- 公開日: 2026.07.12
- 住宅購入の基礎知識
住宅購入の初期費用は何がある?項目別に税金・手数料をやさしく解説

住宅を購入するときは、物件価格だけを見て資金計画を立ててしまいがちです。ところが実際には、手続きにかかる手数料や税金など、物件価格とは別に「初期費用(諸費用)」がかかります。ここを見落としたために、いざ契約という段階で現金が足りず購入をあきらめてしまう…というのは、初めて住宅を買う方に本当によくあるつまずきです。
そこで今回は、住宅を買うときに物件価格とは別に発生する初期費用を、項目別にやさしく整理します。「いつ・何に・いくらくらい必要なのか」がイメージできるようになれば、資金計画はぐっと立てやすくなりますよ。
住宅を購入する前に発生する初期費用一覧
住宅を購入するときにまず思い浮かぶのは「頭金」だと思います。ただ、頭金以外にも、手続きを進めるうえで最低限必要になる初期費用があります。代表的なものは次のとおりです。
1.頭金
2.申込証拠金
3.手付金
4.仲介手数料
5.印紙税
6.不動産取得税
7.登録免許税
8.司法書士への報酬(登記手続きを依頼する場合)
9.固定資産税・都市計画税(引渡し以降の分を売主と精算)
また、マンションなど集合住宅を購入する場合は、上記に加えて、共用部の修繕に充てる「修繕積立金」、共用部の管理に必要となる「管理費」、自動車をお持ちの場合は「駐車場代」が毎月かかります(購入時に修繕積立基金などの一時金を求められることもあります)。
さらに、住宅ローンを利用して購入する場合は、ローン契約書に貼る「印紙税」、借入時の「事務手数料」「ローン保証料」「団体信用生命保険料(団信)」、そして引渡しまでに加入する「火災保険料」も必要になります。
ポイントは、これらの多くが「住宅ローンが実行される前に、現金で支払う場面がある」ということです。物件価格のことばかり考えていると足元をすくわれます。まずは「何に、いつ、いくら」を押さえていきましょう。
住宅購入手続きに必要な手数料

住宅を購入する手続きのなかで必要となる費用を、ひとつずつ見ていきましょう。
1.頭金
頭金は、物件価格のうち住宅ローンで借りずに自己資金から支払う部分のことです。頭金を入れると借入額が減るため、毎月の返済額や利息の総額を抑えられます。
よく「頭金は◯百万円ないと家は買えない」と言われますが、現在は頭金なし(フルローン)で借りられる住宅ローンも珍しくありません。むしろ意識したいのは、「融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超えると金利が高くなる商品がある」という点です。たとえば全期間固定の【フラット35】は、融資率9割以下と9割超で借入金利が分かれており、9割以下のほうが低い金利になります(2026年7月・新機構団信付き、返済期間21年以上35年以下の最も多い金利は年3.140%)。
つまり、「物件価格の1割程度+諸費用」を目安に自己資金を用意できると、選べる金利が有利になりやすいということです。一方で、手元の預貯金をすべて頭金に回してしまうと、引越し費用や家具家電、万一の出費に対応できません。生活防衛資金(生活費の半年分程度)は必ず残す——これが安全な資金計画の基本です。最新の金利や融資率の条件は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。
頭金についての詳細は、住宅ローンの頭金の考え方をまとめた記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
2.申込証拠金
申込証拠金は、購入したい物件が見つかったときに、売主に対して購入意思を示すために支払うお金です。金額の目安は数万円〜10万円程度で、購入に進めば手付金や物件価格の一部に充当され、申込みを取りやめた場合は原則として返還されます(不要としている売主・不動産会社も多くあります)。取扱いは契約前に必ず書面で確認しておきましょう。
3.手付金
手付金は、売買契約を締結するときに買主から売主へ支払うお金です。契約後に買主の都合でキャンセルする場合は手付金を放棄する(売主都合なら手付金の倍額を返す)という「解約手付」の性格を持つのが一般的です。金額の目安は物件価格の5%〜10%程度で、売買契約時に現金(または振込)で用意する必要がある、初期費用のなかで最も大きな山場になります。
なお、手付金は物件価格の一部に充当されるため、消えてなくなるお金ではありません(引渡し時の残代金から差し引かれます)。手付金についての詳細は手付金の役割と相場を解説した記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
4.仲介手数料
仲介手数料は、新築の建売住宅や中古住宅を不動産会社の仲介で購入する場合に、仲介業務の対価として不動産会社に支払うものです。宅地建物取引業法で上限が決まっており、売買価格が400万円を超える場合の上限は次の速算式で計算します。
仲介手数料の上限=(売買価格×3%+6万円)+消費税
たとえば3,000万円の物件なら、(3,000万円×3%+6万円)=96万円、これに消費税10%を加えた105万6,000円(税込)が上限です。原文で「3%+6万円」とだけ覚えていると消費税分を見落としますので注意してください。
