- 公開日: 2026.07.10
- 住宅ローンQ&A
戦争やテロで住宅が消失したら火災保険で補償される?戦争免責を解説

住宅を購入するとき、万が一の火事に備えて多くの方は火災保険に加入します。特に住宅ローンを利用する場合は、「家が燃えてローンだけが残る」という最悪の事態に備える意味でも、火災保険はとても重要です。火災保険には火事以外にもさまざまな補償が付いていますが、では戦争やテロで住宅が被害を受けた場合は補償されるのでしょうか。
今回は、戦争やテロによって住宅に火災などの被害が発生した場合に、保険が適用されるのかどうかを確認していきます。
火災保険は火事以外にも様々な補償が付帯
火災保険は、住宅が火事になった場合の損害を補償することに加え、各種自然災害に備えた幅広い補償が付帯しています。
日本は自然災害の多い国ですが、火災保険で補償される自然災害として、台風や大雨による浸水、水漏れ、落雷、雹(ひょう)などがあります。また、空からの落下物などによる「飛来」のほか、自動車などの衝突、ガスや電気などの爆発、家財の破損、盗難被害まで補償の対象にできます(補償範囲は契約プランによって異なります)。
火災保険の詳細については火災保険の仕組みを解説した記事で詳しく記載していますので合わせてご覧ください。
一方で、地震による損害は火災保険だけでは補償されず、火災保険に地震保険を付帯する必要があります。地震保険については地震保険を解説した記事をご覧ください。
なお、火災保険への加入は法律上の義務ではなく任意です。ただし、住宅ローンを利用する場合は、金融機関が火災保険への加入を融資の条件とするのが一般的で、事実上必須と考えておきましょう。保険料は住宅の建築構造などで変わり、支払われる保険金も損害状況によって変わります。詳しくは火災保険料と補償の考え方を解説した記事をご覧ください。
日本国内においても戦争・テロのリスクは無視できない

日本では太平洋戦争以降、国内が戦場になる事態は起きておらず、平和な状態が続いています。そのため、「戦争で自宅が被害を受けるかもしれない」と日常的に意識している方は多くないでしょう。
しかし世界に目を向けると、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻では、都市部の住宅がミサイル攻撃で破壊される映像が繰り返し報じられ、「もし自分の家だったら」と考えた方も少なくないはずです。中東情勢の緊迫や、北朝鮮による弾道ミサイル発射が繰り返されている状況(2026年7月時点)を踏まえると、日本に住んでいても、ミサイルの落下やテロといったリスクをまったくのゼロとは言い切れません。
だからこそ、住宅の購入を考えるときには、「こうした被害は保険でカバーされるのか」を知っておくことに意味があります。
戦争による被害は火災保険では補償されない(戦争免責)

結論からお伝えすると、戦争による被害は火災保険では補償されません。火災保険の約款には必ず、「戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動によって生じた損害には保険金を支払わない」という趣旨の免責条項(いわゆる戦争免責)が記載されています。
「免責」とは、保険会社が保険金を支払う義務を免れるという意味です。戦争のような事態は、被害の規模や発生確率をあらかじめ予測できず、保険料の計算が成り立たないため、免責とされています。これは火災保険に限らず、地震保険など他の保険でも同様です。
では、他国のミサイルの落下はどうでしょうか。日本への攻撃として行われた場合は、戦争免責に該当し補償されないと考えられます。一方、攻撃とは言えない単発・偶発的な落下物であれば、火災保険の「建物外部からの物体の飛来・衝突」として扱われる可能性を指摘する見方もあります。ただし、それが攻撃なのか偶発的なものなのかを客観的に判断するのは難しく、最終的には国の見解や個別の事案ごとの保険会社の判断によることになります。
また、テロ行為による被害の扱いは、上記の免責事由(暴動など)に該当するかどうかの判断が事案によって分かれ、保険商品によっても異なります。「テロなら必ず補償される/されない」とは断定できないため、気になる方は加入している(加入を検討している)保険の約款を確認するか、保険会社に問い合わせてみてください。
2026年7月時点で、一般住宅向けに戦争被害を補償する保険は提供されていません。つまり、保険で備えられないリスクが存在する以上、「ローンだけが手元に残っても生活が破綻しない、無理のない範囲で借り入れをする」ことが何よりの備えになるといえます。
よくある質問(FAQ)
Q. 地震保険に入っていれば、戦争による被害も補償されますか?
A. 補償されません。地震保険が対象とするのは地震・噴火・津波を原因とする損害です。地震保険にも火災保険と同様の戦争免責の条項があるため、戦争や武力行使による被害は対象外です。
Q. 戦争免責で保険金が出ない場合、公的な支援はありますか?
A. 地震や台風などの自然災害には被災者生活再建支援制度などの公的支援がありますが、武力攻撃による住宅被害への補償の枠組みは、事態の規模や国の対応によって変わるため、あらかじめ「こうなる」と断定できるものはありません。だからこそ、保険と公的支援だけに頼らず、貯蓄や無理のない借入額といった家計の余力を残しておくことが大切です。
Q. 結局、住宅購入時に戦争・テロのリスクへはどう備えればいいですか?
A. 残念ながら保険で直接備えることはできないため、①借入額を年収に対して無理のない水準に抑える、②生活防衛資金(生活費の半年〜1年分が目安)を確保しておく、③火災保険・地震保険で「備えられるリスク」はきちんとカバーしておく、という3点が現実的な備えになります。
戦争やテロは考えたくない事態ですが、「保険がきかないリスクがある」と知っておくだけでも、借入額の決め方は変わってくるはずです。住宅ローンは、万が一のときにも家計が立ち行かなくなることのない、余裕のある計画で組んでいきましょう。

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