- 公開日: 2026.07.12
- 住宅ローン商品について
転勤でマイホームを賃貸に出すには?住宅ローンを続ける方法を解説

住宅ローンを組んでマイホームを買ったのに、転勤が決まってしまった——。決して珍しい話ではありません。
このとき「空き家にしておくのはもったいないから、人に貸そう」と考えるのは自然なことです。ただし、住宅ローン返済中の家を、金融機関に無断で貸してはいけません。これは契約違反にあたり、最悪の場合、住宅ローンの全額一括返済を求められることがあります。
今回は、住宅ローンを返済中のマイホームを賃貸に出す場合に、そのまま住宅ローンとして返済を続けられるのか、そのための手続きや注意点をやさしく解説します。
マイホームを賃貸住宅にすると住宅ローンは使えない?
転勤などの事情で家族全員が転居することになった場合、これまで住んでいたマイホームを賃貸に出す、という方法があります。
住宅ローンをすでに完済しているのであれば、不動産会社に相談して貸し出せばよいだけです。しかし、返済中であれば話が変わります。必ず金融機関に相談しなければなりません。
住宅ローンと投資用ローンの違いを解説した記事でも触れましたが、住宅ローンは「借りた本人やその家族が住む家」のための融資であり、賃貸(収益)目的で利用することはできません。金銭消費貸借契約書にも、その旨が明記されているのが一般的です。人に貸すことになれば、原則として投資用ローン(アパートローン等)への借り換えを求められます。
ただし、転勤のようなやむを得ない事情の場合は、金融機関に相談して承諾を得られれば、住宅ローンのまま賃貸に出せることがあります。取扱いは金融機関によって異なり、金利の優遇が縮小されるなど、条件が変わる場合もあります。
ここで絶対に避けたいのが、「バレないだろう」と黙って貸してしまうことです。契約違反が発覚すれば、借入金の全額一括返済を求められる可能性があります。悪質と判断されれば法的措置に発展することもあります。転勤の辞令が出たら、まず借入先の金融機関に相談する。これが鉄則です。
投資用ローンへの借り換えは費用と金利の負担が重い

賃貸に出すために、住宅ローンから投資用ローンへ借り換えるのは確実な方法ではあります。しかし、金利負担が増えるうえ、借り換え手続き自体にも諸費用がかかる点に注意が必要です。
住宅ローンは「自分が住む家」への融資であるため金利が低く抑えられていますが、投資用ローン(アパートローン等)は収益を目的とした事業性の融資であり、一般に住宅ローンより金利が高く設定されます。金利水準は金融機関・物件・借り手の属性によって幅があるため、具体的な数値は必ず各金融機関の公式サイトや窓口でご確認ください(住宅ローンと投資用ローンの違いはこちらの記事で詳しく解説しています)。
さらに、借り換えには次のような費用が発生します。
- 事務手数料(金融機関へ支払う。定率型なら借入金額×2.20%(税込)が目安)
- 印紙税(金銭消費貸借契約書に貼付。借入額1,000万円超5,000万円以下で2万円)
- 登録免許税(新たな抵当権の設定登記)と司法書士報酬
- 抵当権抹消費用(従前のローンの抵当権を抹消する場合)
- 商品によっては全額繰上返済(完済)手数料
つまり、数十万円単位の出費になることも珍しくありません。「数年で戻ってくる転勤」のために借り換えるのは、費用対効果の面で慎重に考えたいところです。
フラット35は「戻ることを前提」なら賃貸に出せる

住宅金融支援機構の【フラット35】には、この点について公式に明確な取扱いがあります。ここは正確に理解しておきましょう。
機構の公式FAQには、次のように示されています(2026年7月時点)。
- 【フラット35】は、申込本人またはその親族が住む住宅の取得資金として利用するもの。
- 転勤等のやむを得ない事情で一時的に居住できない場合、「融資住宅に戻ることを前提に」賃貸することは可能。
- ただし、金融機関の窓口で住所変更に関する手続きを行う必要がある。
- 第三者に賃貸する目的の投資用物件として利用するなど、目的外利用が判明した場合には、借入れの全額を一括で返済することを求められる場合がある。
ポイントは「一時的に」「戻ることを前提に」という条件が付いていることです。「転勤を口実に、そのまま賃貸経営を続ける」ことが認められているわけではありません。ここを勘違いすると重大なトラブルになります。