また、2024年7月1日からは「低廉な空家等の媒介の特例」が始まり、売買価格が800万円以下の宅地・建物については、上限が33万円(税込)までとされました(あらかじめ媒介契約時に説明・合意することが条件)。空き家や低価格帯の中古を検討する方は、この点も知っておくと安心です。
なお、これはあくまで「上限」であって定額ではありません。売主から直接購入する新築分譲(売主物件)では仲介手数料がかからないケースもあります。
仲介手数料についての詳細は仲介手数料の計算方法を解説した記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
住宅を購入する上で支払う各種税金

手数料のほかに、不動産の取得や登記にともなう税金がかかります。ここは「本則の税率」と「軽減措置が適用された税率」で金額が大きく変わるのがポイントです。数字が並びますが、ひとつずつ噛み砕いていきますね。
1.印紙税
印紙税は、売買契約書などに収入印紙を貼って納める税金です。契約金額によって税額が決まりますが、不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置があり、契約金額1,000万円超5,000万円以下の売買契約書は、本則2万円のところ軽減後1万円です(2027年3月31日までに作成される契約書が対象/国税庁)。
一方で、住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)は軽減措置の対象外で、借入額1,000万円超5,000万円以下なら2万円がかかります。「売買契約書=1万円」「ローン契約書=2万円」と、別々にかかる点を押さえておきましょう。
2.不動産取得税
不動産を取得したときに、一度だけ都道府県に納める税金です。本則の税率は4%ですが、土地と住宅については税率3%に軽減されています(2027年3月31日までの取得)。
さらに、宅地は課税標準(固定資産税評価額)が2分の1になり、新築住宅では課税標準から1,200万円が控除されます(中古住宅は建築時期に応じた額を控除)。土地についても軽減額を差し引く仕組みがあるため、一般的なマイホームでは、計算の結果として税額が0円になることも珍しくありません。「4%」という数字だけを見て怖がる必要はありませんが、軽減の適用には申告が必要な自治体もあるため、取得後に届く案内を必ず確認してください。
3.登録免許税
登録免許税は、不動産の登記を行うときに国に納める税金です。土地・建物の所有権の登記や、住宅ローンの抵当権設定登記のときに必要になります。自己居住用など一定の要件を満たす住宅には軽減税率があり、おおよそ次のとおりです(2026年7月時点)。
| 登記の種類 | 本則の税率 | 軽減後の税率(要件あり) |
|---|---|---|
| 土地の所有権移転(売買) | 2.0% | 1.5% |
| 新築住宅の所有権保存 | 0.4% | 0.15% |
| 中古住宅の所有権移転 | 2.0% | 0.3% |
| 住宅ローンの抵当権設定 | 0.4%(債権額に対して) | 0.1% |
住宅用家屋の軽減措置は2027年3月31日まで、土地の売買による所有権移転登記の軽減(1.5%)は2029年3月31日まで(令和8年度税制改正で3年延長)とされています。適用には床面積50㎡以上・取得後1年以内の登記などの要件があり、市区町村の証明書が必要です。登記は司法書士に依頼するのが一般的で、その報酬(数万円〜十数万円程度)も別途かかります。
4.固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税は、購入後に毎年かかる税金です。固定資産税は、3年に1度評価替えされる固定資産税評価額を課税標準として、標準税率1.4%を乗じた金額。都市計画税は、同じく固定資産税評価額に対して0.3%(制限税率=上限)を乗じた金額で、市街化区域内の不動産にかかります。税率は市区町村によって異なる場合があります。
購入時には、引渡し日を境に、その年の税額を売主と日割りで精算するのが一般的です(=引渡し時に現金で支払う初期費用のひとつになります)。新築住宅には一定期間、固定資産税が減額される特例もあります。
固定資産税と都市計画税の詳細については購入後にかかる税金を解説した記事で、印紙税と不動産取得税、登録免許税についての詳細は購入時にかかる税金を解説した記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
初期費用は「いつ」支払う?タイミング早見表
初心者の方がいちばんつまずくのは、金額そのものより「支払うタイミング」です。住宅ローンのお金が入るのは引渡しの当日。それより前に必要になる現金がある、というのが要注意ポイントです。
| タイミング | 主な費用 | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 購入申込み時 | 申込証拠金 | 数万円〜10万円程度。不要な場合も多い |
| 売買契約時 | 手付金、印紙税(売買契約書)、仲介手数料の半金 | 現金の山場。ローン実行前なので自己資金が必要 |
