- 公開日: 2026.09.23
- 更新日: 2026.09.25
- 住宅ローンQ&A
住宅ローンを滞納するとどうなる?督促から競売までの流れ

住宅ローンを滞納すると、まず金融機関から返済の遅れを知らせる書類や督促状が届き、返済がないままおおむね3〜6か月が過ぎると保証会社が残債を肩代わりする「代位弁済」へ進み、最終的には裁判所の手続きで住宅が競売にかけられます。
ただし、この流れは一本道ではありません。督促の段階なら返済条件の見直しを相談できますし、代位弁済のあとでも競売より有利になりやすい「任意売却」という道が残っています。滞納した後に何がどの順番で起こるのか、そして滞納しないための備えを、住宅ローンがはじめての方にもわかるように整理します。
金融機関は3ヶ月から6ヶ月程度は待ってもらえる

住宅ローンを滞納した場合、まずは郵送でローンの返済が滞っている旨が記載された書類や督促状などが自宅に届くことになります。
金融機関によっても異なりますが、督促状などの通知が届く期間はおおむね3ヶ月から6ヶ月程度です。督促状が届いている段階であれば、まだ猶予は残されています。この間に、支払いが困難になった旨を金融機関に相談するなど、何かしらの行動を起こすことが重要です。
督促を無視し続けると、自宅や職場への電話・訪問により状況を尋ねられることになります。連絡を避けるほど、金融機関は「返済の意思がない」と判断せざるを得なくなります。
「滞納してから」ではなく「苦しくなりそう」と感じた時点で相談する
ここで大切なのは、滞納してから相談するのではなく、「返済が苦しくなりそう」と感じた時点で早めに金融機関へ相談することです。多くの金融機関では、返済期間の延長や一定期間の返済額の引き下げなど、返済条件の変更(リスケジュール)の相談に応じています。
フラット35など住宅金融支援機構のローンにも、返済期間の延長やボーナス返済の取りやめといった返済方法変更のメニューが用意されており、申込先の金融機関を通じて相談する流れになっています(住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」)。早く動くほど、選べる手は多く残ります。
なお、返済が苦しくなる前に返済計画そのものを見直しておくことも有効です。子どもの教育費と重なる時期をどう乗り切るかは、住宅ローンは子どもの就職までを中間目標にする考え方の記事でも整理しています。
金融機関が定めた猶予を過ぎてもなおローンの返済が行われない場合は、金融機関は次のステップに進むことになります。
代位弁済予告通知が届き債権者が保証会社へ
金融機関が定めた猶予を過ぎても返済が行われなかった場合は、債務者に対して「代位弁済予告通知」が発送されます。この通知が、事実上最後の通知となります。
住宅ローンを契約する際、多くの場合、万が一返済が行われなかった場合に備えて保証会社との間で「保証委託契約」を結んでいます。金融機関はその契約に従って、保証会社に対して住宅ローンの残債を請求することになります。
また、住宅ローン契約時の金銭消費貸借契約書の「期限の利益の喪失」により、債務を分割で支払う権利がなくなってしまいます。毎月払いという約束そのものが失われる、という意味です。
保証会社が金融機関に対して債務者に代わって住宅ローンの残債を返済(代位弁済)すると、住宅ローンの債権は保証会社に移ります。以後、債務者は残債を一括で、遅延損害金(年14%程度に設定されていることが多く、契約により異なります)を加えて請求されることになります。
ミニ解説:代位弁済は「借金が消える」ことではありません
代位弁済と聞くと保証会社が肩代わりしてくれたように感じますが、返済先が金融機関から保証会社に変わるだけで、債務そのものが免除されるわけではありません。ここを誤解して放置すると、次の競売の段階へ一気に進みます。
裁判所が動き出し住宅が競売にかけられる

