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住宅ローンの繰り上げ返済|2つの型の違いと注意点

「ボーナスが出たし、繰り上げ返済したほうがいいのかな?」と考えている方へ。繰り上げ返済をすると元本が減り、将来の利息を減らせます。利息を減らす効果は、一般に返済期間短縮型のほうが返済額軽減型より大きくなります。

ただし、手元のお金を使い切る・住宅ローン控除の条件を外れる・手数料や最低金額を見落とす、といった落とし穴もあります。型の選び方と、実行する前に押さえたい注意点をまとめてお話しします。

繰り上げ返済には全額と一部の2種類がある

繰り上げ返済には、残っているローンをまとめて返し終える全額繰上返済と、残りの一部だけを先に返す一部繰上返済があります。

全額繰上返済

全額繰上返済は、ローンの残りをすべて返す方法です。返し終えれば、その後の返済も利息の負担もなくなります。本来の返済期間で払うはずだった利息を、払わずに済みます。

一部繰上返済

一部繰上返済は、ローンの残りの一部を先に返す方法です。返した分だけ残高が減り、返済期間を短くする返済期間短縮型と、毎月の返済額を減らす返済額軽減型に分かれます。

利用が多いのは一部繰上返済で、なかでも返済期間短縮型を選ぶ人が多いとされています。

用語ミニ解説 繰り上げ返済したお金は元本に充てられる

初めての方は、毎月の返済と繰り上げ返済の違いで混乱しがちです。毎月の返済(約定返済)は、元本(借りたお金そのもの)と利息の両方に充てられます。

これに対して、繰り上げ返済したお金は、その全額が元本に充てられます。SBI新生銀行の公式サイトでも、繰上返済はすべて借入元本に充当されると説明しています。

元本が減れば、その元本にかかるはずだった将来の利息も消えます。すでに払った利息は戻らないので、同じ金額なら早い時期に返すほど効果が大きくなります。

一部繰上返済は期間短縮型と返済額軽減型に分かれる

一部繰上返済では、返済期間短縮型と返済額軽減型のどちらかを選びます。違いを順に見てみます。

返済期間短縮型

返済期間短縮型は、繰り上げ返済した金額に見合う分だけ、残りの返済期間を短くする方法です。

たとえば35年のローンを10年返したところで、5年分に相当する額を繰り上げ返済すると、残りの返済期間は20年になります。毎月の返済額はそのままで、完済の時期だけが前に動くイメージです。

返済額軽減型

返済額軽減型は、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法です。繰り上げ返済した金額を元本から差し引き、残った元本を残りの期間で返すように計算し直します。

完済の時期は変わらず、毎月の負担だけが軽くなります。

2つの型を並べて比べてみる
比較の観点 返済期間短縮型 返済額軽減型
毎月の返済額 変わらない 少なくなる
完済の時期 早くなる 変わらない
利息を減らす効果 同じ金額を返すなら、一般に効果が大きい 期間短縮型に比べると小さめ
向いている場面 定年までに完済したい/利息の総額を抑えたい 教育費や収入減にそなえ、毎月の負担を下げたい
気をつけたい点 手元のお金が減る/短くしすぎると住宅ローン控除に影響することがある 返済が続く期間は変わらないので、利息の軽減は控えめ

利息を減らすという点だけで見ると、同じ金額を繰り上げ返済するなら、一般に返済期間短縮型のほうが効果は大きくなります。

効果のイメージ(金融機関が公表している試算例)

効果の大きさは、金利・残高・タイミングで変わります。金融機関が公表している試算例を見ると、感覚がつかめます。

SBI新生銀行の公式サイトでは、3,000万円を年2.000%の固定金利・20年で借りた例を示しています。毎月1万円ずつ繰り上げ返済すると、総支払額は約3,642万円から約3,592万円に減り、返済期間は18年7か月になるという試算です。

つまり、約50万円の軽減と1年5か月の期間短縮です。一定の条件を置いた一例なので、ご自身の場合は借入先のシミュレーションで計算してみてください。

ライフプランに合わせて型を選ぶ

どちらの型を選ぶかは、これからのご家族の予定で決まります。今すぐ残高を減らしたい場合と、子どもの教育費がこれから増える場合とでは、繰り上げ返済の目的が違うからです。

返済期間短縮型は早く返し終えたい方に向く

返済期間短縮型は、利息の負担をできるだけ減らしたい方や、定年までに返し終えたい方に向いています。

返済額軽減型は将来の支出増にそなえたい方に向く

返済額軽減型は、これから支出が増えると見込んで、今のうちに毎月の返済額を下げておきたい方に向いています。子どもの教育費が増える時期や、転職で収入が減るおそれがある場合が当てはまります。

その前に、そもそも選べるのかを見ておく

初めての方がつまずきやすいのが、金融機関によっては2つの型のうち片方しか扱っていないことです。

たとえばSBI新生銀行は、繰上返済を返済期間短縮型のみの取り扱いとしています。返済額軽減型にしようと決めていても、借入先が扱っていなければ選べません。どちらの型が選べるか、インターネットで手続きできるかは、考え始めた段階で借入先の案内を読んでおいてください。

