- 公開日: 2026.09.03
- フラット35特集
フラット35の団信は入るべき?加入が任意な理由と選び方をやさしく解説

住宅金融支援機構が提供している住宅ローン【フラット35】は、団体信用生命保険(団信)が任意加入となっています。そのため、民間の金融機関では病歴などが理由で団信に加入できず、住宅ローンを借りられなかった方でも、資金の借り入れが可能になります。加えて、あえて団信に加入しないという選択肢も出てくるわけですが、今回は【フラット35】で住宅ローンを借り入れる場合に、団信に加入すべきケースと不要なケースについて考えてみます。
【フラット35】は団体信用生命保険の加入が任意
住宅ローンを借りて住宅を購入する場合、返済中に契約者が亡くなるなどして返済が継続できなくなる事態に備えて、多くの民間金融機関では団体信用生命保険という保険への加入が必須となっています。ローンの契約者本人に万が一のことがあった場合、保険金で住宅ローンの残債が精算されます。住宅ローンがすべて完済となりますので、残されたご家族も住宅を手放すことなく、継続して住み続けることができます。
ただし、団信は誰でも加入できるわけではなく、過去の病歴などを総合的に加味したうえで加入の可否が決められます。そのため、過去に大きな病気をした方や持病がある方は団信に加入しづらい、というハードルがあります。
一方で、住宅金融支援機構が提供する【フラット35】の場合、団体信用生命保険の加入が任意となっているのも大きな特徴と言えます。そのため、民間の金融機関で団信に加入できず住宅ローンの契約を断られた場合でも、【フラット35】であれば住宅ローンの契約ができる可能性があります。
つまり【フラット35】の団信は、「入れないから借りられない」を避けるための受け皿であると同時に、「入るか入らないかを自分で選べる」という、ほかにはあまりない性質を持っているのです。
金利の仕組みは2017年10月に変わりました(上乗せではなく引き下げ)
ここは、古い情報が今も多く出回っているところなので、はじめに整理しておきましょう。
かつての【フラット35】は、団信の保険料を年に1回まとめて支払う仕組みでした。しかし2017年10月1日の申し込み分から制度が変わり、現在は「団信の費用が金利に含まれた状態」で金利が案内されています。
住宅金融支援機構の金利情報ページに掲載されている【フラット35】の金利は、新機構団信付きの金利です。そのうえで、選ぶ団信によって次のように変わります。
・団信に加入しない場合は、掲載されている金利から年0.200%の引き下げになります(=「加入すると0.2%上乗せされる」のではなく、「加入しないと0.2%下がる」という向きです)。
・デュエット(ペア連生団信)に加入する場合は、掲載金利に年0.180%の上乗せ。
・新3大疾病付機構団信に加入する場合は、掲載金利に年0.240%の上乗せ。
「保険料を別に払う」わけではないので、家計から団信のために別途お金が出ていくことはありません。そのぶん金利に反映されている、というのが今の形です。古い記事で「年1回、保険料を支払う」「加入すると0.2%上乗せ」と書かれているものを見かけたら、それは制度変更前の説明だと考えてください。
【フラット35】で選べる3つのパターン
言葉で並べるとわかりにくいので、表にしてみます。
| 選び方 | 金利の扱い | おもな内容・注意点 |
|---|---|---|
| 新機構団信に加入する(標準) | 掲載されている金利がこの前提 | 死亡したとき、または身体障害者福祉法に定める1級・2級の障害に該当し身体障害者手帳の交付を受けたときに保険金が支払われる。夫婦ふたりで加入する「デュエット(ペア連生団信)」は掲載金利+年0.180% |
| 新3大疾病付機構団信に加入する | 掲載金利に年0.240%上乗せ | 3大疾病などへの保障が加わるタイプ。デュエットは利用できません。対象となる病気の状態や要件は細かく定められているため、必ず機構の公式サイトで確認を |
| 加入しない | 掲載金利から年0.200%引き下げ | 健康上の理由その他の事情で加入しない場合も【フラット35】は利用できる。ただし万が一のときにローンは残ります |
ここでひとつ、とても大事な注意点があります。新機構団信・新3大疾病付機構団信では、民間の団信でよく耳にする「高度障害状態になったときの高度障害保険金」の取り扱いはありません。保険金が支払われるのは、上の表のとおり「死亡したとき」と「身体障害者福祉法に定める1級・2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき」です。
「民間の団信と同じだろう」と考えていると、いざというときに認識のずれが生じます。パンフレットの保障内容は、面倒でも一度目を通しておいてください。
ご家族がおり購入した住宅に住み続けたい場合は加入がおすすめ

