借り換えのタイミングで持病がある・直近数年以内に入院や手術をした場合は、団信の審査に通らず借り換えできないことがあります。
ここが借り換え特有の落とし穴です。今のローンを契約したときは健康でも、数年後の借り換え時に健康状態が変わっていれば、あらためて団信の審査を受け直さなければなりません。
健康に不安がある場合には、次のような選択肢があります。
| 選択肢 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ワイド団信(引受基準緩和型) | 持病があっても加入できる可能性がある団信 | 取り扱う金融機関で金利が年0.2〜0.3%程度上乗せされるのが一般的(条件は各行で確認) |
| 【フラット35】 | 団信の加入は任意。健康上の理由で加入しない(できない)場合の金利は新機構団信付きの借入金利−0.2% | 万一への備えがなくなるため、別途の生命保険などで補う検討を |
| 借り換えをしない | 今のローンの団信を維持する | 多少金利が高くても、すでに入れている保障を手放さないほうが安心な場合もある |
借り換えでは金利だけでなく団信の保障内容を見直せるのもメリットですが、まずは「今の団信を失っても大丈夫か」を確認するのが先です。健康状態によっては、無理に借り換えず今のローンを続けたほうがよいケースもあります。
ケース3:過去に延滞など金融事故を起こしている

これは借り換えに限った話ではありませんが、住宅ローン・自動車ローン・カードローン・クレジットカードなどで長期の返済遅延(いわゆる金融事故)を起こし、その事実が信用情報機関に登録されている場合は、審査に通らず借り換えができません。
信用情報の登録期間の目安は、次のとおりです(2026年7月時点)。
| 信用情報機関 | 主な加盟先 | 延滞などの登録期間の目安 |
|---|---|---|
| CIC | クレジットカード会社・信販会社など | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| JICC | 消費者金融・信販会社など | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行・信用金庫など | 延滞等は契約終了日から5年/破産などの官報情報は決定日から7年 |
住宅ローンの借り換えでは銀行が加盟するKSCも照会されるため、「5年経てば必ず消える」と単純に考えず、実際にどう記録されているかを確認することが大切です。信用情報は本人が各機関に開示請求すれば確認できます(インターネットや郵送で申し込め、手数料は1,000円台が中心)。心当たりがある方は、申し込みの前に開示して確かめておくと、無駄な審査落ちを避けられます。
そして、うっかり見落としがちなのが「今まさに返済が遅れている」ケースです。現在返済中の住宅ローンや他のローンに延滞があると、借り換えの審査はまず通りません。返済が厳しい場合は、借り換えを模索する前に、まずは今の金融機関に相談して返済条件の変更(リスケジュール)を検討するほうが現実的です。生活費など他の支出の見直しも並行して進めましょう。
見落としがちな「借り換えができない・意味がない」ケース
ここまでの3つ以外にも、実務では次のような理由で借り換えが難しくなることがあります。「自分は大丈夫」と思っていた方ほど、つまずきやすいポイントです。
| ケース | なぜ問題になるのか | 考え方 |
|---|---|---|
| 担保評価が足りない(担保割れ) | 物件の担保評価額よりローン残高が多いと、借り換え先が全額を融資できないことがある | 不足分を自己資金で埋められるかを確認する |
| 他の借入が増えた | 自動車ローン・カードローン・奨学金などが増えると、年収に対する返済負担率が基準を超えることがある | 可能な範囲で他の借入を減らしてから申し込む |
| 収入が下がった | 当時より年収が下がると、同じ残高でも審査が厳しくなる | ペアローン・収入合算の見直しも含めて相談する |
| 完済時の年齢が上限を超える | 多くの金融機関は完済時年齢80歳未満などの条件を設けている(【フラット35】も同様) | 返済期間を短くすると毎月返済額は増える点に注意 |
| 残高・残期間が少ない | 借り換えには数十万円の諸費用がかかるため、削減できる利息より諸費用が上回る「諸費用倒れ」になることがある | 諸費用込みでシミュレーションし、得になるかを必ず確認する |
とくに最後の「諸費用倒れ」は、審査には通るのに借り換える意味がないという点で厄介です。借り換えには事務手数料・登記費用(抵当権の抹消と設定)・印紙税などがかかり、借入額3,000万円クラスなら数十万円になるのが一般的です。「金利が下がる=必ず得」ではないことは、覚えておいてください。
よくある質問(FAQ)
Q.借り換えの審査は、最初に借りたときより厳しいのですか?
基準そのものが特別に厳しいわけではありませんが、「当時と今で状況が変わっている」ぶん、通らなくなることがあります。転職・収入減・健康状態の変化・他の借入の増加などが典型です。最初に借りられたから今回も大丈夫、とは限らないと考えておきましょう。
Q.今の金融機関に「借り換えたい」と伝えても大丈夫ですか?
問題ありません。むしろ、今の金融機関に金利の引き下げを相談してみる(金利交渉)のもひとつの手です。借り換えほどの効果は期待できないこともありますが、諸費用をかけずに負担を減らせる可能性があります。「まず相談、それでも差が大きければ借り換え」という順番が現実的です。
Q.借り換えの審査に落ちたら、もう無理でしょうか?
いいえ。審査基準は金融機関ごとに違います。勤続年数を条件にしない銀行、【フラット35】のように勤続年数の要件がない商品、ワイド団信を扱う銀行など、選択肢は複数あります。ただし短期間に何件も申し込むと、申込情報が信用情報に残り不利に働くことがあるため、条件を整理してから絞って申し込みましょう。
Q.借り換え先はどう選べばいいですか?
金利の低さだけで選ばず、「金利+諸費用+団信の保障」の3点セットで比べるのがコツです。たとえばSBI新生銀行は、審査結果に問題がなければ保証料0円、一般団信の保険料も上乗せ0円、一部繰上返済手数料も0円と、費用の内訳がシンプルで総額を把握しやすいのが特徴です。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、初めて借り換えを検討する方には心強いでしょう。もちろん他行との比較のうえで、ご自身に合う1本を選んでください。
金利・手数料・団信の内容や審査基準は随時見直されます。最新の情報は、必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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