全疾病保障特約付き団体信用生命保険は加入すべきか?その判断基準とは
住宅ローンを契約して住宅を購入する場合において、多くの方が団体信用生命保険に加入しますが、近年ではあらゆる病気に対応した全疾病保障特約付き団体信用生命保険が登場しています。これまでの死亡や高度障害状態だけではなく、あらゆる病気に対応するため、一見すると安心感がありますが、この全疾病保障特約付き団体信用生命保険は加入すべきかどうかという判断は難しいものです。
今回は全疾病保障特約付き団体信用生命保険に加入すべきかどうかの判断基準について考えてみました。
あらゆる病気に対応した全疾病保障特約付き団体信用生命保険
全疾病保障特約付き団体信用生命保険は、これまで死亡や高度障害状態のみに対応していた団体信用生命保険を拡張し、あらゆる病気に対応した団体信用生命保険となります。
団体信用生命保険では、病気や事故などを要因とした死亡や高度障害状態になった場合、保険金によって住宅ローンの完済が可能となります。全疾病保障特約付き団体信用生命保険では、病気になり入院による就業不能状態になった場合において、その期間、毎月の住宅ローンの完済を肩代わりできる他、その状況が一定期間以上継続した場合は、保険金によって住宅ローンを完済することが可能です。
近年では癌や脳卒中、急性心筋梗塞とった三大疾病、糖尿病などを含めた八大疾病による入院も珍しくない中、重い病気にかかった場合、医療費の負担もある中、治療と平行して住宅ローンを返済するのは家計への負担は大変重くなるものと予想されます。
さらに、ネット銀行である住信SBIネット銀行やじぶん銀行、楽天銀行では、金利負担上乗せ無しで全疾病保障特約付き団体信用生命保険に加入することができるなど、保険に加入する場合における毎月の住宅ローン返済時の金利負担も軽くなっています。
全疾病保障特約付き団体信用生命保険の概要については、2019年10月3日の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
ネット銀行を利用し金利負担が重くならないのであれば加入してもよい
全疾病保障特約付き団体信用生命保険は、通常の銀行で契約する場合、金利負担を0.3%上乗せして保険料を支払うことになります。
そのため、0.3%上乗せして支払うとなれば、期間が長くなればなるほど、その負担は大きくなります。
前章でお伝えしたとおり、住信SBIネット銀行やじぶん銀行、楽天銀行では、金利上乗せなしで全疾病保障特約付き団体信用生命保険に加入できるため、ネット銀行経由で団体信用生命保険に加入する場合は、付帯しておいても良いでしょう。
しかしながら、全疾病保障特約付き団体信用生命保険は、あくまでも入院による就業不能状態になった場合において、その期間中に住宅ローンの返済を保険金によって肩代わりするものとなりますので、医療費を補償するものではありません。また、長期療養が必要となる精神疾患については未対応となっていることにも注意が必要です。
そのため、2019年10月24日にお伝えしている通り、民間の医療保険の検討の他、万が一に備えて予め預貯金を蓄えておくなどの対策は必要です。
また、ネット銀行3社の全疾病保障特約付き団体信用生命保険については2019年10月21日に紹介していますので合わせてご覧ください。
預貯金の蓄えと民間の生命保険を併用する
ご自身の預貯金の蓄えと民間の生命保険で万が一の場合に備えることができるのであれば、全疾病保障特約付き団体信用生命保険は付帯しないという判断もできます。
生命保険を使うときは、死亡時であれば死亡保険が活用できることに加え、長期的な療養時の生活費などを補償するのであれば、就業不能保険や所得補償保険という選択肢もあります。生命保険であれば、精神疾患などにも対応しているケースもあり、全疾病保障特約付き団体信用生命保険の補償内容より手厚い場合もあります。
しかしながら、民間の保険に加入していてよかったかと思うかどうかは、万が一にならないとわからないことも多い上、民間の生命保険は営利企業であるため、保険金を支給する場合における条件も厳しい傾向にあります。
また、ちょっとした病気や怪我であり1年6ヶ月以内であれば、会社員や公務員であれば健康保険より傷病手当金が支給されます。そのため、医療費など家計への負担が重くなると考えられる項目については、民間の保険を活用し、その他の生活費などは傷病手当金や預貯金などで埋め合わす方法もあります。
いずれにしても、住宅ローンは長期に渡って返済を行うものになりますので、万が一の場合が発生した場合でも対応できるように返済計画を考え、無理の無い返済ができるようにする他、保険に過信するのではなく、預貯金などをある程度蓄えるなどご自身で対策することも重要であります。
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