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失業で住宅ローンが払えないときの対処法|滞納前にやるべき3ステップ

住宅は高額な買い物であるだけに、多くの方が金融機関から融資を受けて購入します。毎月一定額を返し続けていく必要があるため、金融機関は融資の前に返済能力を審査します。

とはいえ、人生には想定外のことが起こります。勤務先の業績悪化やリストラ、病気やケガによる休職——失業や収入減で住宅ローンの返済が難しくなる可能性は、誰にでもあります。

そこで今回は、失業して住宅ローンの返済が苦しくなったときに、どう動けばよいかを、順番に沿ってやさしく解説します。大切なのは「早めに手を打つこと」。滞納してから動くのでは、選べる手段がぐっと減ってしまいます。

まず知っておきたい:滞納するとどうなるのか

最初に、いちばん怖いシナリオを共有しておきます。「黙っていればなんとかなる」——これが最も危険な判断だからです。

住宅ローンを滞納した場合の記事でも解説しているとおり、返済が滞ったまま放置すると、一般的には次のような流れをたどります。

段階 起こること この時点でできること
滞納1〜2か月 金融機関から督促の連絡・書面が届く ここで相談すれば、返済方法の変更に応じてもらえる可能性が高い
滞納3〜6か月ごろ 期限の利益を喪失(分割で返す権利を失い、残高の一括返済を求められる) 選べる手段が急速に狭まる
その後 保証会社が代位弁済し、請求先が保証会社に移る。任意売却や競売の手続きへ 住まいを手放す前提の話になってしまう

期間は金融機関や状況によって異なりますが、「滞納する前に相談する」のと「滞納してから相談する」のとでは、取れる選択肢の幅がまったく違います。返済が厳しいと感じた時点で、迷わず動き出しましょう。

ステップ1:公的な給付を確保する(雇用保険の基本手当)

失業したら、まず雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)の手続きを行います。離職票が届いたら、できるだけ早くハローワークで求職の申し込みをしてください。

ここで知っておきたいのが、2025年(令和7年)4月1日以降に退職した方は、自己都合退職の給付制限が原則1か月に短縮されたという点です(それ以前の退職は原則2か月。厚生労働省)。さらに、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合は、給付制限が解除される制度も設けられています。

離職の理由 基本手当が始まるまで ポイント
倒産・解雇など(会社都合) 7日間の待期期間のあと支給開始 給付制限なし。所定給付日数も長くなる傾向
自己都合(2025年4月1日以降の退職) 待期7日+給付制限 原則1か月 5年間に2回以上の自己都合退職などの場合は3か月
自己都合+教育訓練を受講 給付制限が解除される場合がある 要件はハローワークで確認を

基本手当の日額は離職前の賃金や年齢によって決まり、以前の給与がそのまま補償されるわけではありません。「いくら・いつから・何日間もらえるのか」を早い段階で把握し、その前提で家計を組み直すことが第一歩です。

ステップ2:貯蓄・資産・家計の見直しでしのぐ

次に、手元の資金と家計を点検します。次の就職先が決まるまでの「つなぎ」をどう作るかが課題です。

貯蓄を取り崩す……もっとも基本的な手段です。ただし住宅ローンだけでなく生活費も必要なので、何か月分を確保できるかを必ず計算してから使いましょう。
有価証券などを売却する……相場の状況にもよります。損失が出る場合もあるため、他の手段と比べたうえで判断を。
配偶者の収入を一時的に充てる……世帯単位で家計を組み直します。
アルバイト・短期の仕事で収入を確保する……ただし再就職活動に使える時間が減る点は要注意です。状況によっては、早く次の職を見つけることに集中したほうがよい場合もあります。※基本手当の受給中にアルバイトをする場合は、必ずハローワークに申告してください(申告しないと不正受給になります)。
両親・親族に一時的に借りる……頼れる場合の有力な選択肢ですが、相手にも生活があります。前提にはせず、不足分を補う手段として考えましょう。あとで揉めないよう、返済の約束は簡単でも書面に残しておくと安心です。

ステップ3:金融機関にすぐ相談する(返済方法の変更)

そして最も大切なのが、借りている金融機関に早めに相談することです。これは失業に限らず、病気やケガで働けなくなった場合も同じです。

「相談すると住宅を取り上げられるのでは」と不安になる方がいますが、逆です。金融機関にとっても、返済を続けてもらうほうが望ましいため、状況に応じて返済計画の見直し(リスケジュール)に応じてもらえる場合があります。