団信に加入すべきケースとしては、住宅ローンの契約者以外にも同居のご家族がおり、契約者本人に万が一のことがあったあとも引き続きその住宅に住み続けたい場合が挙げられます。
前述のとおり、団信に加入していれば、契約者本人が亡くなった場合などに保険金で住宅ローンの残債が精算されます。残されたご家族が住宅ローンを返済し続けるという負担がなくなり、継続して購入した住宅に住み続けることが可能になります。
では、金利が0.2%違うことをどう受け止めればよいのでしょうか。ここは「保険料をいくら払うか」に置き換えて考えるのがおすすめです。団信に入らないことで浮く0.2%相当の負担と、同じ保障を民間の生命保険(収入保障保険や定期保険など)で用意した場合の保険料。この2つを比べたうえで、どちらが自分たちに合うかを判断します。
年齢や健康状態によっては民間の保険のほうが割安になることもありますし、逆に告知の結果、そもそも民間の保険に入りづらいという方もいます。「どちらが得か」は人によって答えが変わるので、金利差だけで決めず、実際に保険の見積もりを取って比べてみてください。
なお、金利上昇の局面では、この0.2%の重みも変わってきます。参考までに、2026年9月の適用金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)は年3.460%で、2か月連続の引き上げとなりました(住宅金融支援機構・2026年9月時点)。金利は毎月見直されますので、判断する時点の金利は必ず機構の公式サイトでご確認ください。
独身などご家族がいない場合や現金が必要な場合は加入しない選択肢も

団信は、保険金で住宅ローンが完済できるだけではなく、残されたご家族が継続して購入した住宅に住むことができるなど、ご家族にとって安心できる保険であると言えます。ただし、契約者が独身で本人だけしか住んでいない場合は、団信に加入しないという選択肢もあります。
独身であれば、団信未加入の状態で亡くなり、その住宅に誰も住まないことになれば、住宅を売却して住宅ローンの残債を売却資金で精算することになります。万が一、不足が発生した場合はご自身の預貯金から支払うことになりますので、その点は注意が必要です。売却資金だけで住宅ローンを完済できない可能性がある場合に備えて、別途保険に加入することも検討すべきと言えます。
また、独身の場合、亡くなったあとの手続きはご親族の方が行うことになります。ご本人が亡くなってからでは相談ができませんので、住宅購入前に、この家をどうしてほしいかを事前に話し合っておくことが重要です。
ご家族がいる場合でも、契約者が亡くなったあとは葬儀など何かとお金が必要になるケースが考えられます。さらに、残されたご家族が実家など別のところに住むことを選び、引っ越しを考えるケースもあるでしょう。そのため、手元の現金がほしい場合や、その住宅に継続して住まないと考える場合は、民間の保険に加入して万が一のときに現金を受け取れるようにしておくのも一つの方法です。
団信で受け取れるのは「住宅ローンが消える」という形の保障であって、現金が手元に入るわけではない——この違いを押さえておくと、判断がぐっとしやすくなります。
加入できる年齢・保障される期間を確認しておく
意外と見落とされがちなのが、団信そのものの条件です。新機構団信に加入できるのは、申込書兼告知書の記入・入力日現在で満15歳以上満70歳未満の方で、かつ幹事生命保険会社の加入承諾が得られた方です。デュエットを利用する場合は、おふたりとも条件にあてはまる必要があります。
そして、保障が続くのは満80歳の誕生日の属する月の末日までです。返済期間を長く設定した場合、返済の終わりまで保障が続くとは限らないという点は、あらかじめ知っておいてください。
ちなみにデュエットが利用できるご夫婦には、戸籍上の夫婦のほか、婚約関係にある方、内縁関係にある方、同性パートナーの関係にある方も含まれます。
よくある質問
Q. 団信に入らないと、【フラット35】は借りられないのですか?
いいえ。健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合も【フラット35】は利用できます。これが【フラット35】の大きな特徴です。
Q. あとから団信に加入することはできますか?
団信の申し込みは、住宅ローンの手続きの中で行うものです。「いつでも後から入れる」ものではありませんので、迷っている場合は、申し込みの段階で取扱金融機関に確認してください。健康状態は年齢とともに変わるという点も、判断材料の一つになります。
Q. 告知書は、少しくらい曖昧に書いても大丈夫ですか?
いいえ。事実と異なる告知をすると、いざというときに保険金が支払われないおそれがあります。それでは加入した意味がなくなってしまいます。迷う持病や通院歴があるなら、正確に書いたうえで結果を待つのが正解です。
Q. 夫婦で借りる場合、どちらが団信に入るべきですか?
連帯債務でご夫婦それぞれに収入がある場合、どちらか一方だけが加入すると、加入していない側に万が一のことがあったときにローンが残ります。ふたりとも保障したいなら、掲載金利+年0.180%のデュエット(ペア連生団信)が選択肢になります。どちらの収入が返済の中心かを基準に考えるとよいでしょう。
まとめ
【フラット35】の団信は、加入が任意である点が最大の特徴です。判断の分かれ目は、突き詰めると「自分に万が一のことがあったとき、この家に住み続けてほしい人がいるかどうか」の一点です。
住み続けてほしいご家族がいるなら、原則として加入をおすすめします。おひとりで住まれる場合や、その住宅に住み続けない前提であれば、加入しない(掲載金利−年0.200%)うえで民間の保険で備える、という組み立ても十分に成立します。
そして、団信の内容は住宅ローン選びそのものにも関わってきます。民間の金融機関では、たとえばSBI新生銀行の住宅ローンのように、一般団信に加えて全疾病保障付団信も金利の上乗せなしで利用できる商品もあり、保障の手厚さと費用の関係は金融機関ごとにかなり違います。【フラット35】と民間の住宅ローンで迷っている方は、金利だけでなく「団信でどこまで守られるか」まで並べて比べてみると、自分に合う一本が見えてくるはずです。
なお、団信の保障内容・加入要件・金利の取り扱いは変更されることがあります。最新の内容は住宅金融支援機構および各取扱金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。

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