火災保険を受け取った場合は課税対象なのか?確定申告の必要有無を解説
人生の中で最も高い買い物である住宅ですが、多くの方が住宅ローンを利用して購入資金を金融機関より借り入れた上で購入します。ただし、一番大きいリスクとして火事や自然災害で住宅が壊れてしまいローンだけが残ってしまうことです。昨年の2018年は自然災害が多い年であったこともあり大なり小なり火災保険を利用された経験もある方はいらっしゃるかと思いますが、今回は火災保険を受け取る場合、税金は課税されるのかについて解説します。
火災保険は火事の他、台風や洪水など幅広いリスクに対応
火災保険は、現在ではほとんどの住宅ローン商品では加入が義務付けられています。住宅はローンで長期間に渡り返済をし続けていきますが、その間火事や自然災害で破損する可能性は高く、保険に加入しなかった場合、ローンだけが残ってしまうことになります。
実際に、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、津波で住宅が破損したことで、ローンだけが残ってしまい、震災後新たな新居を購入する際に契約した住宅ローンと合わせて、二重にローンの支払いを行うことになった方も多くいらっしゃいます。
火災保険では、2017年8月16日の記事で詳しく解説していますが、一般的な火事の他に、台風や洪水、落雷、雹、水漏れ、飛来、衝突、騒じょう被害、家財破損、爆発事故、盗難被害と幅広いリスクに対応しています。ただし、先程記載した地震や津波に関しては別途地震保険に加入する必要があります。
地震保険についての詳細は2017年8月12日に記載した記事を合わせてご覧ください。
火災保険の受け取りは非課税で確定申告は不要
火災保険は、住宅に関わる幅広いリスクに対応していますが、大なり小なり火災保険を受け取った場合は、結論をお伝えすると非課税となります。
火災保険の受け取りは、所得や利益に該当するものではなく、あくまでも発生した損害に対して金銭的に補填しているものになりますので、税金は課税されません。
そのため、火災保険で補填された被害の内容が、支払われた金額内で済むのであれば確定申告も必要ありません。
また、中には火災保険の契約者と実際に受け取る方が異なる場合もあるかと思いますが、契約者と受取人が異なっていても相続税や贈与税は発生しませんのでご安心ください。
修繕費が火災保険金額を上回れば雑損控除が適用できる
住宅で何かしらの事故が発生し、火災保険が支払われたが、修繕するのに費用が予想以上に高くなってしまい、保険金額より支払うお金が上回ってしまう場合もあるかと思います。
このような状況になった場合は、「雑損控除」が適用できます。
雑損控除とは、災害や盗難、横領などによってご自身の資産に対して何かしらの損害を受けた場合において、年間の所得から一定額を控除することで支払う税金を抑えるできる税優遇制度です。
雑損控除の適用については、震災、風水害、冷害、雪害、落雷、火災、爆発、害虫被害、盗難、横領となっています。ただし、詐欺や恐喝などの場合は、被害者にも否がありますので適用はできません。
雑損控除の適用金額は以下の(1)もしくは(2)のいずれかの多い額となります。
(1) 差引損失額-総所得金額等×10%
(2) 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
雑損控除を適用する場合は、確定申告が必要になりますので、損害が発生した年の翌年3月15日までに確定申告書を税務署に提出する必要があります。確定申告書の記入は国税庁の確定申告書作成コーナーにて利用できます。
火災保険は満額受け取れば契約終了となる
火災保険は、住宅の一部に損害を受けて修繕を行うという程度が大半であることが多いかと思いますが、中には、火事が予想以上に大きく全壊してしまったような状況になり、保険会社側で全壊という判断がされた場合、保険金は満額支払われることになります。
保険金が満額支払われた場合は、火災保険は支払われた時点で契約が終了となります。新たに新居を購入するというタイミングで新たに火災保険の契約を行う必要があります。
ただし、一部だけが火災の被害があったなどであれば、火災保険の金額は被害額に応じて支払われることになります。その場合は、保険金額に対して一部の金額が支払われることになりますので、引き続き、契約時と同じ保険内容で契約は継続されます。そのため、新たに契約を見直すといった作業は不要です。
- 2019.01.07
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