とはいえ、取扱いが公式に定められていて、手続きの方法もはっきりしているのは大きな安心材料です。民間の住宅ローンでは、賃貸の可否が金融機関の個別判断に委ねられ、「相談してみないとわからない」ことが少なくないためです。転勤の可能性が少しでもある方は、住宅ローンを選ぶ段階で「転居することになった場合の取扱い」を確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
なお、【フラット35】は全期間固定金利で、返済額が最後まで変わらないのが特徴です(2026年7月の金利は、融資率9割以下・新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下で年3.140%)。また、勤続年数の要件が設けられておらず、総返済負担率の基準が公表されている(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)ため、申込みの基準がわかりやすいという利点もあります。ただし「審査が甘い」という意味ではありません。物件が機構の技術基準を満たす必要があり、適合証明書の取得も求められます。
フラット35についての詳細はフラット35の審査について解説した記事もあわせてご覧ください。
転勤が決まったときの選択肢を整理する
転勤で住めなくなったとき、取りうる選択肢は主に4つです。それぞれの向き・不向きを整理しました。
| 選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 空き家のまま残す | 転勤が1〜2年程度と短く、戻ることが確実 | ローン返済と赴任先の家賃が二重負担。管理(換気・通風)も必要 |
| 住宅ローンのまま賃貸に出す | 戻る前提で、金融機関の承諾が得られる場合 | 必ず事前に金融機関へ相談・手続き。無断賃貸は契約違反。住宅ローン控除は対象外に |
| 投資用ローンへ借り換える | 当面戻る予定がなく、賃貸を続けたい | 金利が上がり、借り換えの諸費用も数十万円単位でかかる |
| 売却する | 戻る見込みが低い/維持の負担が重い | 売却価格がローン残債を下回ると差額の現金が必要 |
判断の軸はシンプルで、「戻る見込みがあるかどうか」です。戻るなら賃貸(または空き家維持)、戻らないなら売却か借り換え。まずはここを家族で話し合ってみてください。
なお、貸す場合は定期借家契約(契約期間の満了で確実に終了する契約)を選べば、戻ってきたときに確実に自宅へ入居できます。普通借家契約だと、借主に正当な事由なく退去を求めるのは難しくなります。転勤者向けの「リロケーション」サービスを扱う不動産会社もありますので、相談してみるとよいでしょう。
見落としがちな「住宅ローン控除」の扱い
意外と知られていないのが、税金の話です。ここを知らずに転居すると、あとで損をすることがあります。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、その家に「自分が住んでいること」が前提の制度です。家族全員が転居して住まなくなると、その年以降は控除を受けられません(住宅金融支援機構も、家族全員が融資住宅に居住できない場合は控除の対象外となり、残高証明書も送付されないと案内しています)。
ただし、救済の仕組みがあります。国税庁の取扱い(No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等)によれば、勤務先からの転任命令などやむを得ない事由で住まなくなる場合、住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署に提出しておけば、再び住み始めた年以降、残りの控除期間について再適用を受けられます(その家を賃貸に出していた場合は、再入居した年の翌年から)。
ポイントは「引っ越す前に届出を出しておくこと」。後からでは間に合いません。転勤の辞令が出たら、金融機関への相談とあわせて、この届出も忘れないようにしてください。
また、家を貸して家賃収入を得ると、それは不動産所得となり、原則として確定申告が必要です。管理費・修繕費・固定資産税・ローンの利息部分などは経費にできます。単身赴任で家族が家に残る場合は、扱いがまた変わります(控除を継続できるケースがあります)。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 金融機関に相談したら、必ず賃貸を認めてもらえますか?
