住宅ローンを契約する前に知っておきたい公的支援制度を紹介
2017年8月12日の記事で、住宅ローンを支払い中に地震で建物が倒壊した場合について、住宅ローンの残債はどうなるのかについて解説しました。地震で倒壊したことで住宅ローンの支払いがなくなるわけではありませんが、万が一の時を考えて、自然災害で建物に何かしらの被害が生じた場合に自治体などから公的制度を受けられます。
今回は、住宅ローンを契約する前に、万が一自然災害などで被災した場合に備えて、あらかじめ知っておきたい災害支援制度を紹介します。
各種公的支援制度を適用する場合に備えて
住宅ローンを支払い中に、建物に万が一のことがあったり、建物だけではなく人が死亡したりした場合、自治体などに問い合わせを行い、公的支援制度の適用申請を行う必要があります。
この様な公的支援制度があることを知らなければ制度を受けることはできません。そのため、被災したのに公的制度があることを知らずに、損をしてしまうという事態にならないためにも、あらかじめ、どの様な公的支援制度があるのかをしっかりと知っておくことが重要です。
いつ来るかわからない自然災害に備えて、公的支援制度を申請する場合に備えて、常に公的身分証明書を携帯しておくなど、いざという時に、本人確認できるようにしておくと良いでしょう。
被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度は、災害などで住宅の損害状況に応じて生活再建に備えて給付金を支給する公的支援制度です。給付金は、住宅の損害状況に応じて支払われる「基礎支援金」と住宅を再建する際に支払われる「加算支援金」があります。
基礎支援金
基礎支援金は、住宅の損害状況に応じて給付額が決定され、全壊の場合は100万円、半壊の場合は50万円支給されます。
加算支援金
加算支援金は、住宅を再建する方法に応じて給付額が決定され、再度住宅を購入し直す場合は200万円、既存の住宅を修理する場合は100万円、賃貸住宅を購入する場合は50万円支給されます。
被災者生活再建支援金については、お住いの都道府県もしくは市区町村に確認の上、手続きを行う必要があります。
災害支援復興融資
災害支援復興融資は、独立行政法人住宅金融支援機構が提供している支援制度で、災害によって住宅が損害を受け、住宅を再建する場合に最長35年間の固定金利で融資を行う制度です。
災害支援復興融資は、床面積13平方メートルから175平方メートル以下の住宅に対して、住宅を購入し直す場合と既存の住宅を修復する場合に活用できます。融資の申請は「罹災証明書」が必要です。
融資額は、「基礎融資額」が購入する場合は最大2620万円、修復する場合は720万円、中古住宅の購入が2320万円となっています。その他、「特別加算額」が510万円、「土地取得資金」が970万円、「整理資金」が440万円など、住宅の再建方法に応じて追加で必要な融資が受けられます。
災害援護資金
災害援護資金は、災害によって住宅が全壊もしくは半壊、家財に損害を受けた場合に、生活を再建するための資金を融資する制度です。融資の条件としては、以下3つのいずれかを満たしている必要があります。
1.世帯主が負傷し、治療などに1ヶ月以上を要する場合
2.家財が3分の1以上損害していること
3.住宅が全壊もしくは半壊していること
また、所得制限もあり前年度の総所得金額(控除前の金額)が1人世帯の場合は220万円以下、2人世帯は430万円以下、3人世帯は620万円以下、4人世帯は730万円以下、5人以上は730万円に1人あたり30万円を加算した額となっています。
貸付限度額は条件によって異なり、以下の通りに設定されています。
1.世帯主が負傷した場合
世帯主の負傷のみ:150万円
家財の3分の1以上損害:250万円
住宅の半壊:270万円
住宅の全壊:350万円
2.世帯主が負傷していない場合
家財の3分の1以上損害:150万円
住宅の半壊:170万円
住宅の全壊:250万円
住宅の滅失・流出:350万円
その他の公的支援制度
その他、住宅以外に死亡や大きな障害等が発生した場合についての公的支援制度についても合わせて紹介します。これらの支援制度を申請したい場合は、お住いの市区町村に確認の上、手続きを行います。
災害弔慰金
災害弔慰金は、災害によって死亡された遺族に対して支払われる給付金で、世帯主が死亡した場合は最大で500万円、世帯主以外が死亡した場合は最大250万円給付されます。
災害障害見舞金
災害障害見舞金は、災害によって身体に障害が生じた場合に給付されます。世帯主に障害が生じた場合は最大250万円、世帯主以外に障害が生じた場合は125万円以下が給付されます。
災害弔慰金と災害障害見舞金のいずれも市町村の条例の定めにより給付額が決定されます。
- 2017.08.19
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