| ローン契約時 | 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 電子契約なら印紙税が不要になる金融機関も |
| 引渡し・決済時 | 残代金、事務手数料、保証料、登録免許税、司法書士報酬、火災保険料、固定資産税等の精算金、仲介手数料の残金 | ローン実行と同時に精算するのが一般的 |
| 入居後(半年〜1年後) | 不動産取得税 | 納税通知書が届いてから納付。軽減で0円になることも |
「契約時に必要な現金(手付金+印紙税+仲介手数料の一部)」を先に確保する——これが最初の一歩です。
住宅ローンを組むときにかかる費用
物件そのものとは別に、住宅ローンを借りること自体にかかる費用があります。金利ばかりに目が向きがちですが、ここは総支払額に効いてくる大事な比較ポイントです。
- 事務手数料(融資手数料)…借入金額×2.20%(税込)の「定率型」と、数万円程度の「定額型」があります。定率型は3,000万円の借入なら66万円(税込)と大きな金額になります。
- 保証料…保証会社を利用する場合にかかります。借入時に一括で払う方式(外枠)と、金利に上乗せする方式(内枠・年0.2%程度が目安)があります。保証料0円の金融機関も増えています。
- 団体信用生命保険料(団信)…一般団信は金利に含まれ、上乗せ0円が主流です。がん保障や全疾病保障を付ける場合は、金利上乗せが必要な商品もあります。
- 火災保険料…住宅ローン利用時は加入が必須なのが一般的。補償内容や期間で大きく変わります。
たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、事務取扱手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型である一方、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の上乗せ0円と、費用の内訳がシンプルで見通しを立てやすいのが特徴です。店舗での相談とオンラインでの手続きの両方に対応しているので、「初めてで不安だから一度相談したい」という方にとっても検討しやすい選択肢のひとつでしょう(最新の金利・手数料・保障内容は公式サイトでご確認ください)。
なお、諸費用をまとめて借りられる「諸費用ローン」や、諸費用込みで借りられる住宅ローンもあります。手元の現金は温存できますが、借入額が増えるぶん利息の総額も増え、審査も厳しくなりがちです。使うなら「どうしても足りない分だけ」に留めるのが安全です。
よくある質問(FAQ)
Q. 諸費用は結局どのくらい見ておけばいいですか?
物件の種類(新築・中古、戸建て・マンション)や借入額、選ぶ住宅ローンによって大きく変わります。中古住宅は仲介手数料がかかるぶん、諸費用は膨らみやすいのが一般的です。「◯%」と一律に決めつけず、検討中の物件で見積もり(諸費用概算表)を出してもらうのが確実です。不動産会社に依頼すれば作成してもらえます。
Q. 頭金ゼロでも住宅は購入できますか?
購入できる場合があります。ただし、頭金がゼロでも「諸費用」は別に必要という点を忘れないでください。また、融資率が9割を超えると金利が高くなる商品もあるため、総支払額では不利になることがあります。
Q. 申込証拠金や手付金は返ってきますか?
申込証拠金は、申込みを撤回した場合には原則として返還されます。一方で、手付金は契約後に自己都合でキャンセルすると戻りません(手付放棄)。ただし、住宅ローンの審査に通らなかった場合に契約を白紙に戻して手付金が返還される「住宅ローン特約(融資特約)」が付いているのが一般的です。契約前に必ず有無と期限を確認しましょう。
Q. 印紙税を節約する方法はありますか?
住宅ローンの契約を電子契約にすると、印紙税がかからない金融機関があります(そのかわり電子契約手数料がかかる場合もあります)。売買契約書についても、電子契約に対応する不動産会社が増えています。
Q. 金利が上がっている今、初期費用の考え方は変わりますか?
住宅ローン金利は上昇局面にあります(【フラット35】の2026年7月の金利は年3.140%=融資率9割以下・新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下の最も多い金利)。金利が上がるほど「借入額を抑える=自己資金を入れる」効果は大きくなります。ただし前述のとおり、手元資金を使い切るのは危険です。「頭金」と「諸費用」と「生活防衛資金」の3つに分けて考えるのが、失敗しないコツです。
まとめ
住宅購入の初期費用は、①手続きの手数料(申込証拠金・手付金・仲介手数料)②税金(印紙税・不動産取得税・登録免許税・固定資産税等)③住宅ローン関連(事務手数料・保証料・団信・火災保険)の3つに整理できます。多くの税金には軽減措置があり、思ったより負担が軽くなるケースもあります。
まずは「契約時に現金でいくら要るのか」を把握すること。そのうえで、金利だけでなく諸費用も含めた総額で住宅ローンを比較していきましょう。最新の税率・軽減措置の適用期限・各金融機関の手数料は、国税庁や各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

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