必ずとは限りません。賃貸の可否や条件は金融機関ごとの判断です。転勤の辞令など「やむを得ない事情」を示す書類を求められることが一般的で、承諾されても金利の優遇条件が変わる場合があります。まずは正直に事情を説明して相談しましょう。
Q. 単身赴任で、家族は今の家に住み続けます。この場合も手続きは必要ですか?
家族が引き続き住んでいる場合は、賃貸に出すわけではないため扱いが異なります(住宅ローン控除も継続できるケースがあります)。ただし、住所が変わる場合は金融機関への届出が必要です。念のため借入先に確認しておくと安心です。
Q. 黙って貸したら、どうやって金融機関にわかるのですか?
住宅金融支援機構は、融資住宅あてに転送不要郵便を送るなどして、申込本人や親族が実際に居住しているかを定期的に確認しています。民間の金融機関も同様の確認を行うことがあります。発覚すれば一括返済を求められる可能性があるため、隠して貸すメリットはまったくありません。
Q. 賃貸に出せば、家賃でローンを返せますか?
家賃収入がそのまま手元に残るわけではありません。管理会社への手数料、修繕費、固定資産税、空室期間のリスク、そして所得税・住民税を差し引く必要があります。家賃だけで返済をまかなえると考えるのは危険です。収支は必ず保守的に見積もりましょう。
Q. これから借りるのですが、転勤の可能性があります。どう選べばよいですか?
借りる前に「転居することになった場合の取扱い」を確認しておくことに尽きます。【フラット35】のように取扱いが公式に定められている商品は見通しが立てやすいですし、民間の金融機関でも、店舗で相談できるところなら事前に条件を確認しやすいでしょう。たとえばSBI新生銀行は店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しており、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の上乗せ0円と費用の内訳も分かりやすいため、こうした「もしも」の相談も含めて検討しやすい選択肢のひとつです(最新の金利・条件は公式サイトでご確認ください)。
まとめ
住宅ローン返済中のマイホームを賃貸に出す場合、押さえるべきポイントは3つです。
- 無断で貸さない。まず金融機関に相談する(契約違反は一括返済のリスク)
- 【フラット35】は「戻ることを前提」なら賃貸可。ただし窓口での住所変更手続きが必要
- 転居前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を出せば、再入居後に住宅ローン控除を再適用できる
転勤は突然やってきます。だからこそ、転居の可能性が少しでもあるなら、住宅ローンを選ぶ段階で「そのときどうなるか」を確認しておくことが、いちばんの備えになります。各制度の取扱い・金利・手数料は変更されることがあります。最新の内容は住宅金融支援機構・各金融機関・国税庁の公式サイトで必ずご確認ください。

イオン銀行は、ネット申込と店頭相談の両方が可能なハイブリッド型!
金利以外のお得なサービスも充実しているため、生活費の節約もできます。
イオン銀行住宅ローンはここがお得!
- 疾病保障付住宅ローンは2つの特約付きでさらに安心
- 保証料0円!負担になる諸費用を大幅節約
- 一部繰上げ返済手数料0円!借り入れ後もお得に返済
住宅ローン商品について関連記事
-
リノベーション物件購入のポイント|住宅ローン控除と保証の確認
- 2026.08.10
- 1680view
-
- 2026.08.10
- 1690view
-
- 2026.08.10
- 1693view
-
住宅ローンの繰り上げ返済はいつがお得?控除0.7%と10年の壁
- 2026.08.10
- 1713view
-
三井住友銀行で住宅ローンを借り換える|手数料・金利・諸費用の見方
- 2026.08.10
- 1694view
-
ろうきん(労金)の住宅ローンとは?金利引き下げ条件と会員区分を解説
- 2026.08.10
- 1695view