繰り上げ返済を行う際の注意点

繰り上げ返済で残高は減りますが、気をつけたい点もいくつかあります。

家計が苦しくならないようにする

残高が減ると気持ちは楽になりますが、返しすぎて家計が苦しくなっては意味がありません。繰り上げ返済に使ったお金は、原則として引き出して使えません。

病気や失業、家電や住宅設備の故障など、急な出費にそなえるお金は残しておいてください。目安は生活費の数か月分です。教育費や車の買い替えなど、使う予定が決まっているお金も別に分けてから金額を決めると失敗が少なくなります。

手数料がかかる場合もある

繰り上げ返済の手数料の扱いは、金融機関によって大きく違います。インターネットからの手続きを無料にしている金融機関が多いものの、窓口や電話での手続きに手数料がかかるところもあります。

いくつか例を挙げると、フラット35は窓口・インターネットサービス(住・My Note)のどちらでも、一部繰上返済・全額繰上返済に手数料はかかりません。SBI新生銀行は手数料0円で、インターネットバンキングから1円以上1円単位で繰り上げ返済できます。

ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)の対面相談コースも、一部繰上返済は1円から何度でも手数料0円です。全額繰上返済は、固定金利特約の期間中だけ33,000円(税込)がかかります。

住宅ローンを組むときに保証料を一括で払っている場合、期間が短くなると保証料の一部が戻り、そのときに事務手数料が必要になることがあります。固定金利の特約期間中の繰り上げ返済に独自のルールを設けている金融機関もあります。

住宅ローン控除が受けられなくなることも

見落とされがちで、しかも金額の影響が大きいのが住宅ローン控除です。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、返済期間が10年以上あることが条件の一つです。繰り上げ返済で期間を短くしすぎると、その年以後は控除を受けられなくなります。

大事なのは10年の数え方です。判定は、最初の返済日から、短くなった後の最終の返済日までの期間で行います。残りの返済期間が10年を切ったら対象外、という意味とは違います。すでに10年以上返してきた方なら、期間を短くしても条件を満たすことがあります。

フラット35も、一部繰上返済の結果、返済期間(初回返済日から最終回返済日まで)が10年未満になると控除の対象外になると案内しています(住宅金融支援機構【フラット35】繰上返済)。

控除の中身も以前とは変わっています。2022年1月以降に入居した場合、控除率は年末残高等の0.7%で、控除期間や控除額の上限は、新築か中古か、省エネ性能、入居した年によって変わります(国税庁 タックスアンサーNo.1211-1・令和8年4月1日現在の法令等)。

かつての1%・10年間は、2021年以前に入居した方の内容です。合計所得金額の上限などの要件もあるため、ご自身が対象かどうかは国税庁の説明で確認してください。

繰り上げ返済で減る利息と、控除で戻る税金のどちらが大きいかはケースで変わります。控除を受けている期間に大きく期間を短くするなら、金額を決める前に税務署や税理士、借入先に相談してみてください。いつ返すと得かは、住宅ローンの繰り上げ返済はいつがお得?控除0.7%と10年の壁でもくわしく扱っています。

経過利息が別にかかる場合がある

繰り上げ返済の時期によっては、直前の返済日の翌日から繰上返済日までの利息(経過利息)を払う場合があります。フラット35の公式サイトにも案内があります。金額は大きくないことが多いものの、返した金額がまるごと元本に充てられるとは限らない場面があります。

手続きの時期と最低金額は商品ごとに違う

繰り上げ返済は、思い立ってすぐにできるとは限りません。申し込みの期限や、1回に返せる最低金額が決められていることがあるからです。

わかりやすい例として、フラット35の取り扱いを表にしました(住宅金融支援機構の公式サイトで2026年10月に確認)。

手続きの方法 一部繰上返済の最低金額 申し込みの時期など
金融機関の窓口 100万円以上 繰り上げて返済する1か月前までに申し出
インターネット(住・My Note) 10万円以上 返済日の2か月前から1か月前の日の前営業日まで

ボーナス返済を使っている方が期間を短くする場合は、6か月単位(毎月払い6回分+ボーナス払い1回分)で入金する必要があります。全額繰上返済も、窓口では1か月前までの申し出が必要です。

銀行の住宅ローンには、インターネットから少額で手続きできるところもあります。主な例を並べると次のとおりです(2026年10月時点で各社の公式案内にて確認)。

借入先 一部繰上返済の手数料 1回の最低金額 補足
フラット35(住宅金融支援機構) 無料 窓口100万円・住・My Note10万円 全額繰上返済も手数料なし
SBI新生銀行 無料 1円以上1円単位 期間短縮型のみ
ドコモSMTBネット銀行(対面相談コース) 無料 1円から 全額繰上返済は固定金利特約の期間中のみ33,000円(税込)