最終的に返済の見込みが立たなければ、裁判所の手続きにより、購入した住宅は競売にかけられることになります。その際は「担保不動産競売開始決定通知書」が届き、不動産登記には差押登記が行われます。
これは裁判所が公表している担保不動産競売の手続きどおりの流れで、開始決定が出ると裁判所書記官から法務局へ差押えの登記が嘱託され、債務者と所有者に開始決定の正本が送達されます(裁判所「担保不動産競売」)。
差押登記が行われると、住宅を自由に売却することはできなくなります。競売では市場価格より安く落札されることが多く、売却後も残債が残りやすいのが実情です。
そのため、住宅ローンの支払いが困難になったことが判明した時点で金融機関と相談を行い、どうしても支払えない場合は、競売よりも有利な条件で売却できる可能性のある「任意売却」を検討するのが現実的な選択肢となります。任意売却は債権者(金融機関・保証会社)の同意を得て市場で売却する方法で、競売に比べて市場価格に近い金額で売れる可能性があります。
滞納から競売までの5段階と、段階ごとにできること
ここまでの流れを、届く書類と「その時点でまだ打てる手」で並べると次のようになります。進み方の速さは金融機関や個別の事情によって大きく変わるため、時期は目安として読んでください。
| 段階 | 届く書類・起こること | この段階でできること |
|---|---|---|
| ①督促 | 返済遅延の通知・督促状が届き、電話や訪問で状況を確認されることもある | 金融機関へ相談し、返済期間の延長や一定期間の返済額引き下げを申し出る |
| ②代位弁済の予告 | 「代位弁済予告通知」が届く。事実上の最終通告 | 相談の余地はまだあるが選択肢は狭まる。任意売却も視野に入れる |
| ③代位弁済 | 保証会社が残債を肩代わりし、請求先が保証会社へ移る。期限の利益を失い残債は一括請求 | 保証会社と返済方法を協議する。任意売却に同意を得られるか確認する |
| ④競売の申立て・差押え | 裁判所が担保不動産競売開始決定を出し、登記簿に差押えの登記がされる | 入札が始まる前であれば任意売却が成立する余地が残る |
| ⑤売却・引き渡し | 入札で落札者が決まり、代金の納付とともに住宅の所有権を失う | 住み替え先の確保など、生活の立て直しに動く |
表を見てわかるとおり、打てる手がいちばん多いのは①の段階です。段階が進むほど、選べるのは「どう手放すか」だけになっていきます。
滞納という最悪の事態にならないために
念願のマイホームを手に入れたものの、さまざまな要因で住宅ローンの返済ができなくなり、夢が悪夢に変わってしまうことがあります。
「将来給与が上がるから大丈夫」といった楽観論は捨てること
住宅ローンの返済が困難になる要因を解説した記事で記載していますが、収入の減少や多重債務、借りすぎ、離婚など、さまざまな要因で住宅ローンの返済が困難になる可能性は誰にでもあります。
多重債務や借りすぎは事前にご自身でコントロールできる範囲ですが、収入減少や離婚など、将来何が起こるかは誰にも予測できません。
「長く働けば給与が上がる」と楽観的に考えてしまいがちですが、景気や勤務先の業績は変化しますし、変動金利で借りている場合は金利の上昇によって毎月の返済額が増える可能性もあります。楽観的な前提ではなく、収入が増えない場合や支出が増えた場合でも返済を続けられるかという視点で計画を立てることが大切です。
確実に返済できる計画を立てる
過去のように「安定した企業で働き続ければ住宅ローンは返済できる」と楽観視して多額の住宅ローンを借り入れるのではなく、頭金について解説した記事で記載したように、返済額は年収の25%以下を目安に設定し、状況に応じて頭金を多めに用意しておくなど、無理のない計画を立てることが何より重要です。
万一のときに残された家族の返済がどうなるかは、団信の保障範囲で決まります。病気や死亡で住宅ローンの返済が免除されるのはどんなときかも、借りる前に確認しておきたいポイントです。
借入先選びの段階で「返済の柔軟性」まで見ておく
借入先を選ぶ段階で、諸費用や返済の柔軟性まで含めて比較しておくことも滞納の予防につながります。手元に余裕があるときに少しずつ繰上返済しておけば、その後の返済負担をあらかじめ軽くできるためです。
たとえばSBI新生銀行は保証料が原則0円で、一部繰上返済・全額繰上返済の手数料も原則0円とされており(2026年9月時点・SBI新生銀行 公式「住宅ローンの手数料・諸費用」)、家計に余裕がある月にこまめに繰上返済する、といった使い方がしやすい設計になっています。審査結果によっては保証会社の保証を付す提案がある点も含め、条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
滞納は信用情報にも記録が残る
返済の遅れや代位弁済は、銀行系の個人信用情報機関である全国銀行個人信用情報センターにも登録されます。同センターの案内では、返済区分(延滞など)を含む取引情報は契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間登録されるとされています(全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター センターの概要」)。
記録が残っている間は、自動車ローンやクレジットカード、住宅ローンの借り換え審査にも影響しうるということです。うっかりの残高不足であっても、気づいた時点ですぐ連絡するほうが結果的に軽く済みます。
住宅ローンの滞納に関するよくある質問(FAQ)
Q. 1回だけうっかり引き落とせなかった場合も競売になりますか?
A. 1回の滞納で直ちに競売になることはありません。ただし遅れが続くと信用情報に記録される場合があるため、残高不足に気づいた時点ですぐ金融機関へ連絡し、指示された方法で入金してください。
Q. 住宅ローンが払えそうにないとき、最初にどこへ相談すればよいですか?
A. まずは借入先の金融機関の窓口です。返済期間の延長や一定期間の返済額軽減に応じてもらえる場合があります。フラット35なら取扱金融機関を通じて住宅金融支援機構の返済方法変更メニューを相談できます。
Q. 代位弁済の通知が届いた後でも任意売却はできますか?
A. 債権者(保証会社)の同意が得られれば可能な場合があります。ただし競売の入札が始まると時間的な制約が強まるため、通知を受け取った時点で早めに相談することが現実的です。
Q. 住宅ローンの滞納は信用情報にどのくらい残りますか?
A. 全国銀行個人信用情報センターでは、延滞などの返済区分を含む取引情報が契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間登録されると案内されています。登録期間の経過後は自動的に削除されます。
Q. 任意売却と競売はどちらが有利ですか?
A. 一般には、市場価格に近い金額で売却できる可能性のある任意売却のほうが残債を減らしやすいとされています。ただし債権者の同意が必要で、できるだけ早い段階で動くことが重要です。
住宅ローンは長く付き合うものだからこそ、「借りる前の無理のない計画」と「苦しくなったときの早めの相談」が何よりの備えになります。督促状が届いてからでも、動けば選べる道はまだ残っています。

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