住宅ローン返済が苦しくなる前に|収入減・失業・病気への備え方

住宅ローンは、何十年にもわたって毎月返し続けていくものです。だからこそ「もし収入が大きく減ったら、ちゃんと返していけるだろうか」という不安は、これから借りる方にとってごく自然なものです。
過去には2008年のリーマンショックや、2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大のように、景気の落ち込みや収入の急減は、ある日突然やってくることがありました。最近では物価高や金利の上昇も家計に影を落としています。この記事では、こうした「もしも」に住宅ローンの返済が苦しくならないために、借りる前から準備しておきたい備えを、はじめての方にもわかりやすく整理します。
経済的な危機は突然やってくる、普段からの備えが大切
2008年のリーマンショックでは、世界中の金融機関の経営が一気に悪化し、それが消費の落ち込みにつながって、国内の製造業を中心に人員削減に踏み切る企業が増えました。2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大でも、旅行・飲食・小売などで需要が急に減り、収入が大きく落ち込んだ方が数多くいました。
こうした経済的な危機は突然やってきて、自分の収入にも思いがけず影響することがあります。感染症の流行に限らず、景気の後退や勤務先の業績悪化、自然災害など、収入が減る理由はさまざまです。だからこそ、住宅ローンをこれから検討する方は、無理なく返し続けられるように、日頃からの備えをしておくことがとても大切です。
とくに2026年6月時点では、日本銀行の利上げを受けて、変動金利型の住宅ローンも今後の見直しで金利が上がる可能性があります(最新の金利動向は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。金利が上がると毎月の返済額や利息の負担が増えることもあるため、手元資金などの「余力」を持っておくことの重要性は、以前にも増して高まっています。
すでに返済中で、収入が減って返済が厳しくなってしまった場合の相談先や対応については、こちらの記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
まずは「最低1年は暮らせる手元資金」を用意する

住宅ローンは、毎月決まった額を継続して返していくものです。そのため、何があっても返済を続けられるように、ある程度の手元資金(貯蓄)を準備しておく必要があります。
手元資金がまったく無い状態で借りてしまうと、毎月の収入が続いている間は問題なくても、もし給与収入が止まってしまったとき、住宅ローンの返済どころか、日々の生活そのものが立ち行かなくなってしまいます。
そのため、急に収入が止まってしまった場合に備えて、最低でも1年間は生活できる程度の手元資金を用意しておくことをおすすめします。住宅の頭金にすべての貯蓄を回してしまわず、「生活防衛資金」として手元に残しておく、という考え方が安心につながります。
万が一に備えて「失業保障」を検討する

住宅ローンの返済中に失業してしまったときに備えて、「失業保障(就業不能・失業に備える保険)」を検討するのも一つの方法です。
失業保障についてはこちらの記事でも紹介していますが、住宅ローンの返済中に失業した場合に、保険金で一定期間の返済を肩代わりしてくれる保険です。勤務先の倒産や、業績低迷による退職勧奨など、おもに会社都合の失業のときに役立ちます。
退職してから再就職するまで、最長6か月程度にわたって返済を保障するタイプが多く見られます。会社員や公務員だけでなく、金融機関によっては経営者・役員・自営業者が加入できるものもあります。近年はフリーランスなど自営業として働く方も増えていますので、保障の対象や条件は、加入を検討する保険会社・金融機関の公式情報で必ずご確認ください。
団体信用生命保険(団信)の保障内容を確認する

病気やケガで働けなくなったときや、万が一のことがあったときの備えとして欠かせないのが、住宅ローンを借りるときに加入する団体信用生命保険(団信)です。
団信は、住宅ローンの返済中に契約者が亡くなったり、所定の高度障害状態になったりした場合に、保険金で住宅ローンの残高が完済される保険です。多くの金融機関では、一般団信の保険料は金利に含まれており(上乗せ0円)、別途の負担なく加入できます。
さらに近年では、がんと診断された場合や、病気・ケガで一定期間働けなくなった場合(就業不能)まで保障する団信も広がっています。たとえばSBI新生銀行では、所定の8疾病やその他の病気・ケガによる就業不能状態に対応する「全疾病保障付団信」を、2026年3月2日から金利の上乗せなし(負担ゼロ)で付帯できるようになりました(がん団信は年0.1%上乗せ)。保障の手厚さと負担のバランスを考えるうえで、検討に値する選択肢の一つといえます。
ただし、団信ごとに保障される条件(就業不能の期間や対象となる病気など)は金融機関によって異なります。たとえば就業不能を保障するタイプでは「○日以上の就業不能」といった条件が設けられていることが多く、短期間の入院などでは対象にならない場合もあります。加入前に、どんなときに・どこまで保障されるのかを商品説明書で必ず確認しておきましょう。各団信の詳しい内容は、団信・全疾病保障特約の解説記事もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 手元資金はどのくらい残しておけば安心ですか?
A. 目安として「最低でも生活費の1年分」を手元に残しておくと安心です。住宅の頭金にすべての貯蓄を使い切らず、急な収入減に対応できる生活防衛資金を確保しておきましょう。
Q. 自営業・フリーランスでも備えはできますか?
A. はい。会社員に比べて収入が変動しやすいぶん、手元資金は多めに用意しておくと安心です。金融機関によっては自営業者が加入できる就業不能・失業保障もあるので、条件を確認してみましょう。
Q. 変動金利で借りる予定です。金利が上がったらどうすればいいですか?
A. 変動金利は、将来の金利上昇で返済額や利息負担が増える可能性があります。手元資金に余裕を持たせておく、繰り上げ返済の原資を準備しておくなど、上昇に備えた家計設計をしておくと安心です。最新の金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
Q. 団信はどれを選べばいいですか?
A. まずは「一般団信(死亡・高度障害を保障)」が基本です。そのうえで、がんや就業不能まで備えたい場合は、上乗せ金利や保障条件を比べて検討しましょう。負担なく付帯できる全疾病保障を用意している金融機関もあります。
住宅ローンは、無理のない返済計画と「もしも」への備えがそろってこそ、安心して続けられます。まずは手元資金の確保から、一歩ずつ準備を進めていきましょう。
- 2026.06.22
- 住宅ローンの注意点

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