参考として、【フラット35】などを扱う住宅金融支援機構は、返済が困難な方向けの返済方法変更メニューを公式に用意しています(手続きに手数料はかかりません)。

変更メニュー 内容 効果と注意点
返済期間の延長 最長15年の延長が可能 毎月の返済額は下がるが、総返済額は増える
元金の一時休止(元金据置) 現に失業中の方・収入が20%以上減少した方などが対象。最長3年、利息のみの支払いにできる 期間中は金利を引き下げられる場合もある
一定期間の返済額の減額 返済額を一時的に抑える 減額期間の終了後に返済額が戻る点に注意
ボーナス返済の見直し ボーナス返済分を減らし、毎月分に振り替える 賞与カットへの対応に有効

民間の金融機関にも同様の相談窓口があります。いずれの場合も、変更後に返済を続けられる見込みがあるかを審査されるため、希望どおりに認められるとは限りません。だからこそ、体力が残っているうち(滞納する前)に相談することが重要なのです。

相談の際は、①離職票など収入減を示す書類 ②現在の家計の状況(収入・支出・貯蓄) ③再就職の見通しを整理して持参すると、話がスムーズに進みます。

それでも難しいときの選択肢

返済方法の変更でも立て直しが難しい場合は、住まいそのものを見直す判断が必要になることもあります。早いほど選択肢が多いのは、ここでも同じです。

選択肢 内容 注意点
借り換え 金利の低い金融機関へ乗り換えて返済額を下げる 失業中・滞納中は審査に通りません。動くなら収入があるうちに
任意売却 金融機関の同意を得て市場で売却し、残債の返済に充てる 競売より高く売れる傾向。売却してもローンが残る場合がある
競売 裁判所の手続きで強制的に売却される 売却価格が低くなりやすく、残債が多く残りやすい。避けたい結末
専門家への相談 弁護士・司法書士・自治体の無料相談窓口など 債務整理を含め、状況に応じた助言が受けられる

「まだ大丈夫」と思ううちに相談する。これが、住まいを守るための最大のコツです。

失業に備えて、いま準備できること

これから住宅ローンを借りる方に、ぜひ知っておいてほしい備えがあります。

1.生活防衛資金を確保する

住宅ローンの返済額と生活費の6か月分程度を目安に、すぐ引き出せる預貯金を確保しておくと安心感が違います。頭金にすべてを注ぎ込み、手元資金がゼロになる借り方は避けましょう。

2.返済額に余裕を持たせる

「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別です。返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は、余裕をみて設定するのが鉄則です。

3.金利上昇にも目を配る

日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を1.0%程度へ引き上げました。変動金利型の住宅ローンは、多くの金融機関が年2回(4月・10月など)適用金利を見直すため、今後の金利動向が将来の返済額に影響する可能性があります(「5年ルール」「125%ルール」の有無は商品によって異なります)。ご自身のローンがどの型で、見直しのルールがどうなっているかを一度確認しておきましょう。最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

4.保障の内容を確認しておく

団体信用生命保険(団信)は、死亡・高度障害などのときに残高が清算される保険です。金融機関によっては、がん保障や全疾病保障を上乗せ0円で付けられる商品もあります。たとえばSBI新生銀行は、一般団信の保険料が上乗せ0円で、保証料も0円(審査結果に問題がない場合)、一部繰上返済手数料も0円と費用がシンプルです。ただし、団信は「失業」そのものは保障の対象外である点は誤解しないようにしてください。失業への備えは、あくまで生活防衛資金と公的給付が基本です。

よくある質問(FAQ)

Q.失業したら、まず金融機関と役所のどちらに連絡すべきですか?

並行して進めましょう。雇用保険の手続き(ハローワーク)は日数がかかるため早いほどよく、金融機関への相談も「返済が厳しくなりそう」と分かった時点で行うのが正解です。どちらも「困ってから」ではなく「困りそうな時点で」動くのがコツです。

Q.返済が厳しいので、カードローンで住宅ローンを返してもいいですか?

おすすめできません。住宅ローンより金利が高いことが多く、返済額はかえって増えます。さらに、借入が増えると将来の借り換えや返済方法の変更にも不利に働きます。まずは金融機関へ相談を

Q.返済方法を変更すると、信用情報に傷がつきますか?

正式な手続きにもとづく返済方法の変更(条件変更)と、滞納は別のものです。ただし取り扱いは金融機関や状況によって異なります。気になる点は、相談の際に必ず金融機関へ直接確認してください(不確かな情報で判断せず、事実を確かめるのが安全です)。

Q.売却しても住宅ローンが残ったらどうなりますか?

残った債務(残債)は返済義務が残ります。だからこそ、競売より条件よく売れる可能性がある任意売却や、その前段階での返済方法の変更が重要になります。早い段階での相談が、結果的に残債を小さくします。

制度の内容や各金融機関の対応は変更されることがあります。最新の情報は、厚生労働省・ハローワーク・住宅金融支援機構、および借入先の金融機関の公式サイトでご確認ください。

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