住宅ローンのペアローンのメリットとデメリットを解説
前回の記事では、住宅ローンを利用する際におけるペアローンの概要について解説しました。夫婦の収入を合算して2人で返済していく必要があることから、1人の収入だけでは届きにくかった物件が手に入れることができます。ただ、一般的な住宅ローンとはことなり、メリットとデメリットをしっかり明確にした上でペアローンを利用するかを判断することが重要となります。
今回は住宅ローンのペアローンを利用する場合におけるメリットとデメリットを解説します。
ペアローンとは?
ペアローンについて簡単に概要を振り返ってみます。詳しい内容については2018年9月24日の記事で解説していますが、住宅ローンを借り入れるときにペアで住宅ローンを借りるもので、夫婦それぞれの収入を合算して借入可能額を算出して、それぞれが返済をしていく必要があります。
住宅の持分比率は負担率等によって決めることができる他、互いに連帯保証人になる必要があります。また、団体信用生命保険や住宅ローン控除が夫婦別々に適用することができます。
ペアローンのメリット
ペアローンを利用して、住宅ローンを借り入れるメリットは主に以下2つがあります。
2人の収入をあわせることが借入可能額が増える
ペアローンの最大のメリットとしては、2人の収入を合わせることで借入可能額が増えることです。住宅ローンを借りる場合、年間の収入に応じて借入可能額が決定されます。
住宅支援機構のフラット35であれば、年間収入が400万円未満の場合は年間収入に対して30%以内、年間収入が400万円以上であれば35%以内に返済負担率を収めるようになっています。
例えば、年間収入が400万円であれば最大の返済可能額としては140万円となり、住宅ローンの毎月の返済額に換算すると約11万円程度となります。
そこで、ペアローンを利用して夫婦の収入を合算した場合、夫の収入が400万円、妻の収入が250万円であれば、合算した年間収入は650万円となり、年間の最大返済可能額は228万円となりますので、借入可能額が増え、1人の収入だけでは届きにくかった物件を手に入れることも可能になるわけです。
住宅ローン控除を一つの物件につきダブルで受けられる
ペアローンのもう一つのメリットとしては、一つの物件に対して住宅ローン控除をダブルで適用できる点です。夫婦それぞれの収入に対して課税された所得税を最長10年間一定額控除することが可能になります。
住宅ローン控除についての詳細は2018年2月10日の記事で詳しく解説していますが、住宅ローンの借入額に応じて課税された所得税を最長10年間にわたり控除する制度です。住宅ローン控除を提供するには、床面積が50平方メートル以上であることと居住目的の住宅であるなど一定の要件を満たしている必要があります。
ペアローンのデメリット
ペアローンは、2人の収入を合算して住宅を購入できるとことから一見すると魅力的な商品であると思われますが、デメリットも多くあります。
家計に対する返済額が増えてしまう
ペアローンの大きなメリットとしては、家計に対する返済負担額が増えてしまうことです。夫婦お互いの収入を合算して一回り購入額が大きい物件を手に入れることができるメリットがある一方で、その分返済負担額は大きくなりますので、今後のライフイベントなどをしっかりと吟味して物件購入額を検討する必要があります。
お互いに連帯保証人になる必要がある
ペアローンは、お互いに連帯保証人になる必要がありますので注意が必要です。
連帯保証人については2018年8月13日の記事で詳しい内容を記載していますが、債務者が返済不能になった場合、債権者より連帯保証人に返還請求が来ます。連帯保証人になった場合は単純な保証人とは異なり、理由の如何を問わず返還請求が来た場合は返済に応じる必要があります。
団体信用生命保険が片方のみしか適用できない
ペアローンは、夫婦がそれぞれ別々に団体信用生命保険(団信)に加入することになります。そのため、一つの物件に対してダブルで団信に加入できることになりますが、どちらか一方が死亡や高度障害状態となった場合、片方のみしか団信が適用できず、住宅ローンを完全に精算できるわけではありません。
例えば、夫が死亡した場合、夫の返済分については団信で精算できますが、妻の返済分については団信は適用できませんので、引き続き返済をしていく必要があります。
万が一離婚した場合の手続きが面倒になる
ペアローンは、万が一離婚した場合の手続きが面倒になります。離婚について詳しい内容は別途記事にして解説していきたいと思いますが、先程の連帯保証人の問題で、どちらか一方が返済しなくなった場合のリスクや、連帯保証人の外す場合には債権者(金融機関)の許可が必要になるなど、離婚を予定していてもお互いがしっかりと話し合って手続きを進めていく必要があることから、時間と労力が必要になります。
- 2018.09.28
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