いつまでに、いくらから、どの方法で返せるかは商品ごとにまったく違います。繰り上げ返済したい月が決まったら、早めに借入先の案内を読んでおくと慌てずに済みます。

金利が上がる局面での繰り上げ返済の考え方

日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を年1.25%程度に引き上げ、9月24日から適用しました(日本銀行の公表資料)。変動金利で借りている方にとっては、繰り上げ返済の意味が以前と少し変わってきています。

返済額が変わらなくても、元本の減り方は変わる

変動金利で元利均等返済の住宅ローンには、一般に5年ルールと呼ばれる仕組みがあります。適用金利が上がっても、一定の期間は毎月の返済額が変わらないという扱いです。

たとえば三菱UFJ銀行は、変動金利かつ元利均等返済の場合、10月1日を基準とした5年間は返済額が変わらず、返済額のうち元金と利息の割合が変わると説明しています。元金均等返済には、5年ルールも125%ルールもないとしています。

毎月の引き落とし額は同じでも、利息に回る分が増え、元本が減りにくくなることがあるわけです。返済額が変わらないと気づきにくいのですが、この状態では、元本を直接減らせる繰り上げ返済の意味が大きくなります。

反映の時期は銀行と契約タイプで違う

金利の見直しがいつ返済額に反映されるかも、金融機関と契約のタイプで違います。三菱UFJ銀行は2026年9月1日から、変動金利の基準金利を毎月1日を基準日として見直す仕組みにしています。

すでに借りている人は、変動金利が毎月型か年2回型かで、新しい金利が返済額に反映される月が異なると案内しています。ご自身の契約のタイプと見直しの時期は、返済予定表やご返済のお知らせで確かめられます。

今すぐ返さないと損、とあわてなくてよい

次の金融政策決定会合は、10月29日・30日に予定されています。とはいえ、金利の先行きを言い当てることは誰にもできません。

上がりそうだから手元のお金を全部返す、という順番は避けてください。手元資金を確保したうえで、無理のない範囲で元本を減らしていけば十分です。金利タイプの変更や借り換えという選択肢もあるので、迷ったら繰り上げ返済だけで判断せず、借入先に相談してみてください。

繰り上げ返済のよくある質問

Q. 毎月の返済と繰り上げ返済は、何が違うのですか?

A. 毎月の返済は元本と利息の両方に充てられ、繰り上げ返済は全額が元本に充てられます。だから将来の利息が減ります。すでに払った利息は戻らないので、同じ金額なら早めに返すほど効果は大きくなります。

Q. 数万円のような少額でも意味はありますか?

A. 意味はあります。少額でも元本が減れば、その分にかかる将来の利息は消えるからです。フラット35は窓口100万円以上・住・My Note10万円以上のように最低金額がある商品もあるので、こまめに返したい方は少額で手続きできるかを先に見ておくと無駄がありません。

Q. 貯蓄と繰り上げ返済、どちらを優先すべきですか?

A. 一律の正解はありません。急な出費にそなえるお金が足りているか、住宅ローン控除を受けている期間か、借入金利がどのくらいかで変わります。まず生活を守るお金、次に使う時期が決まった教育費などを分け、余ったお金で繰り上げ返済と考えると安全です。

Q. 期間短縮型で短くした期間は、あとから元に戻せますか?

A. 原則として、いったん短くした返済期間を自由に戻すことはできません。取り扱いは金融機関ごとに違うので、戻せない前提で金額を決め、迷ったら借入先に条件変更の可否を聞いてみてください。

Q. 全額繰上返済で完済したら、団信はどうなりますか?

A. 住宅ローンを返し終えれば、それに付いている団信(団体信用生命保険)の保障も終わります。フラット35では、全額繰上返済にあたって機構団信の特約料が戻る場合があると案内しています。完済のときは、抵当権の抹消書類の受け取りもあわせて確認が必要です。

まとめ あわてず、手元のお金を残しながら

繰り上げ返済は、住宅ローンの負担を軽くできる有力な手段です。要点を整理します。

  • 繰り上げ返済したお金は全額が元本に充てられ、早いほど効果が大きい
  • 一部繰上返済には返済期間短縮型と返済額軽減型があり、利息の軽減効果は一般に期間短縮型のほうが大きい
  • どちらの型を選べるか、手数料や最低金額はいくらかは、金融機関ごとに違う
  • 住宅ローン控除は、初回返済日から最終回返済日まで10年以上が判定の基準。短くしすぎると控除が使えなくなることがある
  • 変動金利は、返済額が変わらない期間でも元本が減りにくくなることがある

これから借入先を選ぶ方や借り換えを考えている方は、金利だけでなく、借りた後の返しやすさもあわせて比べてみてください。繰り上げ返済の仕組みを一から整理したい方は、住宅ローンの繰り上げ返済とは?2つの型と効果・注意点も参考になります。

繰り上げ返済は、早く・多く返すほど正解というものでもありません。ご家族のこれからの支出と手元に残すお金を見ながら、無理のないペースで進めてください。

金利や条件は月ごとに変わるので、申し込む前に各金融機関のページで最新の内容を見ておいてください。

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