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火災保険金は課税対象?確定申告の要否と雑損控除をやさしく解説

人生の中で最も高い買い物といわれる住宅。多くの方が住宅ローンを利用して購入しますが、いちばん大きなリスクは、火事や自然災害で住宅が壊れてしまい、ローンだけが残ってしまうことです。近年は台風や豪雨、地震などの自然災害が全国で相次いでおり、火災保険を請求した経験のある方も少なくないと思います。そこで今回は、火災保険の保険金を受け取った場合に税金はかかるのか、確定申告は必要なのかについて、初めての方にもわかりやすく解説します。

火災保険は火事の他、台風や洪水など幅広いリスクに対応

火災保険は、現在ではほとんどの住宅ローンで加入が求められています。住宅ローンは長期間にわたって返済を続けていくものですが、その間に火事や自然災害で住宅が破損する可能性は決して小さくなく、保険に入っていなければ「住まいを失ったのにローンだけが残る」ことになりかねません。

実際に、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、津波で住宅が失われてローンだけが残り、その後新居を購入する際の住宅ローンと合わせて二重ローンを抱えることになった方も多くいらっしゃいました。

火災保険についてはこちらの記事で詳しく解説していますが、一般的な火事のほか、台風や洪水、落雷、雹、水漏れ、飛来物、衝突、騒じょう被害、家財破損、爆発事故、盗難被害と幅広いリスクに対応しています。ただし、地震や津波・噴火による損害は火災保険では補償されず、別途地震保険に加入する必要があります。

地震保険の詳細はこちらの記事もあわせてご覧ください。

火災保険の受け取りは非課税で確定申告は不要

火災保険は住宅にかかわる幅広いリスクに対応していますが、保険金を受け取った場合、結論からお伝えすると非課税です(所得税法施行令第30条)。

火災保険の保険金は、所得や利益に当たるものではなく、あくまでも発生した損害を金銭的に穴埋め(補填)するものだからです。もうけが出ているわけではないので、所得税はかかりません。

そのため、受け取った保険金で損害の修繕がまかなえるのであれば、確定申告も必要ありません。

また、火災保険の保険金は損害を受けた資産の持ち主に支払われる損害の補填なので、原則として相続税や贈与税の対象にもなりません。契約者と受取人の名義が気になる場合も、基本的にはご安心ください(個別のケースで不安があれば税務署に確認すると確実です)。

保険金で足りない損害が残れば「雑損控除」が使える

住宅で事故や災害が発生して火災保険が支払われたものの、修繕費用が予想以上に高くなり、保険金だけではまかないきれないケースもあります。

このように保険金を差し引いてもなお損害が残った場合は、「雑損控除」が適用できます。

雑損控除とは、災害や盗難、横領によって生活に必要な資産(住宅・家財など)に損害を受けた場合に、年間の所得から一定額を控除して税負担を軽くできる制度です。

対象となるのは、震災、風水害、冷害、雪害、落雷、火災、爆発、害虫被害、盗難、横領などによる損害です。ただし、詐欺や恐喝による被害には適用されません。

控除額は、次の(1)(2)のいずれか多いほうの金額です(国税庁タックスアンサーNo.1110)。

(1) 差引損失額-総所得金額等×10%
(2) 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

※「差引損失額」とは、損害金額と災害等関連支出の合計から、受け取った保険金の額を差し引いた金額です。保険金で全額補填された場合は控除の対象になりません。

雑損控除を適用するには確定申告が必要です。損害が発生した年の翌年、原則2月16日〜3月15日の確定申告期間に申告します。申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。

なお、損失額が大きくてその年の所得から控除しきれない場合は、翌年以後3年間(東日本大震災または2023年4月1日以後に発生する特定非常災害による損失は5年間)繰り越して控除できます。また、その年の所得金額の合計が1,000万円以下の方が災害にあった場合は、雑損控除の代わりに災害減免法による所得税の軽減免除を選ぶこともでき、有利なほうを選択できます。

火災保険は満額受け取れば契約終了となる

火災保険の利用は、住宅の一部の損害を修繕する程度で済むことが大半ですが、なかには火事の被害が大きく、保険会社に全損(全焼・全壊)と判断されるケースもあります。この場合、保険金は満額支払われることになります。

保険金が満額支払われた場合は、その時点で火災保険の契約は終了となります。新居を購入・再建するタイミングで、あらためて火災保険を契約し直す必要があります。

一方、一部だけの損害であれば、保険金は被害額に応じて支払われ、契約は同じ内容のまま継続されます。この場合、契約を結び直す手続きは不要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 保険金を受け取って、実際には修理しなかった場合も非課税ですか?

A. 個人が自宅の損害に対して受け取る火災保険金は、修理したかどうかにかかわらず損害の補填として非課税です。ただし、賃貸経営など事業用の資産にかかる保険金は税務上の扱いが異なる場合があります。事業用の物件をお持ちの方は税務署や税理士に確認しましょう。

Q. 火災保険料や地震保険料は、税金の控除の対象になりますか?

A. 火災保険料そのものは所得控除の対象外ですが、地震保険料は「地震保険料控除」の対象で、所得税では最高5万円が所得から控除されます。年末調整や確定申告で忘れずに申告しましょう。

Q. 雑損控除の申告には何が必要ですか?

A. 確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するほか、災害関連支出(取り壊しや後片付けの費用など)の領収書の添付または提示が必要です。り災証明書や保険金の支払通知など、損害額と補填額がわかる書類も手元にそろえておくとスムーズです。

※本記事は2026年7月時点の税制にもとづいています。制度の内容は改正されることがありますので、最新の情報は国税庁ホームページ等でご確認ください。

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